鎌田敏夫(脚本家・小説家) ・ヒットドラマを生み出す秘けつ
1937年徳島県生まれ。 早稲田大学卒業後シナリオ研究所で学び、脚本家の井手俊郎さんに弟子入りします。 1972年『飛び出せ!青春』の脚本でデビュー、『俺たちの旅』シリーズ、『金曜日の妻たちへ』、『男女7人夏物語』などの大ヒットドラマの脚本を担当しました。 又『戦国自衛隊』『里見八犬伝』などの映画の脚本なども手掛けています。 1994年ドラマ『29歳のクリスマス』の脚本で芸術選奨文部大臣賞、第13回向田邦子賞受賞。 NHKでは大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』や『逃げる女』などを手掛けています。
アメリカでは歳の話は全く出てこない。 他人の歳は気にしないようにしています。 他人の歳を気にしなければ自分の歳は気にならない。 「マヌエラ」の脚本を書き終わったところです。 ダンスは好きです。 戦前にSKDにいたマヌエラさんが上海に駆け落ちする。 国籍不明の大人気ダンサーになったというストーリー。 元宝塚の珠城りょうさんが主演を演じます。 歌とダンスは芸能の原点だと思っています。 未開なところに行っても必ず歌とダンスは有ります。
徳島県の農家でした。 農家での経験が今になっています。 小学校3,4年生のころ、農家では共同作業で昼頃には終わって一杯飲んでいて、エッチな話をしているわけです。 「金妻」などの原点はそこに有ると思っています。 何十年も経ってあの時の風景だと思ってやるわけです。 就職口がなく、食うために脚本家の道に進みました。 脚本家になったらたまたま食えたという感じです。 シナリオ研究所で学び、卒業制作が初めての脚本でした。 脚本家の井手俊郎さんに弟子入りし6年いました。井手さんの「これが青春だ」にいれてもらいました。 フリーライターとして『飛び出せ!青春』がデビュー作となりました。 それまで青春ものは、根性ものでした。 それを辞めようと思いました。 『俺たちの旅』シリーズになって行きました。 青春の頃って切ないんですね。 いろんなものを引きずったものがありましたから。 テレビでは結果的に数字が出ますが、気にしてもしょうがないですね。 たまたま視聴者にヒットしたら、当たるというか時代にヒットする。 一番大事なのはキャラクターです。 その一つが視聴者に対して面白い。 時代にあっている。 自分の中の何かと合っている。 この三つないとキャラクターがつっかえる。
『29歳のクリスマス』 時代を読むのではなく、時代のなかにいるという気がしますが。 女性が責任を持たされるようになった。 いろいろ難しい問題もかぶさって来る。 偶然周りに助けられてヒットする気がします。
NHKでやった『逃げる女』 女性たちは個性的に強かった、強さの質が違うような気がしましたが、やはり芯が強い女性ですね。 スタッフ、周りなどとは会社と違って上下関係がないから、ちゃんと平面で話し合わないといけない、それが一番大事だと思います。 この人に出会わなかったら、という人は4,5人ですがいますね。 その人たちに出会えたことが凄くよかったと思います。 連続ドラマで締め切りがあるというのは大変です。 掛け持ちはしたことはないです、仕事にしたくないから。 楽しくやっているという事は伝わりますよ。 過去の作品とおなじようなことは書きたくない。 今でも手探りでやっているので、ドラマって判らないです。 ドラマの中で、自分の不幸は自分のせいだと思って生きている人が多いから、強いかもしれないです。