2022年2月25日金曜日

荒井朋子(千葉工業大学惑星探査研究センター)・【ママ☆深夜便 ことばの贈りもの】夢をかなえるまで、あきらめない

 荒井朋子(千葉工業大学惑星探査研究センター主席研究員)・【ママ☆深夜便 ことばの贈りもの】夢をかなえるまで、あきらめない

近年、地球の生命の種は塵として宇宙から地球に運ばれた、という可能性が考えられています。   この仮説を実証するため、毎年双子座流星群としてたくさんの塵を地球に運んでくる小惑星に探査機を送り、塵と塵の故郷を調べる探査計画の実現が2年後に迫っています。   荒木さんはこの計画においてサイエンスチームのリーダーを務めています。   一児のの母でもあり、現在50歳になる荒井さん、幼いころからの夢を実現するためにどのように仕事と子育てを両立させてきたのでしょうか。

我々が進めている深宇宙探査技術実証機DESTINY⁺ (Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage with Phaethon fLyby and dUst Science)というミッションは、「」です。  個体微粒子と呼んだりします。   その塵が太古の地球の生命の元になったかもしれないという仮説を実証するためにいろいろ観測をします。  1mmから10mmの塵ですと流星という形で大気圏に飛び込んできた時に光って見えます。  それより小さな塵は流星のように燃え尽きないでしずしずと地球に落ちてきます。   それを調べて観ると炭素とか、有機物が含まれていることが判って来ました。  塵には1mmの1/10、1/100とかあるのでその中に入っているのは微々たるものですが、全体量としては毎年凄い量が降ってきます。 1年に4万トン以上降って来ています。   地球が誕生して約36億年とすると毎年有機物を含んだ塵が4万トン降ってくるわけです。  最初の種が地球の内部にあったのか、地球の外からなのか二大仮説があります。  宇宙空間に行って直接塵を調べてそれを明らかにしようとする目的です。   塵がどんな天体から来たのかはわからないです。    ふたご座流星群はたくさんの塵が地球に降ってきます。  今回はファエトン(フェートンとも呼ばれる)という天体が太陽の周りをまわっていて塵を吹いています。  ファエトンの軌道には塵の帯があります。  その塵の帯を地球が横切るんです。  それが流星群なんです。  

ふたご座流星群の母親天体のフェイトンは楕円軌道をしています。  地球は円軌道なので、探査機を飛ばしてもその天体とすれ違ったとしても物凄く速いスピードですれ違ってしまうので、一瞬しか観測することができない。  すれ違う時に沢山データが取れるようにして、行ってやろうという事になりました。  飛び込んできた塵をその場で分析できるようなダスト分析装置を持って行って、組成分析、大きさ、塵が飛んでくる方向、スピードを測ることでファエトンに着陸しなくても情報を得られるように工夫しました。  新幹線の数百倍の速さですれ違うので、若干離れていないとカメラの視野に入ってこないので500kmまで近づいて行って秒速36kmで通り過ぎてゆくファエトンをカメラで捉えながら塵の測定を行います。   そしてつぎの天体に行きます。   

父親の影響で3,4歳ごろには天体に興味を持ちました。   地球以外にも生き物がいるんだという事で育ってきました。 でも違うんだといことを小学校で学んだところから、それはなんでだろうと思い始めここまで来ました。    宇宙飛行士が取ってきた石を分析してみて地球以外の星がどんなもので、なんで地球とは違うのかを調べるのに、いろんなことが判るので石って面白いと思いました。   そういった仕事に関わりたいと思ったのは大学院に入ってからです。   最初に月についての研究をやらせてもらいました。    月からの石を触れて、調べるとそれが何時できて、どういう風に出来たかが判ってしまう、これにははまりました。  月探査のミッションに配属されるのかなと思ったら、国際宇宙ステーションの開発プロジェクトでした。  5年経って移動できました。  月の周りをまわって観測するときの観測装置の開発などの仕事をしていました。  

結婚は移動する前で子供も授かりました。  産休後、育児休暇はほとんどとらずに、新しい部署に復帰しましたが、体調など思わしくなくなってきて、辞めることにしました。  ダメもとで応募したら国立極地研究所で採用してもらいました。(特別研究員-RPD制度で2年間のみ)  その後棟東京大学総合研究博物館 特任研究員として3か月いました。  その後千葉工業大学惑星探査研究センターに移りました。   塵に興味を持ち始めたのは流星でした。   流星の塵は微妙な大きさを持っていて、隕石と同じような情報が取れれば面白いと思いました。  

子供は小学校の頃からロボットをやりたいと言っていました。  内閣府男女共同参画局の去年のデータでは6割以上の女性が出産を機に離職する。   女性を意識せざるを得なかったのが出産でした。  辞めた後もやりたいことがはっきりわかっていたら、何かきっかけを掴む事が出来ることもありますので、発信してゆくことは大事だと思います。    受援力は大事だと思います。  あきらめる前に立ち止まって声をあげてみることは良いことだと思います。  いい意味で周りの人を巻き込みながら、やりたいことを続けて行ければいいと思います。  探査機関係の進捗は設計が終了して、制作を始めていいかどうかの審査の段階です。  今後制作を開始して打ち上げる状態まで持ってゆきます。