坂本千夏(声優) ・〔時代を創った声〕
アニメ「フクちゃん」のフクちゃん、「キャツアイ」の三女来生愛、「となりのトトロ」では妹の草壁メイ、「それゆけアンパンマン」のてんどんまんなどで活躍中です。 「それゆけアンパンマン」は35年目を迎えています。 ちびぞうくん、うめぼしばあやなどのキャラクターも演じてきました。 「それゆけアンパンマン」は赤ちゃんなども目に触れる作品なので楽しくて、てんどんまんも人気があるよと言われると嬉しいです。 子供のころ観た子が親になっています。
小さいころは歌う事、本を読むことが好きでした。 漫画の主題歌の歌も歌える人になれればいいなあと思っていました。 声優になるにはお芝居の勉強をしなくては駄目ですと言われました。 高校時代は横浜の横浜フォーク村のサークルに参加していました。 ヤマハでもレッスンを受けていました。 友人と組んでいたバンドでヤマハポピュラーソングコンテストに出場し、優秀歌唱賞を受賞しました。 高校卒業後は歌って芝居がしたいと役者を目指し養成所に入りました。 2年目に出て、そこから頑張りました。 演技の基礎を学びました。 もがいたりすることは大事だと思いました。 それを解決するのは時間とか、自分で解決するしかないですね。 より声優色の強い東京俳優生活協同組合(俳協)へと移って、1981年にデビュー。
1982年に「フクちゃん」で主役。(23歳) 横山隆一氏の「フクちゃん」のテレビアニメ版。 原作は1936年に新聞に連載された4コマ漫画。 それまでの4年ぐらいはほとんど仕事が来ませんでした。 その間は友達が出ている作品を観るとか、映画を観るとか、お客さん側にいて、こっち側にいては駄目と思って、駄目なら外国に行こうかなと思っていたところに、「フクちゃん」のオーディションが決まって嬉しかったです。 主題歌も歌わせてもらう事になり夢がかなったと思いました。 周りの人たちも喜んでくれました。
1983年「キャッツアイ」 1984年「らんぽう」など毎年大きな作品に携わるようになる。 1988年「となりのトトロ」、「それゆけアンパンマン」のてんどんまん。 一気に忙しく成りました。 食事もおにぎりやサンドイッチの時代になってしまって、みるみる元気がなくなり、これでは駄目だと思いました。 工夫しながらやって行きました。 リハーサルなど手の抜き方が判らず、本番の雰囲気でいつもやっていました。 「となりのトトロ」では妹の草壁メイでは元気な雰囲気がやり易かったです。
子供と関わる仕事をやりたいという事は小さい時からありました。 読み聞かせの活動とか、今も月2回ボランティアでやっています。 これからも続けていきたいと思っています。 絵本を選ぶのも楽しみです。
声のコンディションつくりには苦労をしてきました。 声が出なくなってしまったり。 コロナ禍になって、収録が止まったり、舞台活動が止まったりして、やっぱり私たちは表現することを止めては生きていけないんだなと言う事を、みんなが気付いたと思います。 工夫をして皆さんにお届けできる方法を捜して続けてきたと思います。 打ち入り、打ち上げが出来ない、若い人達とのコンタクトもできないなど寂しい部分があります。 アイコンタクト、マイクワークなどそれぞれ利点欠点はあります。(利点は自分に集中できる)
今の若い人は選ばれて、選ばれてきているので上手ですね。 声優を目指している人には約束、時間は守る。 自分が何で止まっちゃているということは、誰かに伝えた方がいいんじゃないかと思います。 ハイハイと前にしゃしゃり出て行かなくてもいいのかなと思います。 スーッと出られるときに出ればいいと思っていて、この人良いなと思ってくれている人が絶対いるからね、とは言いたいです。 声優にとって大事なことは、書かれていることをちゃんと伝えられるという事ですね。 歯は大事で、歯は食いしばれなくなるとパワーがなくなると思います。 身体のメンテナンスは大事です。 私は周りに迷惑を掛けないように、いつも一生懸命やろうと思っています。 取っておかない、次はないかもしれないので、今やる、本気でやる。