大場克巳(やさと茅葺き屋根保存会会長) ・茅葺き屋根のある原風景をいつまでも(かやぶき)
茨城県石岡市内には茅葺き屋根の建物が40戸ほど点在しています。 やさと地区には茅葺屋根の住宅が多く残されています。 大場さんの住む茅葺の家は平成17年に国の登録有形文化財に指定されました。 大場さんの本業は観光ブドウ園の経営です。 訪れた人に自宅の茅葺の家を解放し地域の文化を伝えています。 日本の里山の原風景を守り続けたいと取り組んできた大場さんに茅葺屋根の魅力を伺いました。
筑波流と言って全国の中でも技術的にも優れていると思います。 上に小屋がありますが、けむだしと言って、昔はなかで燃やしていたので、そこから煙が出ます。 飾りもあり職人さんによってまちまちです。 竹を白く染めてあり、断面が飾りになっています。 この辺では竹簾まきと言っています。 木槍をイメージしたものもついています。 軒下に動いてみると断面が何層もなっていて、うちでは5層ですが、6層、7層と言ったものもあります。 段になっていて一番下が白で、次がやや黒、といった感じで、通しものと言います。 建物の横から見ると竹を割ったりして作ってありますが、キリトビと言ってうちの場合は松竹梅になっています。 屋根の頂上部分に赤、緑が見えてますが、緑は松、赤は太陽、白は梅。 周りには波のような模様があります。 龍とかいろいろあります。
一歩入ると土間になっています。 上を見ると太い梁は何本も見えます。 竹が沢山敷き詰められています。 昔は中で燃やしていたので黒くなっています。 この家は200年ぐらい経っていると思います。 300年ぐらいの建物もありました。 小さいころから職人さんの仕事を良く観ていました。 平成17年に国の登録有形文化財に指定されました。 観光ブドウ園として最初に私のところで開放しました。 山梨の勝沼に研修に行ったのがきっかけでした。 果物は新たな挑戦でした。 雨よけ栽培と言って3月末から畑の上にビニールを被せます。 目的は農薬を出来る限り少なくする。 雨が降っても中で仕事ができる。 ケヤキなどの葉っぱでたい肥を作って栽培しています。 50年ほど前からやってきています。 実が付くまで3年ほどかかりました。 車で販売などもしました。 新聞などにも取り上げてもらいました。
昔は囲炉裏などで燃やしていたので冬でも温かかったです。 夏の涼しさは一番の取り柄と思います。 冬は炭火でやっています。 煙で昔は茅葺屋根は長持ちをしました。 屋根の前が10年持つとすると裏は7年ぐらいしか持たないです。 維持してゆくのが大変です。 やさと地区では母屋とか長屋門とかで50戸ぐらいです。 やさと茅葺き屋根保存会会長をやっています。 行政でも最近は屋根をふくことによって補助金がでることになっています。 萱は減ってきています。(育ちも悪い。) ボランティアを募って萱刈をしています。 昔は萱のほかに藁も使ったりしましたが持ちは悪いです。
お互いに協力し合って出来る限り茅葺屋根を残していけたらいなあと思っています。 茅葺屋根に対する情熱はお客さんの声です。 息子も頑張ってくれています。