江原正士(声優) ・〔時代を創った声〕
トム・ハンクス、ビル・マーレイ、ウェズリー・スナイプスなどの俳優の吹き替えなどでご存じの方も多いのではないでしょうか。 小さいころはぼーっとしてリるような子でした。 小学生の頃は歌はうまかったらしいです。 野山を駆けずり回っていました。 高校時代受験戦争に巻き込まれて、興味の対象がほかに行ってしまいました。 大学も映画部に入ろうと2年受験挑戦して失敗して、どうしようというところから始まりました。 高校の後半は良く映画を観に行きました。 東宝に行って映画監督になるにはどうしたらいいでしょうかと聞いたのを今でも覚えています。 チャールズ・チャップリンの映画を観て吃驚して映画監督を志そうと思いました。
俳優学校に入りました。 全くの素人でいろいろなことに対して吃驚する事ばかりでした。 ソーダ水を初めて見る女性のセリフに対して、、映画監督 山本嘉次郎が参考として実演した姿が、年配だったにもかかわらずその場にいた女性たちよりも一番女性らしくみえ、その表現の見事さに驚いたと同時に「表現とは何か」と思い立って芝居を勉強しようと思いました。 2年ぐらい経過して、劇団四季を受けようと6人で行って、それがばれてしまいました。 ここでは朝9時から12時まで完全に踊りでした。 映画を作りたいという思いがあり、稽古場で撮ったりして居たら、問題となり辞めた方がいいのかなあと思って辞めてしまいました。 観劇した舞台での西田敏行さんの演技に感動し、西田さんが所属する劇団青年座のオーディションを受けて、映画放送部に移籍しました。 地方巡業した緒形拳さん主演の『王将』のある役を頂きました。 勉強になりました。
スバルに行って、ディズニー系のアニメをやりだして、その辺から随分アテレコをやりだして、連日やりました。 絵を良く見るように心掛けました。 追いかけて行って発するセリフとか、吹き替えではいい声でみんなしゃべっていてリアルさがなく、オリジナルに近い芝居をしたいと思いました。 声の仕事が多くなりトム・ハンクスさんと巡り合い、ビル・マーレイさんはリズム感が独特でした。
トム・ハンクスさんの「ホレスト・ガンプ」1994年に制作。 純粋さを出せなかったら、アウトだと思って良く観ました。 でも苦ではなかった。 役者さんがやっている役に成りきるように努力しますが、でもちょっと近づける程度ですが、でもそれをやらなかったらみんな字幕を見ちゃいますよね。 アニメはあまり動かないので、キャラクターつくりを優先するようには成りました。
若い声優さんに対しては、表現は多種多様にあるので、いろんなものを観ながら、絵を観たり、いろいろなジャンルの音楽を聴いたり、自分のベクトルをいろんな方向に回してほしいです。 昔の映画を観てフィードバックする。 現場でも辛いことがいっぱいありましたが、結局は自分との闘いなんですね。 自分一人だけでは生きてはいけないので、ある意味バランス感覚、屈するのではなくて、そういったアンテナをどこかで訓練していかないと独りよがりになってしまうし、難しいところではあります。 友人とか大事にして、きずなを大事にしておくといいですよね。 役者は精神的なパワーがないと成立しない仕事なのかなあと感じて、心を鍛えてくじけずにいけたら幸せです。 自分の思うクオリティーを保ってゆく努力はしていきたいと思います。 声優、俳優にとって大切なことは、精神力だと思いいます。 世界を広げて欲しい。 声優、俳優の魅力は、自分が自分じゃなくなる瞬間だと思いますが、自分が拡大してゆくとか、結局は自分なんですよ。 いろんな役を引き受けても自分からは逃げられない。