2012年4月1日日曜日

中野敏治(中学校長53歳)      ・掃除をすれば何かが変わる

中野敏治(中学校長53歳)  掃除をすれば何かが変わる 
神奈川県足柄市岡本中学校  生徒数500人  一昨年の夏に便教会 (トイレを掃除をする会) 
本校は二つの小学校から入って来る  足柄の熱血先生と言われている 
子供は大好き 子は宝 教員を続ければ続けるほど私達が教えるのではなく
子供達に教えてもらっていると思います  
子供は大人が予想している以上の事をぱっとやるんですね 
学級担任をしている時に体育の時にグラウンドを走る事があってほぼ皆走り終わって、体格の良い子
がまだ歩くようなスピードで走っていて
皆は頑張れと応援をしたのですが、ある男の子がその一人走っている子に走り寄って一緒に
走りだした それを見てクラス全員が駆け寄り一緒に走りだした

全員がその子の周りで励ましているすがたを見て感動した
掃除をすれば何かが変わる→10年まえにイエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏とお会いして
それからトイレ掃除と言う事を知りまして 機会あるごとに
各地に行かして貰いました 掃除に学ぶ会が主催してくれてそのたびに行っていました
3年前に着任して校長と相談してやろうと言う事になる 第1回神奈川便教会を行った 
他県からも手伝いに来てくれた 
生徒も沢山参加してくれた 学校のトイレ掃除 昨年は一度幼稚園のトイレ掃除をした
トイレ掃除の後に感想を述べてもらったが、初めての頃は最初嫌だった というのがやってよかった
 綺麗に成ってよかった このトイレ誰が使ってくれるのか楽しみ
等ガラッと変わってきた 不思議なように皆の気持ちが変わる 

参加している人達も顔が変わったねと言ってくれた
先生方、地域のかた、保護者の方々、企画があることを知った一般の方々、業種拘わらず一杯
来てくれた 子供の顔つきの変化が明らかだった
先日やった時には「トイレの神様」の曲を流しながらやった  先生方も変わってきた 
自分から他県に行っている先生もいる
人間って何が変わるのか→結果を求めるのではないと思う ただただ掃除をする 
ひたすら磨き込む 何のためにとは考えていないように思う
すがすがしい気持ち 達成感がある  挨拶がよくなったとか結果がこうなりつつあるとかはないが
 子供の心に何か新しいものが芽生えつつあります
便器を掃除した子が感想文にこの便器を綺麗に使ってほしいと書いてあるので ゴミを拾った人は
ごみを落とさないと言う論理だと思いますね

生徒が一杯増えれば綺麗になる方向に有ると思う 一昨年から公園を本校の職員、地域のかた
、行政のかた が毎月第一日曜日に掃除しているんですね
ぱっと広がることはないのですが地道に行っている   
掃除を通じて心の交流ができる 掃除をさせてもらう (するではなく)
掃除を通じて沢山の人と知り合うことができた  これが一番の変化  
環境をどうしたらいいかが意識し始めた
箒をもっているだけでお婆ちゃんが近寄ってきて一緒に掃除をしてくれたり、話しかけてくれたりして
くれる  色んな人との係わりがそこでも出来ている

地域とのつながり、先生とのつながり  掃除をしていると結果としてそうなったと言う感じですね  
日本のなかでも足柄地域の様な地域があるのですか→日本全国に日本を美しくする会 
掃除に学ぶ会、便教会は全国に有ります
子供と関わっていて後になって後悔したくないと思っている あんなことをしてやればよかった
、こんなことをしてやればよかったと後で想いたくない
その時は戻れないので後悔したくない
不登校の係わり 中学校の2年生の担任の頃に転校してきた子 前任校でも不登校 
私が家庭を訪問 クラスの子も寄ってくれた
生徒の誕生日には歌を歌ってあげる事になっていたが、その不登校の子の誕生日にどうするのか
なと思って見守っていたら その子がいないのに「ハッピバースデイ」
を歌いだしたんです  

ある生徒が窓を開けて○○ちゃんの方を向いて謳おうと言いだしたんです
クラスの心の中には間違いなくその子の姿があったんですね
一度彼女が登校してきた 派手な変わった格好で来た  
休んでいたので彼女は精一杯の姿で来たんだなと感じた その彼女をクラスで生活させる事が 
彼女に取っていいかどうか私は迷ったんです  
と言うのは彼女はそこまで気持ちを張った中で生活させたら彼女は精神的に疲れてしまうと思って
彼女を呼んでその服装はおかしいから、一回家に帰って着替えてくる?と話しました  
うつむいて返事をして着替えに帰ってゆきました
生徒たちが来て彼女が一番来てほしいと思っていたのは先生だと思うのに、どうして先生は
返しちゃったのと言ってくる

私はクラスの全員にあの姿でいたらあの姿の彼女を全員が認める事になるんだよ 
彼女は彼女なりに精一杯の気持ちで来たのだろうけれども
私は純粋な素直な気持ちで彼女に来てほしかったんだよといった 
彼女もお母さんに思ってた通りの事をいわれちゃった とお母さんから電話がありました
一番の思いでは卒業式 クラスの子が迎えに行ったけどお母さんが先に行っててと言った 
クラスの子は私に伝えたが彼女は来なかった
彼女のつける花を私の胸に付けて式に向かった  
式が始まって皆が卒業証書を受け取って次の歌が始まった時に体育館の扉ががらがらと開いたんです
彼女が夢中で体育館の中央に走ってきたんです 
 
私が彼女に近寄って私が付けていた花を彼女の胸に付け直して彼女を自分の席に座らせたんです
校長が私の彼女の卒業証書の授与をもう一回やるからという事で式次第を変えてその子の
卒業証書授与をやったんです
何回も卒業時の名前を呼ぶんですが、泣いてしまって彼女の名前を呼べなかった 
生れてはじめて名前を呼べなかった
彼女は壇上に上がって卒業証書を貰って式が終わったんですけれども クラスの仲間、保護者が
彼女のそばに駆けより之から食事に行くので一緒に行こうと言う事になる
卒業生が通る花道の一番最後に私がいて、私の処に来てその子が「先生のクラスで好かった」と
言ってくれた この言葉を聞いて感極まってしまった
一人では生きていけないと言う事をクラスの中で感じますね 生徒が全員で知るわけですよね  
子供達に教えられましたね 子供は凄い 子供は宝ですよ

担任として700~800名は送り出している  10年以上卒業の同窓会にでて話しているうちにどんどん
中学校の顔に戻ってくる
子供も教師も大人も色んな事にわくわくしていくと物事全てプラスに考えられるのかなあと思いますね
様々な問題が多分子供達の中でも大人の世界でもあると思うんですが、わくわく色んな事を
考えるとマイナス思考がどんどん消えて行くんじゃないかと思います
私達の人生は一回しかないんだから、一生懸命考えてやりたい事をやってゆくことは必要かも
知れない そんな話も飲みながら卒業生たちとも話したんですね
フェイスブックで仲間が新たに集まりだした  住んでる場所も年代も 思いさえあれば越えるんだなと
繋がるんだなあとそういう思いさえありますね

インターネットで繋がる教え子が急に近くなってきている   環境を整えたいと思っている  
私の子供(大學1年)も今年初めて一緒に学校の掃除をしてくれた 嬉しかった
環境を一つの目的にしてしまっては駄目 やってく中で環境は整って行くと思うんですが、
先ず自分の中で箒で掃きたいなとかゴミを拾いたいなとかそういう人が
一人でも二人でも増えてくるのが一番いいんかなと思いますね 
目的ありきでは嫌な義務感が生じてしまう
社会で通用する子になってほしい 

挨拶をちゃんとするのもそうであろうし、ゴミが落ちていたら
拾うし、汚れていたら綺麗にする 勉強を頑張る子供(出来る出来ないではなく)
求めていることに対して一生懸命頑張る子供 
中学校を卒業する時には社会に通用する子に育ってほしいと思っています
その中の一つに掃除があると思っています 
目の前に有るゴミを拾えるか拾えないかは大きな一つの差だと思います
宝でありながら宝にしきれないのも大人の責任だし、宝を日本の宝、世界の宝としての子供達を
きちっと育てるのも大人の仕事だと思います