茶風林(声優) ・【時代を創った声】
2014年にアニメ「サザエさん」のお父さん磯野波平役の永井一郎さんから受け継いだことで知られています。 小中学生の頃はいじめられた経験を持つという茶風林さんに伺いました。
『名探偵コナン』の目暮警部、『ちびまる子ちゃん』の永沢くん、ヒデじい、NHKのキャラクターうさじいなど多くのキャラクターを演じている。
朝6時位にはウオーキングをしています。 今は密にならないという事で番組で顔を合わせる人が少なくなり寂しいです。 生き生きとした会話をするためにはみんなでやった方がいいのですが。 チャップリンが好きだったので、芸名をつけようと思った時に、チャップリンをもじって茶風林としました。 タップダンスもやりました。
中学生の時に少女漫画(学園ラブコメディー)に出会って、その主人公が演劇部での様々なことがあり、頑張っている姿に惹かれ、それが演劇と出会うきっかけでした。 小学4年生の時に舌に腫瘍が出来て、頬っぺたの内側に転移して野球ボールぐらいに腫れ上がってしまいました。 手術をして舌を斜めに切り、頬っぺたもえぐりました。 それ以来ちゃんと喋れなくなってしまって 小学、中学といじめにあいました。 自分の中に封印してしまうので細かな記憶がなくなるんです。 高校で演劇部に入って、そこは男子が少ないのでいじめもなく心の救いでもありました。 ちゃんと喋れないと役がもらえないので、自己リハビリをやりました。 大学でも演劇研究会に入ったら楽しくて楽しくてそこから人生が変わったといっても過言ではないぐらいでした。
脚本を読んだ時のわくわく感とか、全員で表現する嬉しさがあり卒業したくはなかった。 5年いました。 NHK主催の声優科がある学校に通いましたが面白くなくてやめてしまいました。 学校ではアフレコの授業で春日正伸先生に師事していましたが、春日正伸先生が演出するNHKのスタジオに行く機会があり、行ったら出演者の中で一人欠員が出たため春日さんに突然出演を命じられ端役を担当、これが初アテレコとなる。 その時以来春日さんから時々端役を充てられるようになりました。
芝居をしたかったため劇団新人会に所属して全国を回る生活となりました。 アニメの仕事が来るようになって段々声の方の仕事にシフトしていきました。 爺さん役ばっかり多かった。 1990年 「ちびまる子ちゃん」が始まった時から参加、本役はヒデじいだったが、永沢くん役(性格が悪くて暗い子)もやりますがそのキャラクターをやるのが結構大変でした。 ネチネチいじめるが、過去自分がされてきたこと、どうすれば人が嫌な気持ちになるのか、実は知っているんです。 封印していた嫌な気持ちを深い井戸の底から引きずり出して、いじめの思いを込めてしゃべるわけです。 永沢くん役を引きずってしまってみんなといても面白くないわけです。 だんだん切りかえるようにななりました。
放送開始以来44年にわたり磯野波平を演じた永井一郎さんが亡くなり、引き継ぐにあたってオーディションがあり、そこには大重鎮の方々がいましたので合格するとは思っていなかったが、永井さんの告別式の朝に電話があり、お願いしたいとのことでした。 加藤さん(サザエさん役)から、「このマイク、この椅子は永井さんが使っていたのであなただけが使うのよ」と言われて、とてもとてもと思ったが、後で考えると緊張する私の事を思って周りの人に対していった言葉なんだなと思いました。 だから今はすごく楽です。
声優は空も飛べるし、水の中に潜れるし、あらゆることができる。 嬉しいです。 若い人に対しては好きであったらいいんではないかと思います。 食べられる食べられないは運でしかないような気がします。 しゃべる場合の欠点は訓練でなんとでもなれると思います。