鷲谷いづみ(東京大学教授) ・里山に学ぶ自然との共生
78年、東京大学大学院理学系研究科修了。筑波大学講師、助教授を経て、東京大学教授(大学院農学生命科学研究科)。
生態学・保全生態学(植物の生活史の進化、植物と昆虫の生物間相互作用、生物多様性保全および生態系修復のための生態学的研究など)。
1950年生まれ 保全生態学 生物多様性に関する幅広い研究を行っている
地球サミットがリオデジャネイロで開催されてから20年 国連持続可能な開発会議が再びリオデジャネイロで開催される
20年間で人口は70億人を超えて森林は減少し CO2排出量は増え続けています
いま地球上では1年間で7万種の生物が絶滅していると言われます
里山でのフィールドにして生物多様性の研究をしています
かつての里山は絶滅危惧種が増えていると言う厳しい現実があります
自然との新たなシステムを作ってゆくことが出来れば新しい人間の未来が開けると期待している
桜草の研究をしている
かつては馬、牛を放牧している土地とか草を刈る処 田んぼの畦などにもみられる花だった、が今は特定な処でないと見られない
様々な開発で失われた
人が刈り入れをやらなかったり人の手が入らなくなった所でも減ってきている
20年間の地球の変化 気候変動枠組み条約 生物多様性対策枠組条約 二つの取り決めを行ったが 環境劣化が著しい
40万種~絶滅していると主張する人もいる
かつての絶滅種を把握することから絶滅速度を見積もると1000倍ぐらいになっていると予想される
今の様な人間活動が続いて行くと現時点から更に10倍の絶滅速度になると考えられている そう遠くない時代に地球の生命の半分は亡くなってしまうと言うことが指摘されている
坐して見逃すことはできない 人間に対しても地球の生物に対しても環境劣化を起こしている
多様な生物が地球に生息していることがいろいろ人間にとってみても恩恵を受けている
生物は40億年 の歴史を持っていて 全ての生物の祖先はちいさな泡みたいな生物だったが 大きな木から草から動物も大きな動物から小さな動物、微生物まで みられるが40億年と言う様々な地球の環境で
進化し 又動物同士の関係も食べる、
食べられるの関係を旨くやってゆく為に進化したり 共生 マルハナバチと桜草の花の関係 花粉が付きやすい様な花の形状をしている
係わり合う生き物同士の関係が 進化によって形状とか花が咲く時期とか 行動とか 工夫に満ちている
人間が技術として利用できるような事が沢山ある
新幹線にも生物に習う技術がいろいろ使われている
先頭がカワセミの様な形 トンネルに入る時空気の抵抗で大きな騒音がするが カワセミは水辺の枝などに止まっていて 魚の影を見つけると水に飛び込んで魚を取るので空気中から一瞬に移動するので抵抗を少なくなるようにしている それを利用している
騒音対策としてパンタグラフのところにフクロウの毛の細かい構造を真似て使われていて フクロウと言うのは音も無く林の中を飛び回って ネズミ等の小動物を見つけると 捉える
音があると捕まえる事ができないので、多様な生き物がいる事によって今後も何か課題がある時に生物に学んで対応することができる
薬などにして色んな生物を利用してきたし 現在の様に科学が発達しても まだ日々草にしてもそれからがんの薬を取るとか利用してますし 将来新しい病気が発生しても、その時に生物を利用するかも知れない
色んな役に立つはずの生物からなっている生物多様性というものを将来の世代の暮らし 幸福な人生を送れるかと言うことに対しても重要な問題だと思います
先ほどの条約の中で生物多様性と言うのは生命に見られるあらゆる 多様性と言うか、この生物とこの生物は違うと言う 違いのすべてを表すのが、生物多様性と定義しているが 私達が認識できないほど多様な生き物がいて、その一つ一つが私達に利用できると言うだけではなくて それらの生物が連携しながら 生態系の働きを生み出す
その生態系の働きも私達の生活、産業に無くては成らないものであると言う事も生物多様性と言う言葉とともに良く認識しておかねばならないことだと思います
里山 日本の原風景 田んぼ 雑木林 草原 多様な要素からなる環境 生物多様性の高い環境になる 植物資源の管理から作りだされる環境、手をいれずなにもしないと日本では全体が森になってしまう 暗い環境になってしまう
人が農業したり必要な植物資源を確保しようと草原や広葉樹林等を管理するようになると、明るい安定した環境が維持される様になってくる
原生的な森林だけよりも両方を組み合わせると多様な生物の場が保証される様になる
生物多様性の高い場所と言う事で人の営みや生産が成り立ちながら生物多様性の高いと言うところが現代的な意義が大きいと思うんですね
地球も人口が増えてきており、これからも増えてゆく そのための食糧、燃料を生産しなければならない場がなければならない
里山と言うのは日本の農業生態系の伝統的な土地利用のやり方ですけれども 将来を考える上でも様々な示唆を与えてくれる場だと思っています
里山も危機を迎えている 生態系自体が開発などで無くなって仕舞ったり、人が手を加え無くなってやぶになってしまったりして 里山の環境を特徴付けていた
田んぼも私達の主食を生産する場であったと共に多様な生き物が生きる事ができる場だったんですが、農業の方法も変わって そういうところも生き物が住む、影の薄い場所になってきてしまい そういう変化が同時に起こってきてしまい 普通の生き物が絶滅危惧種になってきてしまいレッドリストにあげられるようになってしまった
秋の七草 ススキ以外は絶滅危惧種になってきてしまった
田んぼの関係では めだか、蛙 トンボ (赤とんぼが急に少なくなった 農薬)
近代的で効率が良くなったがちょっと考えてくれると少なくは成らなかったかも知れない、かつて普通に見られた動植物が著しく減少したり 絶滅を心配しなければ行けないような状況になっているんですが、ただ生物の多様性を保全したり取り戻そうとする運動が活発に成ってきた
日本の里山 取り戻して行こうという取り組み 兵庫県 コウノトリ 農業生態系を代表するような鳥だったんですが 農業のやり方が変わり 又餌も無くなったんで巣をつくる松も無くなったり 絶滅してしまったんですが シベリア等一つの集団と見る事ができるので譲り受けて繁殖に成功してそれを野生復帰をした
餌を取ることができるように 農薬を控える 餌になる蛙を旨く生育するとかコウノトリのえさになる環境を整えて野生に戻ったコウノトリが自分で餌をとれるように出来る餌の場所を確保したり、繁殖も野生で繁殖をして今 40羽ぐらいのコウノトリが生活できるようになったんですが、そこから日本中にコウノトリが様子を見に行っている
(住める場所を求めて) 110ヶ所ぐらいを観察しているが(33都道府県)
それに答えようとしている地域も出てきている
コウノトリを受け入れるために農業も工夫したりしているところも出てきている
北海道 南部の街 生物多様性の戦略を考える
黒松内町 ぶなの北限に近い町 昔からブナ林を大切にしてきた町
最近は生物多様性全体に目を向けるようになって ブナ林を大切にして、そこに生きる生物の場所を保証するだけではなくて しぶと川という良い環境を残している
川があるが 川にも目を向けて他の地域では無くしてしまった様な魚だとか貝とかをしっかり保全したり そういう生物多様性が豊かな町であると言う事を
これから町の経済発展や地域作りにも役に立てようと頑張っている地域もあります
町が計画して私達がお手伝いする様な形を取っている
宮城県大崎市 株栗沼があるが 真雁 越冬に日本にやってくる 東北地方が多い 殆どが株栗沼に何万羽が来る 狭い沼であるので込み合う
それを分散させようと田んぼに水を張って取り組む
可なりうまくいって寝ぐらにするようになって、糞も落とすので肥料になる
水を張っておくと田んぼの中で糸ミミズが活動して土がとろとろになりとろとろ層ができて それがあると雑草の種が潜ってしまって発芽できないとか 肥料を蒔くとその効果より一層あるとか
今他の地域にも広がりつつある 持ちつ持たれつの関係がある
人間中心のやり方は短期的にはいいのかもしれないが長期的に考えるとそういうやり方は長続きはしないと言う事が判って来て 人間の為なんだけれども、短期的に見て人間中心になり過ぎないやり方として他の生物とか自然環境全体等に目を向けると言う重要性が世界全体で共有されるようになってきましたので、生物多様性条約と言うのもありますし、最近条約の取り組みの節目になるような重要な会議 生物多様性会議が2010年に開催された
日本の提案も多数採択された 世界目標にも成っている
市民の参画、力が必要 先ほどの取り組みの例は世界に誇れるものだと思う
今の子供達は今までの世代とは違って自然に接する機会が非常に少なくなってきてしまっている是非 地域の自然 生き物に触れる機会を十分に保障する様な機会、教育が欲しいと思います
自然環境を大切にすることは非常に大事だと思う 新しい政策を決めて実践を始めたところもあるし大きな励ましにもなるし他の地域にも広がってほしい
持続可能な地域はどういうものなのか 生物多様性の視点から見て行ってみたいと思います