新沢としひこ(シンガーソングライター) ・〔人生のみちしるべ〕 いつもそばに歌があったから
新沢としひこさんは昭和38年生まれ。 父親は保育園園長、母親も保育士と言う家庭で育ち、小さいころから歌や絵を多くの人に届ける仕事をしたいと考えていたと言います。 10代から弾き語りのライブをはじめ、20代で中川ひろたかさんと共に子供の歌を作り、発表してきました。 「世界中のこどもたちが」「にじ」「はじめの一歩」など、テレビ番組を「おかあさんといっしょ」でもおなじみのロングヒット曲を沢山生み出してきました。 保育園、幼稚園、小学校などでも歌われています。 現在日本童謡協会の副会長も務める新沢としひこさんに伺いました。
シンガーソングライターだけではなく、音楽事務所の所長、日本童謡協会の副会長、大学で教えていたりしています。 新しい歌も作ってゆく童謡の協会です。 初代会長がサトウハチロウさんです。 子供の頃から子供の仕事をしたかったんです。 自己主張も強いし、自分のなかの表現するものと言うのは止められないものと思って、押さえつけないように生きてきました。 自分の中の子供って大事に思っていて、大人になったらもうおしまいだという風に思っていました。 30歳ぐらいになってやっとあきらめがつきました。 子供の頃は大人っぽくて、大人になったら子供っぽくなっていきました。 思ったよりも子供は大人だから、そう思って歌を作ります。 日本著作権協会に登録したのが700曲ぐらいあります。 登録していない方が多いです。
「世界中のこどもたちが」は作詞が私で、中川ひろたかさんが作曲しました。(昭和62年に作る。) 当時はメディアから完全無視でした。 雑誌に楽譜が出ただけでした。 NHK、フジテレビなどにも楽曲を持って行っていますが、駄目でした。 童謡ではないと言われがちでした。 保育現場、子供たちが支持して歌ってくれました。 段々浸透していきました。 何十年も経ってから童謡集にも入るようになりました。
中川さんとのい出会いは、中川さんが27歳、僕が18歳の時でした。 月刊誌に毎月曲を作ることを始めたのが、23,4歳でした。 『月刊音楽広場』(クレヨンハウス、現:『月刊クーヨン』)に歌を連載することになりました。 4か月ぐらいしたらなかなか書けなくなってしまいました。 「子供讃歌」でいいんだと言われて、そこで吹っ切れて、「世界中のこどもたちが」と「ハッピーチルドレン」という詩を書きました。
この童謡は凄いと思っているのは「あいあい」「歌えバンバン」「ちいさい秋みつけた」です。 「ちいさい秋みつけた」は幼稚園の時に聞きましたが、衝撃を受けました。 意味が分からないけど素敵と思いました。 保育園に務めるようになって、「まっかな秋」「歌えバンバン」を歌ったら、子供たちが「まっかな秋」の倍ぐらいの声で「歌えバンバン」を生き生きと歌ったんです。 こういう歌を作るべきだと思いました。 子供たちからのリクエストがあって「あいあい」を歌いました。 自分では好きではなかったんですが、子供たちが物凄く盛り上がるんです。 分析してみました、子供たちには歌わされている感がないんです。 何の理屈もない。 自分としてこういったものを書いていいのかどうか、人生の課題として「あいあい」は大きく存在するんです。 「ちいさい秋みつけた」「歌えバンバン」は見習うべきもので「あいあい」はどうすべきか課題みたいなものです。
昭和38年生まれ。 父親はキリスト教系の保育園園長、母親も保育士で、姉と私と弟の3人兄弟です。 父親は保育士の仕事をして欲しいと思っていました。 姉も弟も保育士になりました。 僕は音楽とか絵とか芸術の方に行きたかったんです。 父からはそれらは保育に役に立つと言われていました。 優しくできなかったという風に書いた方が優しい感じがするんです。 自分の中に悪いところがあると感じた方が、善なるものがちゃんと伝わったりするんです。 自分の負の部分をちゃんと見つめて大事に出来た、という姉の存在は凄く大事でした。 本当は触れられたくないところとか、コンプレックスはあるよねと、そういうところを認めるという事が僕の大前提になっています。 子供のあどけないいい部分だけを見るのではなく、意地悪だったり残酷なところもあり、子供は大人っぽいと思っているんです。 大人は段々子供になってゆくぐらいに思っています。
人間は脳の動物だと思っていて、自分は左脳は大人の部分、右脳は子供の部分と言うのがあって、右脳がタレントで左脳がマネージャ―、右脳が選手でで左脳が監督、みたいな感じが僕のなかあります。 左脳は間違える(理屈)が、右脳は間違えない(感覚)。 支持をしたり技術を学んでゆくのは左脳、心を表現したいというようなことは右脳。 その組み合わせで僕は生きていると思う。 つまり子供は間違えない、大人は間違えると思っています。 子供を大事にしながら、大人がちゃんと作品を作らして上げるというのが僕の一番正しいやり方です。 僕の道しるべは、僕のなかの子供、子供が道しるべなんです。 子供を尊敬して子供をキープすることが大事、と言う風に大人はいなくては駄目です。 そうやって作品を作って行けば間違いないと思っています。