西山夏実(起立性調節障害の高校生)・【人権インタビュー】"負け犬"だけど 寄り添って
朝起きられない、目が覚めてもしばらく起き上がることができない、起立性調節障害という病気があります。 自律神経の働きが悪くなって体や脳への血流が低下することで、様々な症状が出ますが、午後には回復し夜は目がさえて眠れなくなるのも特徴で、周囲から怠けているだけではないかとみられがちです。 思春期の子供に多く成長するにつれて治るケースも多いんですが、日本小児心身医学会のガイドラインによりますと、中学生のおよそ1割、不登校の子供の3~4割がこの病気に苦しんでいるという事です。 今年7月この病気をテーマにした映画が上映されました。 監督を務めたのは高校3年生の西山夏実さん。 中学時代から悩んできた自身の経験をもとに同年代の仲間たちと制作しました。 オンラインを活用した上映会の反響は大きく全国からメッセージが寄せられています。 病気について多くの人に知ってほしいという西山さんに伺いました。
今は発症して5年目ぐらいで、朝起きれなかったり、夜興奮状態で眠れなかったり、ご飯が食べられなくなったり、立ち上がる時にバタンと倒れてしまったり、ずーっとマラソンしているような動悸で疲れやすかったりとか、毎日つきまとうというような状況です。 酷い時には夕方までベッドから起き上がれずにいます。 そういう時は血圧が上が80台、変動して150ぐらいになってしまう。 治療法もないです。 テストも寝ないままとか眠いまま受けて3年間乗り切ってきました。
中学1年から2年になる春休みに突然発症しました。 最初極度の食欲不振があり、豆腐を一日一個という風で、1カ月過ごしました。 栄養失調で倒れてしまい、救急病院に運ばれ検査をして最終的に診断されたのが起立性調節障害でした。 3か月ぐらいで急速に悪化してしまい怖かったです。 集中力低下とかで5だったのが1になってしまったりしました。 部活もできなくなり友達にも会えなくなり寝れなくなりました。 孤独でした。 先生から「もっと頑張りなさい」と言われましたが、ナイフが胸に刺さるような感じで精神的に参りました。 カッターで手を切ろうと自傷行為をしたりしました。笑わなくなって性格も変わりました。 母は私が起きたい3時間前ぐらいから起こし始めます。 血流をよくするためにマッサージをしてくれたりいろいろしてくれましたが、申し訳無い気持ちでした。 父も理科の実験などを夜やってくれたりしました。
高校は受かってもやめる事になると周りから言われました。 どうしても全日制の高校に行きたかったので、夜中に頑張りました。 高校では映画を製作して 今年7月に福岡市内の映画館を借りて手作りの上映会を行いました。 オンラインも活用。 オンラインを含めて2000人ぐらいの人が見てくれました。 コロナで休校中に最初は本を書きネットで売ったのがきっかけになりました。 映画にしてみようと思いSNSで募りました。 すべて検索で映画作りのイロハから調べました。 辛いシーンもあり、つい思い出してしまい投げ出したくなったりしました。 反響がいろいろありました。 いかに負け犬映画を作るか、みたいな、上からではなく横から寄り添える映画を作りたいと思いました。 タイトルは「今日も明日も負け犬」。 映画を見た母親と中学生の女の子が泣きながら「救われた。 ありがとう」と言ってくれて、ちゃんと届いたんだなと思いました。
まずは知る事、知る事が一番大きな一歩だと思います。 この映画も知ってほしいという思いで作りました。 会社には行けないと思うので、同じ苦しみを抱えて社会に馴染めない人たちが働ける場所を作って、一緒に何かできたらいいなあと思っています。