2022年4月8日金曜日

井形慶子(作家・洋品店店主)      ・イギリスに学ぶ第二の人生

 井形慶子(作家・洋品店店主)      ・イギリスに学ぶ第二の人生

1959年長崎県生まれ。  大学進学を機に上京しましたが中退、編集補助のアルバイトとして社会人生活を始めます。   その後結婚、出産、離婚を経て28歳で出版社を設立し、イギリスの豊かな暮らしと生き方と考える雑誌を創刊、今に至ります。   2000年に発表した「古くて豊かなイギリスの家、便利で貧しい日本の家」がベストセラーとなり社長業と雑誌の編集長と作家という幅広い活躍を続けてきました。   50代でセミリタイアを目指したご自身の体験的エッセー「年34日だけの洋品店」を去年出版しました。  第二の人生で何かを始めたいと考える人たちへじわじわと注目を集めています。 

イギリスに行ったのが100回以上。   著書もイギリスに関する紀行文、小説などもあり100冊以上。    コロナ禍でイギリスに行くことが出来なくて、ずっと国内にいました。  イギリスにいる人たちの助けを借りて何とか2年間やり過ごしました。   

大学の頃に出版社に行きたいと思っていたが、スクープをもっていけば採用されるのではないかと思って、ヨーロッパ中をキャンプ旅行するツアーがありそれに参加しました。   パリで高田賢三に会いました。(コロナで亡くなる。)  憧れの人でした。   何とかお会いすることが出来てそのことをエッセーに書き出版社に送ったところ、1社から面接に来てくださいと言われその日に内定が出ました。    有名な方のところに原稿を取りにいったりしたときに、住まいのすばらしさに感動しました。   その後結婚、出産、離婚をして1歳の娘を抱えて、働いていました。(24,5歳)     赤ちゃんを連れて女性は一人で海外旅行が出来るかというようなことをエッセーにする企画で出版社へ持ち込んだら、その企画が通って、子供を連れて再度イギリスに行きました。   

ベビーカーで小さな娘を連れて行っていたので、19歳で独身でいった時とは全然見方が違っていました。    夜、カジュアルな民宿を捜していた時に、近所のおばあちゃんたちがきて、「こんなに冷たいのに子供に靴下をはかせていないじゃない」と言われました。   自分が受けいれられているという事を初めてイギリスで感じていました。  ある街で娘に5ポンド(300~500円)の服を買った時に、お金を渡した相手がタンクファッション(顔中ピアスをしているみたいな感じ)の青年が、そのワンピースを綺麗にたたんで、ベビーカーの娘の前に膝まづいて「君のママはこんなに素敵なドレスを買ってくれたよ。 君は世界一のレディーになるね」って言ったんです。  日本では母子家庭で孤独感が強かったので、若者からお年寄りまで社会が人と関わろうとする文化がイギリスにはあるんだと感動しました。

時間を自由にしたいという事と、家が買えるぐらいの貯金をしたいという事で会社を辞めて出版社を立ち上げました。    数年経って再婚しました。  その新婚旅行がイギリスでした。    イギリスの成熟した街並みは本当に凄いんだと思って、毎年イギリス旅行に行きクリスマスを過ごしていました。   写真などもいっぱい貯まって、この価値観を伝えたいと思うようになりました。  「古くて豊かなイギリスの家、便利で貧しい日本の家」というエッセーを書いて、もっとイギリスを知りたいという声が強くなって方向転換しました。    イギリスでは朽ちてゆくのがいとおしい文化なので、集めたものがお金に変る、奥深いところまで知ってゆくと、日本にいてこんなんでいいのと言うようなことが、イギリスに行くと必ず見つかって自分の中のバランスが取れる、それが魅力だなあと思います。  

忙しい時のピークは時間が取れなくて、夜の食事も作れないことがずーっと続きました。 娘は学校をやめて17歳で社会人になりました。   その間大事なところには関われませんでした。  50代の前半ぐらいからすこしづつ ふっとこのままでいいのか感じ始めました。   会社は順調に進んで行きましたが、自分でやり切れるのかなと思った時に、私がひるんだ最初の記憶です。   イギリスの歳を取った女性は品もあり綺麗で、「齢を取った、だから私は自由だ。」と言う言葉があって、人生を輝いて生きるのに年齢は関係ないという価値観なんですね。   イギリスでは50代、60代はゴールデンエージと言われて、これからは自分のしたいこと好きなことをやるんだ見たいな期間に移行する時期なんですね。

チャリティーのためのリサイクルショップがイギリス中で1万以上あります。   そこのレジではおじいさんおばあさんが多いです。   自分の片手は誰かのために空けておく、みたいな考え方があります。   祖父が長崎で金物屋をやっていて売ることの原体験もあり、編み物とかキルトとか服も大好きだったので洋服も作って、自分の店を持ちたいという事で、吉祥寺に店を出しました。  1年間に34日だけ開くことにしました。  無理はしたくなかった。   イギリスにちなんだもの、イギリスに行かなければ手に入らないものがいっぱいいあります。   イギリスのものに触れて、話をしたいというような人が来ます。   コミュニケーションの場ともなっています。  

楽しく生きるポイントと言うのは、早い時期から50代以降の自分の暮らしのイメージを持つことかなあと思います。  人生100年の時代では50代ではまだ半分あるという事ですから。    人生の設計図は自分がきっちり描いて行かないと、誰も教えてはくれない。  自由で好きなことが出来る時間は、人生最大の、誰にでも等分に与えられた宝物かなと思っています。