2021年12月21日火曜日

小泉和子(小泉和子)            ・令和に語る昭和の暮らし

小泉和子(小泉和子)            ・令和に語る昭和の暮らし 

88歳、70年前に建てられた木造二階建ての実家を博物館にして、昭和の暮らしを伝える場所として公開しています。   又このほど母のすずさんがこの家で毎日行っていた家事の記録が「すずさん昭和の家事と家族の物語」というドキュメンタリー映画になり、話題になっています。  小泉さんが令和の時代に残したい昭和の暮らしとは、どういうものなのでしょうか。

スズさん〜昭和の家事と家族の物語〜」というには、今から30年ほど前に私の母をモデルにして、昭和の家事を記録した映画というのがもとになっています。   私は道具、家具、住宅とかを研究していて、動体保存をやろうという事で記録映画にして、それをもとに昭和の家事と家族の物語という事でストーリーを作って、母の名前が付いた映画になりました。   家事がなければ人は生きていけない。  民俗学ではいろいろと記録されているが、普通の家の家事の記録はどこにもないんで記録を撮り始めました。   母は3年後に転んで骨折してしまってその後亡くなってしまいました。    こちらが考えていた家事全部はやってないです。    難しい手間のかかる家事は最初の頃にやっています。   

元々私は女子美を出て油絵を描いていました。   昭和33年に卒業して、家具の設計の会社に入りました。  駒場にある民芸館に行ったら面白い箪笥などがありました。   仙台で作ったものだという事で仙台に行ったら、新しい箪笥ばっかり並んでしましたが、奥の方に行くとおじいさんが 昔話をしてくれて、金具は岩手でまだ作っているという事で岩手に行きました。   金具などを作る伝統産業は全く駄目でした。   古いものは捨ててる状況で、家具の文献もなければ、その歴史もないんです。   調べて60年代に本を書いて、70年代に東大の建築史の研究室に入って、建築史の研究をしながら家具史の研究をしました。   和家具を研究していましたが、洋家具の原稿を書いて欲しいという事になり、洋家具の研究もするようになりました。   1980年代に重要文化財に指定された家具とか室内意匠の復元、修理などの仕事をするようになりました。   日本とイタリアの交換留学制度で選んでいただいて、3か月間修復学校に行って、勉強しました。  文化庁の方の入ろんな文化財を国宝に指定したり修理したりして、日本の文化財状況が判りました。

私の実家の家は昭和26年に住宅公庫を利用して出来ている家なので、今はほとんど建て替えられてしまっています。   庶民住宅として残しておきたいと思い、博物館という形にして公開することにしました。   家具とかだけではなく、生活全般に広がっていきました。  生活史という事で今の状況です。   1999年に公開を開始しました。    

木造2階建てで18坪です。   入口が引き戸で鍵はなく、チリチリンと音がして人が入ってきたことがわかるわけです。    下駄箱があり、洋間があり、階段を上がると一つは子供部屋、もう一つは下宿人に貸すつもりで作ってあります。  洋間になっているのは当時としては珍しい。 洋間の奥が茶の間と台所と6畳の座敷になっています。   ちゃぶ台、茶箪笥、真空管ラジオなどがあります。   竹のざる、氷での冷蔵庫、(半分は氷保存のため)    4DKで家族6人(両親と4人姉妹)と下宿人2人が住んでいました。 私は長女で当時高校2年生でした。   60坪の土地だったので畑を作ったり鶏をみんな飼っていました。   江戸時代は水だけで洗濯していたが、昭和に入って戦前はたらいに洗濯板、石鹸を使うようになる。   腰巻、ふんどし、襦袢などで洗うものが少なく月に何回かしかやらなかった。   洋服がだんだん入ってきてそれも洗うようになってきました。

モットーとして家を残し、暮らしを伝え、思想を育てる、という事にしています。  昭和は家事が重労働の時代でほとんど女性でした。    家電製品、食品、衣服、など企業がやるようになって、便利で、快適にはなってきた。   現在はグローバル資本主義で、温暖化、地球資源の枯渇してくる状況になってしまっている。   オール電化ではなくハーフ電化に戻さなくてはいけないんじゃないのか。    家事は人を育てる力を持っている。   家事は家族みんなでやらなければいけないと訴えています。  不自由があってもいいと思います。  

体操して、6000歩歩いて、週に一回プールに行って体を鍛えています。  老化の記録(78歳開始 パソコンに記録)と、衣類カードを作って44年間継続中です。  衣類カードは衣類の種類、材料の種類、季節、購入場所(今は中国が多い)、金額そして絵を描きます。  1年ごとに保存。   死ぬまで続けていきます。   粗大ごみの家具をリサイクル会社を作って見たいが、研究の集大成をしなければいけない。