吉岡マコ(NPO法人シングルマザーズシスターフッド代表理事)・〔みんなの子育て☆深夜便 ことばの贈りもの〕 「私らしさ」を見つけ出す、体とココロと仲間の支援
吉岡さんは50歳、自らの妊娠、出産、そしてシングルマザーとしての子育ての経験を活かし、一人親で子育てをする人の希望に寄り添う取り組みを続けています。 シングルマザー支援と言えば、食料品や生活用品の提供や、就職相談というイメージがありますが、吉岡さんは私らしさを見つめ見直し、表現してゆくというプログラムを実施しています。 そうすることが自信を喪失していた人が、自ら生活を立て直してゆくうえで欠かせないと考えているからです。
月に100kmぐらい目指して走っています。 シングルマザーズシスターフッドの代表をしています。 セルフケア―がテーマです。 30分だけ身体を動かして瞑想して自分の体と心をケアするというようなオンラインの講座を実施しています。 一番土台となるのが身体と心の健康だと思います。 アンケートでいろいろ聞きますが、一番多かったのがセルフケアは贅沢で自分には関係ないものだと思っていた、という方が非常に多かったです。 でもやってみたら凄く大事ですね、と言います。
子供に対して余裕をもって接するようになって、「お母さん笑顔が増えたね」と言われたりするようです。 今定期開催しているのが、火曜日、木曜日のランチタイムと土曜日の早朝にやっています。 12時15分から30分やります。 土曜日は5月までは朝7時からやっています。 6月からは朝6時からやっています。 日本ではシングルマザーの80%ぐらいが仕事をしていて世界一です。
埼玉県入間市出身です。 子供のころは外遊びが好きでした。 高校まで入間で暮らしました。 高校の時にオーストラリアに1年間留学しました。 一番の思い出は人種差別が多かったです。 アジア系の人達が差別されていました。 日本人は一人でしたが、いろんな人と接するようにしました。 アジア系の人たちとの仲介役のような感じになりました。
留学する前に「判断留保」という技術を習いました。 それを直に経験できました。 この人はこうだと決めつけてしまわないで、どうしてこう言う考えを持つのか、その背景にはどういったものがあるのかとか思いをはせてみる。 東京大学文学部美学芸術学に進みました。 身体論で卒論を書いて、舞踏家の麿 赤兒さんの夏合宿に研究生として参加しました。 身体が変わって行って、心も変わってゆくという事を体験して、身体と心の繋がりが凄いという経験をしそのつながりを研究したいと思いました。 大学院生命環境科学科(身体運動科学)で運動生理学を学びました。
オリンピックについてディスカッションするプログラムがあり、ギリシャにいってその時に出会った人と結婚するつもりでしたが、結婚はしませんでした。 妊娠、日本で出産しました。(25歳) 妊娠中は結構運動もして元気でした。 出産後のダメージを全く知らなくて、産後の辛さを産んでから知りました。 生んだ後も陣痛が来ます。 胎盤が子宮に張り付いていて、胎盤がはがれて出てくるわけです。 胎盤を押し出すためにもう一回陣痛が来るわけです。 はがれた子宮の傷の部分からペットボトル2本分ぐらい出血します。 ダメージが身体にあり、回復するには寝て過ごすしかない。 すぐ子育てしなければいけない過酷な現状を知りました。
産後のケアをもっと充実したら、もっと生みたい人が増えるのではないかと思って、産後のケアの活動を始めました。 でもそれで少子化は食い止めることはできませんでした。 1998年に産後ケア教室を始め、22年間続けました。 筋力、持久力を回復させるようなエクササイズが出来ないかなと思って、最初自分が実験台になって、他にもやりたい人が居るだろうと思って、教室を始めました。 インターネットはまだだったのでチラシを配りました。 最初は8組でした。 一回辞めて就職しましたが、要望もあり半年後に再立ち上げをしました。 インターネットにつなぐことで、参加人数が増えていきました。 その後インストラクターになりたいという人も増えてきて、その養成も進めて、マドレボニータを創業する事になりました。 20都道府県で開催されるようになり、年間5~6万の方が参加するような規模になりました。
私が教室を始めた当時は、働く母が2割程度でしたが、今は逆転して働く母が8割程度になってきています。 教室では仕事に復帰する不安、辞めてしまおうかという葛藤などの不安を抱えている方が多い。 段々復帰することが当たり前になってきているので、そこが20年前とは違うところです。 もうひとつはパートナーシップの変化で、パートナーシップのことで悩んでいる方が非常に多いですね。 産後ケアの有る無しで一番差が出たのはパートナーシップの問題でした。 産後ケアに取り組んだ人は8割弱がパートナーへの愛情が再び蘇ってきたという事でした。
シングルマザーは2種類の不平等をこうむっているといわれていて、①経済構造における不平等、②社会的文化的不平等(差別、偏見など)。 貧困だけにフォーカスされてしまうと、他の問題が薄まってしまう危険性がある。 誰もが力を持っているという事を信じていて、一時期何かのために力を発揮できなくなった状態があるかもしれないが、心と体をいい状態に取り戻して、又自分の力を発揮できるようになるのを後押しするのが、私たちの仕事だなあと思っています。