佐藤由巳子(建築・庭・環境コーディネーター)・【心に花を咲かせて】がん患者を支える庭のある空間
江東区豊洲地区に癌と共に生きる人々のための素敵な場所があるそうです。 そこはイギリスのマギーズセンターのコンセプトに沿って作られたもので訪問介護士の秋山正子さんを中心に多くの人の力で完成して今年5年目を迎えています。 そのコンセプトの中にがん患者には庭がとても重要だと書かれているという事です。 イギリスのマギーズセンターを何度も訪問し、マギーズ東京の建物や庭など空間作りをコーディネートされた佐藤由巳子さんにそれはどういう事なのか、伺いました。
(参照 https://asuhenokotoba.blogspot.com/2017/01/blog-post_12.html)
センター長の秋山正子さんが新宿区で長く訪問看護師をしていて、癌患者の皆様を看ていました。 イギリスのマギーズセンターを知って、私たちも誘われて訪問に行きました。 無料でチャリティーで運営されていて、いつでも自由に約束もなく訪問できる場を病院の前に作っている。 そんなものが日本にあったらいいなあという事で、見学に行こうという事でした。 エジンバラのマギーズセンターというところです。 癌でももっと元気なころに一緒に相談に乗ってあげたいという思いがあったようです。 6人で行きましたが、私は建築という立場で誘われました。 現在は30近くありますが、そのうちの3か所見ました。 有名な建築家たちがチャリティーで建築の基本プランとして出来ます。 庭は世界的に有名な庭園デザイナーがデザインしています。
マギーさんという方(中国庭園史家)が癌の再発で56歳で亡くなるわけですが、エジンバラの無味乾燥な病室にいて、医療従事者などにいろいろ相談したいがそれには空間が必要だ、というアイデアからそういった施設を作りたいと遺言に残しました。 日本では厚労省が癌病院内に患者の相談室を作ろうという機運が高まっているので、これからできるんだから要らないよという感じでした。 余命数か月のマギーさんの思いを具現化しようという事でご主人の国際的建築評論家が具現化しようとして財団法人マギーズケアリングセンターができました。 すべてチャリティーで賄う組織です。 秋山正子さんはぜひ日本でも欲しいと言っていました。
日本支部というわけではないですが、国際ネットワークの一員であるという契約を結んでいます。 ハードとソフトが揃っていないといけないという条件があります。 ソフトはOKですが、自然を重視するハードが問題でした。 屋内でも屋外のような空間作りは日本では上手だと思います。 マギーズ東京はそういった工夫がしてあると思います。 まず暮らしの保健室というのを開設しました。 マギーズ東京は今年で5年目を迎えますが、発足にあたって現在の共同代表の鈴木美穂さんの提案で資金の調達をクラウドファンディングでという事で予定の半分をまかなうことが出来ました。 東京オリンピック会場の豊洲に無料で借りられるところがありそこに仮設を作りました。 病院の敷地内ではありませんが、周りに幾つか大病院があります。 借用地なので不安定ですが、希望をもってやっています。
イギリスではマギーズセンターが最も評価されているチャリティー活動だと言われています。日本でも徐々に有名になりつつあります。 木材普及のための期間限定の施設をもらい受け、廃材などを貰ったりして、建築家の阿部勤先生にコーディネートしてもらいました。猫の額の様ですが中庭も作りました。 前の敷地の一部を借りて花畑活動もして訪問者に花束を持ち帰ってもらっています。 イギリスでは病院の敷地内ですが、ここの施設は病院外ですが同じような機能が果たされるものと思っています。 活動が地域の企業、江東区の方にも評価されて、存在意義を高めているところです。 マギーズで穫れた種を無料で差し上げたりして、良い循環が地域で回ってるなと思います。