高野孝子(野外・環境教育活動家 早稲田大学教授) ・心に花を咲かせて「大事なものは何か、考えてほしい」
高野さんは、若い頃は冒険家として知られ、その後自然環境の中で学ぶ環境教育活動家として活動しています。 ケンブリッジ大学やエジンバラ大学で学位を取り、サスティナビリティや教育分野の博士でもあります。 その高野さんが30年以上にわたって実施しているのが、ミクロネシアの島に若い方を連れて行くヤップ島キャンプです。 引率のスタッフは指示をせず自分たちで考えさせるキャンプだそうです。 なぜそのようなキャンプを始めたのか、どんな狙いがあるのでしょうか高野さんにその思いをお聞きします。
高野さんは20代、30代の頃、アマゾンン川を1500キロカヌーで下ったり、北極点をパラシュートで降りたり、マダガスカル島での命がけのレースに参加したりだとか、冒険家のやることでしたね。
私にとっては、アマゾン川を下るるのも、北極点にパラシュートで降りたりするのも、北極海を犬ぞりで横断したのも冒険をしに行ったのではなくて、旅の延長だったです。 自然環境の中で生きてる人に会ってみたいと言うのと、山とか川とか自然の中で体を動かすことの気持ちさは好きです。 自分が面白いなと思ったこととか大事だなぁと思ったことがあると人に伝えたくなる性分なんです。 旅をしながら同時に一緒に人に伝えたいということで、教育に見えてしまいますが、大学院生の時に海外の街がないと言うようなところで、海外のいろんな人と一緒に調査が暮らすと言う3ヶ月がありました。 そこで初めて人がどうやって生きていけるのか、シェルターを作ろう、飲み水を探そう、トイレをどうしようと言うところから、暮らしを作り始めました。
持ち込んだ食料もなくなったりします。 自然が壊れてさえいなければ、人は生きていけるんだなぁと言うことをまず実感しました。 もっと大事なのは仲間だったんです。 必要なものを分担してできるし、生きる力みたいなものが湧いてきます。 自然に暮らしている人たちの所へ旅をするようになると、今度はそこに知恵とか技術と言うものの大切さが入ってくるです。 そうするともっと豊かな暮らしができると言うことが旅先で出会ってわかります。 特に若い人たちがそういうことを見つけて欲しいと思ってます。 インフラがなくても自分は生きていけると言う自信にもなります。 仲間の大切さ自然の大切さわかります。 豊かに生きてゆくためには知恵と技術が必要です。
ミクロネシアのヤップ島のイフルクと言う島ですが、そこでは電気とかモーターとか、近代技術的なものが禁止されてます。 風を使ってカヌーを送る?、漁に行く、この暮らしが1番便利だといいます。 モーターを使うとガソリンが必要で買ってこなくてはいけないし、壊れてしまったら直し方はわからない、そういうことに依存した暮らしは大変不便である、と言いました。 現代社会の便利さは、大変さを取り除こうとしてるんだと思います。
ヤップ島に子供たちを連れて行って、食べ物調達から自分でやらせるキャンプをしています。 自然が健全であれば、人は生きていけると言うことをどうしたら他の人に経験してもらえるんだろうと思って、場所を探しヤップ島に至りました。 そこでは石のお金を使ってます。 石のお金は資産なんです。 1番大事な使われ方は、その人が徹底的に悪いことをしてしまったときに、大事な石のお金を渡すので、勘弁してくださいと言う時に使われるものです。 その石を取るためには、パラオまでカヌーで行って、大変な苦労をして持ち帰って、気の遠くなるような時間をかけて加工してものです。
個人が持つものではなくて、大抵はコミュニティー全体のものになったり、チーフが管理するものです。 ヤップ島には現在7000人ぐらいが住んでいます。 3000年前から人が住んでると言われてます。 ヤップ島は色々な国から統治されてきた歴史があります。 日本からも統治されました。 今は独立しています。 最初に行った時は懐かしい感じがしました。 穏やかな空気が流れていて、伺った家の長老は日本語を話します。
古い掟がきちんとあって、うるさくてはしてはいけないと言うのもあります。 リスペクトにまつわる掟がいろいろあります。 かつては部族同士の戦いがあったので、片手に何かを持っていると言う事は戦意がないと言うことを証明するんで、必ず何か片手に葉っぱでもバッグでもいいんですが、持っていくような掟があります。 木とか落ちている実でも所有者がいます。 一言言えば「どうぞ」と言うふうに言って言ってくれますが、勝手にとってはいけない。 海です漁をして良いかどうかの区画が決まっています。
そこへ子供たちを連れて行くキャンプを30年以上やってます。 自然の中で暮らし秩序だって暮らしている彼らの知恵に触れることで、きっとそこから得られるものがあると思います。 大事な事の1つは、人はどうやって生きていくのかと言う事とお金があること=豊か、ではない。 お金では買えないものを見つけてくれるんではないかと思います。 最初は小学生、中学生、高校生が多かったんですが、今は大学生位が多いです。 問題意識と、自分を試してみたいと言う気持ちで来る人が多いです。 子供たちはMax 10人ぐらいです。 日々を暮らすという事は大事な時間です。
ヤップ島は目的別に家を作るんです。 食べる家、寝る家、憩う家、少年たちの家 、別に母屋があって子供が小さい頃はそこで暮らします。 子供の頃から家の建て方は大人と一緒に作って学びます。 トイレは以前は海で処理していましたが(魚が食べちゃう)、最近は変わってきて穴を掘ったりと言うような方法をやったりしてます。 材料を取ってきて作るところから発想を変えていきます。 トイレを作ったり、台所を作ったりします。 島の人たちからいろいろ教えてもらいながら、初日は暮らしの準備をします。
ヤシの葉っぱでマットも編みます。 その上でその日から寝ます。 マット編みは難しいので、最終的には島の人たちに手伝ってもらってやってもらえます。 食べ物はこちらの趣旨を説明して分けてもらうようにしてます。主食はタロ芋です。果物がたくさんあります。魚は取るのが難しいので、差し入れがあります。ココナッツの実を裂くのにも、村の人ですと30秒ででできるのが、私たちがやると15分ぐらいかかります。根気強く教えてくれます。
地元の人たちから生きるスキルを学ぶキャンプです。 11日から12日のキャンプです。 最初の三日間は慣れる期間、次の三日間ぐらいはホームステイーに行きます。 そこでいろんなことを吸収します。 最後に活動する期間があって、教えてもらったり、覚えたことをを生かして、何かお世話になった地域のためにできることを自分たちで考えてやる時期です。
最近は外からいろんなものが入ってくるので、環境汚染が1番の懸念点です。 ゴミの処理は課題です。 キャンプをしたことによって価値観の変化はあるんだと思います。 お金ではない物差しがあるんだなと言うことに気づくと思います。 自然の力で生かされてるって言うことを実感すると思います。 スタッフは一切指示はないです。 不安定な時代を迎えていますから、自分で考えて自分で道を作っていくつもりでないと、誰かのせいにして生きちゃうんじゃないかと思います。 堂々と自分で責任とって自分で決めるほうがいいかなと思います。