2024年6月10日月曜日

真田ナオキ(歌手)            ・〔師匠を語る〕 面白い声してるな。明日から付き人になれ ~吉幾三~

真田ナオキ(歌手) ・〔師匠を語る〕 面白い声してるな。明日から付き人になれ ~吉幾三~ 

2020年に第26回日本レコード大賞最優秀賞新人賞を受賞して、活躍中の歌手にシンガーソングライターである師匠吉幾三さんについて伺います。 志を胸に歩み出した一人の青年は試行錯誤と出会いを繰り返し、或る時師と仰ぐ人にたどり着きます。 真田ナオキさんと吉幾三さんの師弟関係は、偶然の中から突然始まりました。 今までの形にこだわらない新しい時代の、でも実は古風なのかもしれない師弟の結びつきについてのお話です。

吉幾三さん、本名は鎌田善人さん1952年(昭和27年)青森県五所川原市出身。(9人兄弟の末っ子) 父親は民謡歌手。 中学を卒業後上京、歌手を目指して浅草の音楽教室に通います。 先生は美空ひばりさんを育て上げるなど、当時の歌謡界を代表する作曲家米山正夫さんでした。 米山さんからは最初津軽弁を直すように注意されましたが、最終的にそのままでいいとお許しが出たことから、故郷津軽こそが自分自身の掛けがえのない個性だと考えるようになりました。 1973年(昭和48年)コマーシャルソング「恋人は君ひとり」で歌手デビューそのころの芸名は山岡英二で、その後1977年(昭和52年)に吉幾三に改名、その年自身の作詞作曲で故郷五所川原をモチーフにして歌った「俺は絶対!プレスリー」が初めてヒット、「俺は田舎のプレスリー」と言うタイトルで勝野洋さん主演の映画にもなりました。 

しかしその後ヒットは続かず、昼間は喫茶店、夜はナイトクラブでギターを弾いて苦難の日々を過ごしますが、1984年(昭和59年)作詞作曲家として千昌夫さんに「津軽平野」を提供、またこの年千昌夫さんプロデュースで発表した俺ら東京さ行ぐだ」が大ヒット。 一躍人気者になりました。 1096年(昭和61年)には自ら作詞作曲をした「雪国」が初のオリコン1位を獲得、その後も作詞作曲家として千昌夫さんをはじめ、多くの歌手の皆さんに作品を提供、またCMソング、テレビドラマのてーマソングも数多く手がけています。 故郷を大事にする心は今も揺るがず、コロナ禍の自粛期間には津軽弁で対策を知らせるラップ調のユニークな曲を作ったことでも話題になりました。 

真田ナオキ、1989年生まれ、現在34歳。 埼玉出身で吉幾三さんはCMの人だと思っていました。 面白いおじさんと言うイメージがありました。 たまたま吉幾三の「酔歌」のレコードを買ったのが最初でした。 最初の頃は同じ人だとは思っていませんでした。  東日本大震災で何もできない不甲斐なさを感じていたら、テレビで当時小学校5年生ぐらいの白澤みさきさんが民謡クラブの女の子として、歌っている姿を見て、感動して、歌い手を志すようになりました。(21歳)  歌の勉強をする様になって4年ぐらいしてから知り合いが吉幾三さんと食事をするという事で同席することになりました。 歌を聞いてもらうことになり「面白い声だなあ。」と言われました。 「弟子になれ。」といきなり言われました。 翌日電話をしたら一切覚えていませんでしたが、弟子になれました。 (2015年) 声は自分で作って行きました。  

レッスンは全然ありませんでした。 曲が3曲送られてきて2曲をメインに練習をさせて貰いました。 弟子らしい弟子はしてきませんでした。 その後歌のレッスンは厳しかったです。 褒められることはほとんどなかったです。  くじけそうな気持になっている時に、「ナオキ頑張っているなあ。」との一言があり涙が出ました。  弟子入り後の翌年2016年に「れい子」でデビュー。 (作詞作曲:吉幾三)  経済的にも厳しい時に、歌を歌う機会を設けてもらって、その代金を頂いたりしました。  いつか師匠をハワイに連れてゆこうという夢があり、その足しにしようと頂いたものは大事に持っています。 「俺の作った歌を歌ってくれてありがとうな。」と言われると頑張らなければと思います。 

2020年に第26回日本レコード大賞最優秀賞新人賞を受賞して、ようやく吉幾三の弟子だと胸を張って言えるようになりました。  受賞したことを師匠に電話をいれたらお互いが言葉にならないように泣きました。  目標は紅白歌合戦ですね。 その後ジョイントコンサートが出来ればと言うのが夢です。 作曲も出来ればと思います。

師匠への手紙

「・・・弟子入りさせてもらってからあっという間に9年になりました。・・・デビュー当時から何度も助けられています。・・・困った時、くじけそうになった時には歯を食いしばって頑張ります。・・・改めてこんなに暖かくて優しくて面白くて何よりかっこいい師匠に出会えたことが人生の財産です。 ・・・吉幾三の弟子という事にはパワーがあります。 ・・・いつか師匠に自慢してもらえるぐらいの弟子になって、今度は僕が師匠とお母さんを旅行に招待します。 ・・・身体に気を付けてください。たまには休肝日を取ってください。 ・・・一人の人間として師匠の様にかっこよく生きられるように頑張ります。・・・。」

「謙虚でいなさい。」という事と、「歌手だけど人間らしくありなさい。」と言う言葉は、大切にしています。