藤原岳史(一般社団法人ノオト代表) ・人と暮らしが資源です ~古民家再生14年・見えてきた地域の魅力~
藤原さんは兵庫県篠山市出身48歳、一般社団法人ノオト代表として空き家になった古民家群を通りや集落といった単位で一つのホテルとして運営する分散型宿泊施設というアイデアで再生して地域の賑わいを次の世代に繋いでいこうという活動を14年前から行っています。 地域の持っている本当の資産とはなにか、宿泊施設としての古民家の運用の実際等について伺いました。
一つの集落の中にカフェ、レストラン、宿泊棟とか面で展開しているようなイメージです。 丹波篠山に高校まで育っていました。 大学を出て地域に帰ってこない人間でしたが、前職のIT企業が上場を迎えますが(2007年)、正月とか帰省し、空き家になって居たり気になりました。 放っておくと自分の故郷自身がなくなってしまうのではないかと思いました。 なんか故郷に貢献できるような事業が出来ないものかと戻った次第です。 最初は手探りで何でもやっていました。 農業の振興に取り組んだり、婚活活動のプロデュースとかいろいろやっている中の一つに古民家がありました。
篠山の集落の中に12軒の古民家があり、7軒が空き家で5軒が住んでいるところがありました。 2008年から2009年にかけてその集落に関わりました。 地域の方々と半年で20回ぐらい話し合いをしました。 やっぱり残したいという事でした。 7軒の空き家を宿泊棟にしたり、レストランにすることによって未来につなげていこうと決まりました。 観光が主流だと思われますが、集落が持っている歴史、暮らし、文化を発信していこうと、そして共感していただける方に、一日の住民の様に泊っていただくという事に価値があるのではないかと、考えました。 1/3~1/2はリピーターになって行きます。 おじいさん、おばあさんが自分が小さいころ教わった遊びとか、暮らしの知恵みたいなものを教えたりします。 30%の稼働率であれば、なんとか行けるかなあと思いましたが、14年経っていますが、最初から未だに30%稼働です。 ホテルとか宿泊施設では70%を維持しないといけない状況です。 長く持続してゆくことが最優先なので、30%でも可能です。 30%を超えてくると住民の負荷もかかってしまうこともあります。 1棟1泊5万円ぐらいします。 3倍ぐらいしますが、辻褄を合わせています。
空き家があるという事は畑、田んぼの耕作放棄地も出るので、田んぼも貸しますよという事で、春に作付け、夏メンテナンス、秋に収穫に来る。 その間は村の人が手伝う。 宿帳にいろいろ書き込むことでお客さん同士が繋がり合って、一緒に酒米を作りませんかという事で、お金を出し合って日本酒を作ったりとか、しています。 オープンして4年目で空き耕作地がゼロになりました。 想像していませんでした。 他にも人口減少で悩んでいる地域があると思って、今全国30か所ぐらいに広まっています。 地域ごとに全く違ってきます。 城下町では空き家が100軒、200軒あって、事業者を誘致して地域の雇用を増やしたり、取り組みをいろいろ工夫しています。
歴史、文化の薄いところではお手伝いをすることが難しいです。 バトンを渡して行く仕組みが一番大切です。 そこに対して貢献していきたい。 総務省の統計では昭和25年前に建てられた古民家は全国で150万軒あります。 明治時代より前にあった村は再生できると考えています。 そこには歴史、暮らし、文化がある。 それが資源になります。 世界レベルの一日の住人をもっと増やしていければ、日本の人口減少の一つの歯止めになるのではないのかなあと思います。