村松純子(フリーライター) ・自分のからだを知ろう
2003年から「自分の身体を知ろう」プロジェクトと題して、5歳前後の子ども達に身体について教える活動を行っています。 2014年にはNPO法人を立ち上げ図書館や保育園などで、身体のお話会をしたり子供に身体のことを伝える「身体先生」をはぐくんだりしてきました。 現在58歳になる村松さん、実は周りに妊娠していることを知らせるマタニティーマークという発想を生み出した人でもあります。
5歳前後の子ども達に身体について教える活動を行っています。 身体のことを伝えるのに、小学校に上がってしまうと周りのお子さん方の反応を気にするとか、異性を気にするとか、話題がそれてしまう。 伝えたいことが伝わりにくくなる。 5歳前後は好奇心が旺盛で話したことを素直に受け止めてくれる。
「わたしのからだ おとこのこ おんなのこ せいしょっきけい」と言う本、5歳前後の子供にも生殖器のことも教えている。 私たちの本は全部で8冊が組になっています。 消化器系、泌尿器系とか身体の主な系統を8つ取り出していますが、そのなかに生殖器系もありあります。
「自分の身体を知ろう」プロジェクトは聖路加国際大学身体教育研究会のメンバーが中心となっています。 普及活動をするためにNPOを立ち上げました。 マタニティーマークを発案して1999年から個人で細々とやっていました。 妊娠した人、高齢者は、こういうふうに身体が辛くなる、不自由になるという事を皆さんに体験してもらってイメージすると手助けしやすくなると考えて、そういうプログラムを作れないかとおもって、紹介されたのが「自分の身体を知ろう」プロジェクトだったんです。
脳の説明では脳は水のようなもので包まれたお豆腐のように柔らかいものだという事を知って貰うためにタッパーにお豆腐を入れて水が詰まっているものと、詰まっていないものを使って振って見せて、水が無い方はすぐ壊れ、そのうち水のある方も壊れてしまうものを見せて、脳の構造、頭を叩いたりしてはいけないことを知って貰う。
生殖器も身体の一部なので、身体の一部としての生殖器という事では、ほかと同じような程度の詳しさできちんと教えることが大事だと思っています。 生殖に関わる機能としては最低限のことは教えないといけないと思います。
現在の課題はメンバーのマンパワーが足りないという事が一番です。 主なメンバーは大学の研究者、教授などで仕事がありながらの活動なので時間がない。 身体のお話会をする話し手を育てる、「身体先生」と名付けて、「身体先生」研修会を行って紙芝居、本を読むときのコツとか、体得してもらうように活動をシフトしています。 今は150名を越えました。
子供のころからアレルギーがあったんですが、そんなに重度だとは思っていませんでした。 結婚して子供を産むような時期になってきたら、アレルギーが悪化してきてしまいました。 健康に気を使うようになりました。 自分が具合悪くなると辛い思いを身をもって知るようになりました。 妊娠初期だと周りは全然気づかないが、つわりで気持ち悪くなっていると、あの人は酔っ払いなんだとか、二日酔いなんだとか思われてしまうし、貧血で倒れたら人の輪が出来てしまったりとか、行き違いがある体験をしたと言っていました。 妊婦さんであることを知らせるものはなかったです。 マークがあれば気が付いてもらえるよねと言う事で、マタニティーマークを作ろうとしました。 「BABY in ME」と言う言葉になりました。 1年以上考えてたどり着いたのが現在のデザインです。 妊婦のお母さんの絵がありお腹にはピンクのハートのマークがあり、赤ちゃんを表現しています。
厚生労働省が始める5,6年前のことでした。 身に付けて歩いてもらえるのかという事は疑問でしたので、とりあえずシールにしてステッカーを作りました。 バッジにして電車に乗った時に席を譲ってくれたそうです。 メールで連絡が入ったのでバッジとかバッグに下げるものにしました。(翌年)
子供たちが身体の話を聞いて全部は理解出来なくても、身体への見つめ方の意識が変わってくると思います。 最終的な私たちのプロジェクトの合言葉は「身体の知識をみんなのものに」という事です。 マタニティーマークは話のきっかけになってくれればいいなあと言う思いもあり、気遣いはその先でもいいのかなと、コミュニケーションツールだなあと思っています。