2022年11月4日金曜日

賀来千香子(俳優)           ・いつも等身大の魅力を

 賀来千香子(俳優)           ・いつも等身大の魅力を

女子美術大学短期大学在学中に女性誌のモデルでデビューして、若い女性の憧れの存在として人気になりました。   その後俳優に、1980年代から90年代トレンディードラマに数多く出演しています。  又舞台にも活躍の場を広げています。  現在、Eテレで毎週金曜日午後8時から放送されている「明日も晴れ 人生レシピ」の司会を担当しています。  

高校3年生で女子美術大学短期大学への推薦入学が決まって、アルバイトが解禁になり近所のファーストフードに履歴書を持ってゆくか、スカウトをされていた事務所に行くべきか、親に大反対されながら短大に入ったぐらいに、雑誌のモデルとしてデビューしました。  アルバイト感覚だったので将来どうしようか、父が銀行員だったのでそちらの方か、美術系とか、まだ漠然としていました。  NHKの連続テレビ小説に応募しましたが落ちてしまって 、TBSさんを受けたら受かって、1982年TBSドラマ『白き牡丹に』にて女優デビューしました。   基礎が出来ていなかったので、その後はちょっと仕事がない経験もして、ジョギングなどをしていたら、又仕事を頂きました。  

面白いのと難しいのとあり、今一番本当に大変な仕事だと思っています。  一人の人生、人格を表現することは本当に大変な事だと思っています。   その役の人生から学んだことが多いです。   切れ目なくやってこられて、その方が安心と感じました。  男女7人夏物語』など思い出深い作品です。    「細雪」の舞台を10年近くやってきました。  大舞台劇場でやるのも経験させていただきました。   船場の言葉遣いが難しいんですが、谷崎先生の独特な世界に引き込まれるようで楽しかったです。  

日本の美しさを伝えたいという思いがあり、着物の美しさ、日本の伝統美を感じます。   桜、船場言葉とか品のいい美しさが大事だなあと思って、「細雪」に関してはそのようにさせていただきました。   所作も大事ですね。  幸子役(次女)は私にとって大事になりました。  潤滑油のような役で、家族思いのとても優しい人だなあという風に思います。   今度は夏目漱石の奥様役で、「吾輩は漱石である」 井上ひさしさんがやって39年振りという事です。  漱石が修善寺で吐血するというところから始まります。   稽古が始まって難解なところは有りますが、小気味いいセリフは気持ちいいというか、なんて言ったらいいか・・・、はっきり言ってレベルが高いです。   凝縮されていて気が抜けないです。  井上先生のものはどのセリフも行間も計算されてるというか、凄いですね。  休憩を入れて2時間半ぐらいです。  

漱石が修善寺で吐血して生死をさまよって、30分間の合間に漱石の頭に浮かんだ断片的に浮かんだものが、浮かんでは消え、浮かんでは消え、といったものが芝居になっている。  細かな動きにも漱石の考えが反映されていないといけないというようなところがあります。事前に漱石の本を20冊ぐらい取り寄せて、漱石の漫画も何冊か買って読んだり、検索して調べたりして、漱石の妻の鏡子は悪妻と言われたりしているが漱石を愛していて、流産した後ナーバスになって自殺未遂という様なこともありました。  その時漱石はどこかに行かないように赤い糸を結わいていたとか、いろいろなエピソードがあります。    鏡子が書いた『漱石の思い出』は読まないほうがいいかと思ったが、途中から読んで結果的に読んでよかったと思います。   役づくりのための勉強がとても楽しかったです。  昔読んだ「心」と今読むのとでは全然違います。   年代によって発見があります。 

Eテレの「明日も晴れ 人生レシピ」の司会を担当しています。   とても勉強になり、あきないです。  楽しみながらいろんな役をさせていただきたいです。