堀江ひろ子(料理研究家) ・【美味しい仕事人】106歳父の健康長寿を支える
堀江さんの父、堀江正夫さんは106歳。 元気に一人暮らしをしています。 正夫さんは交友関係も広く、戦争体験の講演を頼まれれば、2時間は熱く語ります。 毎日4000歩を歩き体操とストレッチも欠かさず、生活習慣病とは無縁です。 健康長寿の秘訣はと聞くと「毎日の食事のお陰です」と言います。 長女のほりえさわこさんも料理研究家です。
親子でNHKの料理番組に出演。 母親が、堀江泰子でやはり家庭料理の草わけ的存在です。 母の手伝いをしていて、料理研究家になるんだと自分で勝手に思いこんでいました。 日本女子大学家政学部食物学科に入りましたが、すでに料理学校の先生もどきのことをしていました。 子供が生まれると離乳食とか、年齢に応じて仕事の内容が変わっていました。 父は職業軍人でしたので、戦争のことを講演したりしています。 BSで太平洋戦争歩兵第一連隊の証言を伝える番組で、番組のコマーシャルにも登場しました。 誤嚥性肺炎を2年続けていますので、声の出し方とか首の運動とか言われたことはすべてやっています。 総入れ歯でしたが誤嚥性肺炎を2年続けて、激やせして入れ歯がガタガタになり、柔らかければいいと思っていましたが、吸収していなくて、入れ歯を外しましょうという事になりました。 1年で9kgもとに戻りました。 コロナ前は毎週のように出かけていました。 10年前は1万歩は歩いていました。 休みの日は2,3万歩歩いていました。 最近は家のなかで歩いて指で歩数を数えています。 ストレッチもいろいろやっています。 本が好きで文庫本を読んでいます。 資料を読んで戦争のことを書こうと思って原稿を書いています。
父に身体に優しいお弁当を作っていました。(幕の内弁当風に) 母も成人病に関することを調べてそれを父が食べてきました。 母が10年前に体調を崩して以降は家族で一緒に食べるようにしました。 そうすると、会話が生まれ笑顔が増えます。 5,6年前までは同じものを柔らかくして一緒に食べていました。 この頃は 誤嚥防止のために形態を変えました。 鶏のから揚げなどはフードプロセッサーで柔らかくして食べています。 栄養のバランスが大事です。(肉類も必要)
タンパク質はしっかり摂ります。 今ですと朝必ず納豆、昼には卵。 野菜が不足と便秘になりやすいので緑黄色野菜を中心にします。 ほうれん草は切ってから軸だけ先に煮て出してから、葉っぱは後から入れて煮ます。 軸は私たちが食べて葉っぱは両方が食べます。 密閉容器に紙タオルを折りたたんだ上に、水を絞った青菜類を入れると3,4日はほうれん草はどうにもならないので、ほうれん草はいつでも食べられます。 基本は父には緑黄色野菜です、それとニンジンです。 緑黄色野菜、ニンジンなどは火を入れて柔らかくして食べます。 具だくさんの汁物を作ります。 翌日に牛乳、カレー粉、トマトジュース、豆乳などを入れていろいろなスープ味のものを作れます。 野菜たっぷりのスープがお薦めです。 肉類も気を付けてあげるようにしています。 鶏肉をレンジ酒蒸ししてチーズを挟んで焼くとか、鯖の味噌煮も一人分ずつレンジでやります。 皿に醤油で味つけした切り身と野菜(ネギとか)を置き、味噌と蜂蜜を混ぜて鯖の上にかけてチンすると鍋を使わなくても、鯖の味噌煮が出来るんです。
父は牛乳が飲みにくくなっているので、いろんなものにクリームチーズを混ぜていたりします。 繊維野菜をたくさん食べても便秘がちの人は油が足りないかもしれません。 油があるとするっと滑りやすくなります。 父にはうまくバターを使ったりごま油を足したり、野菜料理にも意識して油を加えています。 50,60代までは腹八分目ですが、高齢になると美味しいものを腹十分目食べて動いた方が前むきになります。 タンパク質と緑黄野菜をしっかりとって、あとカルシュウム(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)が欲しいですね。
「長寿豆」と家では呼んでいますが、金時豆の甘煮のことです。 父が作りだしました。毎日食べていましたが、或る時からそれを食べる時にむせている事に気が付きました。 煮汁ごとにすするので、豆の破れた粉、皮が入っているんです。 誤嚥になると思ってペースト状にするようになりました。 おいしく食べるのが健康に繋がると思います。 10人での食卓でひ孫の6歳から106歳まで居てにぎやかです。 料理は頭を使うのでいいと思います。 作れると楽しいです。