假屋崎省吾(華道家) ・美をつくる 夢の力(1)
子供のころから両親の影響でNHKの「趣味の園芸」を観て、庭で植物を育てるのが得意だったという假屋崎さん、大学生の時に生け花と出会い、空間を大胆に使う斬新な作風で注目されるようになります。
今では生け花に留まらず、TVでのタレント活動や、着物のデザインなど幅広く活躍する假屋崎さんの話を伺います。
35年の華道家生活を振り返ります。
TVに出るようになって時間的に難しくなって髪の毛を切る時間が無くなり長くなってしまって、黒だと重たいので金髪にしました。
服装も花柄など選んで着るようになりました。
TVなどに出る時も自前でやっています。
華道歴35年になりました。(59歳)
一日一日が早すぎて、あっという間に過ぎました。
展示会などで作り上げてしまうと、もうそれは過去のものとなってしまいます。
振り返るとああすればよかったこうすればよかったということが一杯あり、嫌悪感があったりするので振り返らないようにしています。
小さい頃は人見知りする性格でした。
今ではサービス精神が旺盛でついお客様の立場にたって思ってしまいます。
26時間位製作にあたって、スタッフも入れ替わりしましたが、展覧会の会場で行ったこともあります。
枝ものはありとあらゆる花木があり、3m位なものもあり、枝ぶりを観てその場でどこにしようか、配置を決めます。
いろんな角度、広がり、色のコントラスト、香り、など迫力あるものが楽しめると思います。
自然の色を謳歌してもらうようにしたことと、枝に色を塗ることによって再生するとか、具体的には竹を割って内側に何色も塗って構成した作品もありました。
自然の色の良さと人工的な色彩との対比、そういった形で構成しました。
土を使った作品、「舟」という作品も作りましたが、人気がありました。
園芸店で買った黒い土を300袋使用して半分水を使って練って作りましたが、段々乾燥してくるとひびが出来てしまいます。
最終日近くには芽が出てきて、植物は土から色んなものが成長する、輪廻転生みたいなものを感じました。
タイトルとか説明とかを余りしたくは無い方です。
観る人がなんでも感じてほしいと思います。
生け花は活ける空間がとても大事で、花材、器、活ける人、この4つの出会いで生け花は成立するが、活ける空間を一番大切にしています。
小さいころから好きだったのが古い建物でした。
神社仏閣、歴史的な建築物に花を活ける展覧会を数多くしてきましたが、ライフワークと言えるのが城で活けると言うことをやってきました。
松山城で活けさせてもらったことがありますし、名古屋城本丸御殿で絢爛豪華な空間の中で、お花を活けさせて貰ったのも思い出深いものです。
古い建物(目黒雅叙園の保存建築「百段階段」)の開かずの間がありそこでもやらせていただいたこともあり、一番多い時で7,8万人来て下さった年もあり、毎年恒例の行事になりました。
長い階段があり両脇に部屋があり一つ一つの部屋に作品があります。
朝から晩まで3日間かけて搬入して作品化して、全エネルギーを注ぎ込みました。
花と建物が融合するように個性的に毎年テーマを決めてやってきました。
生け花は日本独自の文化です。
エネルギー源だし、四季を感じさせるし、癒してくれるし、これからも身近に感じていただければと思っています。
日本の建物に花を活けると本当にしっくりします。
色は自然界が生みだしたもので、生きていると言ったものをいとおしむとか、大切にするとかそういったものを日本人は忘れてはいけないことで、そういうものも感じさせてもらえる。
つぼみが段々と咲いて花が開いて、散って行くさま、刻一刻美しいという思いをさせてくれます。
花は自然の中で一旦完成形として出来ているものだから、それを活けると云うことについては襟を正すような思いで向き合っています。
一旦自然界が完成させた美を、自分の手によって新しいものに創造させるということが自分の生け花だと思っています。
父が59歳で他界して10年たって69歳で母がこの世を去ったので、一日でも長生きしていろいろ経験して感動してもらえるように取り組んでいますが。
TV、教室、デザインなどよくこんなにやらせていただけているかなと思います。
糖尿病なので主に自分で作って食べています。
海外旅行が大好きで1~2カ月に一回行っています。(自分が好きなことができる時間、美の探索)
やりたいことはいっぱいあり、花は若い方に教えたり、活けたことのない空間があるのでチャレンジしたい、作風ももっと違うものを生み出せるように挑戦したい。