三浦尚之(「ミュージックフロム・ジャパン」芸術監督) ・ニューヨーカーに日本の音楽を届けて50年
「ミュージックフロム・ジャパン」はニューヨークで日本の音楽を紹介する団体であり、またその音楽祭の名称でもあります。 その代表が現在は福島市音楽文化総合アドバイザーを務める三浦尚之さんです。 三浦さんは福島市出身、現在83歳。 東京藝術大学を卒業後1966年にフルブライド留学生として渡米ジュリアード音楽院の博士課程で学んで、その後ニューヨークシティーオペラオーケストラの正団員として、コントラバスを演奏していました。 1975年34歳の時に「ミュージックフロム・ジャパン」を設立し、芸術監督に就任、毎年ニューヨークで音楽祭を開催し今年50周年を迎えます。 その半世紀の歴史の中には世界的ピアニスト中村紘子さんのカーネギーホールでのデビューをプロデュースした経験もあります。
半世紀の間日本の音楽だけを紹介してきたというのは、自分でもよく出来たなと思います。 人間何かをやろうと思ったら、気力と体力と財源が必要ですが、時と共に気力と体力が衰えてきますが、信念というのはおとろえないでやってきた気がします。
1941年福島市出身です。 東京藝術大学を卒業後1966年にフルブライド留学生として渡米ジュリアード音楽院の博士課程で学んで、その後ニューヨークシティーオペラオーケストラの正団員として、コントラバスを演奏していました。 日本では先生は自分では演奏はしない、駄目だ駄目だという。。 ジュリアードに行くとまず先生が弾いてくれる。 大変よく出来た、こうしたらいいのではないかと、前向きに教えてくれる。 育てようとする気持ちがありました。 コントラバスとしての演奏家でずっと続けることがいい事なのかなと思いました。 日本の作曲家が作った作品はほとんど公演、演奏されることがなかったので、日本の作曲家に少しでもお役に立てればと思ったのがきっかけです。
1975年34歳の時に「ミュージックフロム・ジャパン」を設立しました。 雅楽、太鼓、三味線、琴、尺八などの伝統音楽も紹介してきました。 伝統の楽器で現代音楽を演奏するというものです。 日本人作曲家216人による作品を50年間、およそ660曲を紹介してきました。 湯浅譲二さん、武満徹さん、三枝成彰さん、岩城宏之さん、三味線の二代目高橋竹山さんなど多岐に渡る方々と50年間やってきました。
ニューヨークタイムスが毎年評価して掲載してくれました。(書かれること自体が凄いことです。) 第一回1975年湯浅譲二さん(当時45歳)の作品を紹介しました。 1982年カーネギーホールで中村紘子さんが凄い演奏して、私も感動しました。 矢代 秋雄さんの現代音楽のピアノコンチェルトです。 ニューヨークタイムスも評価して頂きました。 20周年記念の1995年 三島由紀夫原作 オペラ「金閣寺」黛 敏郎さん作曲を英語版にしてアメリカ初演を実現させた。 すべてがアメリカ人での公演で4回もできて感動的でした。 日本バッシング、テロが有ったり、いろいろあった50年でした。 資金面についてはアメリカの日本の企業を回って支援して頂きました。(最初の10年) 支援者側は華やかに終わって欲しいという事だったが、或る作曲家の方からはこの曲を最後に演奏して静かに終わって欲しいという要望があり、悩みました。 日本の文化の観点からいうと華やかに終わるというよりも、心に沁み渡る音楽を作りたいという気質があるのではないかと私は思いました。 静かに終わってもスタンディングオベーションがあり、アメリカも変わってきました。
東日本大震災があり、その後2018年に北米音楽評論家協会からお金を出してもらって10名の方が福島に来ました。 福島がいかに安全安心なところになってきたという事を見ていただきたかった。 地元の肉、野菜での素朴な弁当が一番おいしかったと言っていました。 福島出身の作曲家古関 裕而は5000曲余りの作品を作りました。 音楽は知れ渡っているが、古関 裕而を作曲家として紹介したいと思いました。 誰にでも親しまれる音楽を作曲しています。 2020年連続テレビ小説「エール」で実現することが出来ました。