眞貝理香(東京大学森林風致計画学研究室) ・ミツバチが教えてくれたこと
パンに塗ったりヨーグルトに掛けたりと食卓に欠かせない蜂蜜はケーキをはじめ洋菓子や料理にも広く使われてい居ます。 そんな蜂蜜を集めてくれるのは蜜蜂です。 蜜蜂には西洋から入ってきた西洋蜜蜂と在来種の日本蜜蜂がいますが、現在スーパーなどに並ぶ蜂蜜のほとんどは西洋蜜蜂の蜂蜜です。 一方近年趣味としての日本蜜蜂の養蜂がブームになっているという事です。 眞貝さんは和歌山県古座川町を中心に日本蜜蜂による伝統養蜂を調査研究し、情報を共有しようと日本蜜蜂養蜂文化ライブラリーと言うホームページで、その成果を発信しています。
蜜蜂の群れには女王バチがいて働きバチは全員メスです。 オスは生殖の時働いて後は亡くなる。 働きバチの寿命は1か月ぐらいです。 女王バチは2年~4年とか状況によって違いがあります。 女王バチと働きバチのDNAは全く同じなんです。 王台という特別な部屋に産み付けられると、働きバチはこれは女王様になるハチだという事で、特別なエサを与えます。 (一生涯) そのエサはロイヤルゼリーと言います。 働きバチが1か月生きると言いましたが、蜜を取る期間は最後の1週間ぐらいなんです。 その前は巣の掃除をしたり幼虫の世話をしたりします。 働きバチは1週間でスプーン1杯ぐらいの蜂蜜を取って来る。 花蜜を取ってきて、口移しで花蜜を渡して20%ぐらいの水分量に濃縮します。 口には酵素を持っているので成分が変ります、それが蜂蜜になります。 蜂蜜は餌でもあり越冬用の餌でもあります。 蜂蜜は常温保存が出来ます。 糖度が高くて微生物が繁殖できないので腐らない。 結晶するかどうかは蜂蜜の種類によります。 ブドウ糖が多い蜂蜜は結晶化しやすい。
日本人の蜜蜂との関りは海外とは違うのではないかと思いました。 環境と食と蜜蜂のことを研究してみようと思いました。 主に日本蜜蜂の研究をしていて、和歌山県古座川町を中心に行っています。 熊野地域は養蜂の歴史が古くて江戸時代から特産でした。 祖母が古座川町の故郷です。 丸太を空洞にして巣箱を作っている家庭が多いです。
日本蜜蜂は東洋蜜蜂の一亜種という事です。 1590年代朝鮮半島との文禄の役の時に熊野の或る人物が朝鮮半島から熊野に持ち帰って、広まったと言われています。 巣箱で飼うようになったのは江戸時代からです。 北海道と沖縄以外には居ます。 西洋蜜蜂が日本に入って来たのは明治10年と言われます。 アメリカから輸入しています。 採蜜量が日本蜜蜂に比べて数倍から10倍と言われています。 女王バチを人工的に育成することが出来ますから、群れを増やしたり分けたりすることが出来ます。 日本蜜蜂は非常に難しい。 西洋蜜蜂は日本蜜蜂よりも一回り大きいです。(12~14mm) 西洋蜜蜂は半径2~3km、日本蜜蜂では1~2kmの範囲になります。 西洋蜜蜂の方が働きバチの数も多くて2~4万匹ぐらいで、日本蜜蜂は数千~1万匹ぐらいです。 蜜蜂の輸入が93%で国産は少ない。 輸入の66%は中国からです。 日本蜜蜂は自家消費とかが多くて正確な量はわかっていません。
西洋蜜蜂は飼い方が標準化されていて、スワップ式巣箱が使われています。 日本蜜蜂は中が空洞で自由に巣をつくるようなものです。 西洋蜜蜂は咲く花を追って移動が出来るが、日本蜜蜂の場合はそれが難しい。 珍しい蜂蜜5種類持参。 柿の蜂蜜、そばの蜂蜜、いろんな花が混じった蜂蜜、日本蜜蜂の古座川町の2種類。 (1種類は2回越冬させた蜂蜜熟成度が高い)
昭和60年と令和2年の花の量の比較でレンゲ草では16%になってしまっている。 みかんでは24%ぐらい、アカシアで50%ぐらい、主要な蜜源が減っている。 暑いことも蜜蜂にとっては大変。 昆虫全体が減ってきている。 昆虫の総数が1年に2,5%ぐらい減ってしまっている。 農薬、都市化(緑が少なくなる。)、気候変動などいろいろな問題がある。 受粉に関わる昆虫(送紛者)が減ってゆくと人間にとって大問題となる。 受粉に関わる昆虫(送紛者)が日本のもたらしている利益(経済価値)を推定した値は2013年では約4700億円で、3300億円分は野生の送紛者による。 生物多様性が大事。
ドイツのバイエルン州では蜜蜂を守るための条例を2019年に作りました。