2022年10月30日日曜日

阿部隆弘(NPO法人コーディネーター)  ・『有言実行』で障害者と農家の架け橋に

 阿部隆弘(NPO法人コーディネーター)  ・『有言実行』で障害者と農家の架け橋に

農業の現場では高齢化などによって担い手の減少が止まらず、労働力の不足が深刻です。   一方障害者の方々のさらなる雇用や活躍の場が求められています。  そんな中、農業と福祉が手を結んで障害者が農業の担い手となる取り組みが広がっています。   今日は大きな成果をあげて注目を集めているNPO法人香川県社会就労センター協議会のコーディネーター 阿部隆弘さんに、その仕組みや成功の秘密、そして市役所の定年後に大きく道を開き71歳の今が一番充実しているという、阿部さんの情熱と人生について伺います。

ニンニクが最盛期になっていて、全国2位の出荷量で、他にブロッコリー、玉ねぎ、うどんに使う青ネギ、金時ニンジンなど作っています。   香川県では高齢化で農業では働き手を必要としています。   仕事を捜している障害者、福祉関係の間を結び付けるコーディネーターの仕事をしています。   NPO法人香川県社会就労センターは昭和58年に県内の身体障碍者施設と知的障害者施設を中心に発足しました。  現在は県内の80%の障害者就労施設が加盟しています。  平成20年にNPOの法人化を取得しました。   農家とNPO法人が農作業を請け負う契約をします。  身体障碍者施設に対して参加を募集します。  仕事の内容によって作業金額を決めて実施しています。   ポイントは障害者を農作業に派遣する共同の受注農作業システムを確立したことです。  今は101の農家さんに40の施設に参加して貰っています。 

農家さんによって作業の内容、日にちが違いますので、施設の方で合わせて対応しています。   スタート時の平成23年には18ヘクタール、令和3年では27,5ヘクタールと1.5倍になりました。    ニンニクの定植、ビニールのマルチを掛けて芽出し作業、翌年5月収穫という事になります。  収穫は楽しくやり易い作業です。  農家さんとは作業内容を分担しています。   菜の花の切り取り作業で午前、午後の作業者の長さの連絡がちゃんと伝わらずに、倍の長さで切っていることがあり、そういった失敗もあり、もう来なくいいと断られてしまったという失敗もありました。 

施設の職員さんが十分に理解してもらって指導するようになっています。  最初のころは不安視されましたが、段々と口コミで広がって行きました。  職員と障害者さん合わせるとスタート時に比べて7.8倍になっています。   コロナの影響もありました。  コーディネーターとしてはまず情熱が必要で、気力、体力も必要です。  

元々は高松市役所の水道局の事務の仕事をしていました。  11年前に定年退職して、嘱託でその後も2年間いました。   在職中に3年間福祉事務所で身体障碍者のケースワーカーを担当した経験があり、香川県社会就労センター、から声が掛かりました。  迷いましたが、この仕事の先輩が急死して、彼の娘さんが障害者で、彼の志もあるので最終的に引き受けることにしました。  主に農家さんから作業の内容など教わりました。   協議会の大きな目的としては、障害の種類を問わず働くことを支援して障害者の工賃の増額をしてゆくことが目的です。   雇用契約を結ぶA型では令和2年では全国平均で月平均7万9600円ですが、一般的に就労できないB型では平均1万5770円です。  香川県では令和3年1万6890円で約1000円ほどは全国平均よりも高くなっています。  

『有言実行』と言いう事でやってきました。  まず目標を立て努力してきました。   国内では全国市役所卓球大会、四国市役所卓球大会に何度も出場しました。   日中国交記念20周年の卓球大会にも出場しました。  20歳の時に四国の東半分を自転車で回りましたが、途中で死にかけました。  徳島で友人宅に泊って飲み過ぎて、翌日の出発が1時間遅れてしまって、飲まず食わずで出かけました。   意識を失いかけていた時にトラックの運転手から声を掛けられ、「さっき崖から落ちよったぞ。 湧水を飲んで休憩していかんと、死んでしまうぞ。」と言われ対応してその時にはうまくいきました。   翌年オートバイで夕暮れに交通事故を起こしてしまいました。  軽乗用車とぶつかり肩に白い骨も見え出血もしていました。  一回目は血を止める手術、2回目は骨、筋を繋ぐ手術をしました。 リハビリを始めて、その時に水道局に対して恩返しをしないといけないと思いました。

その時から身体を鍛えることを継続していきました。  いつ自分も障害者になるのか判らないので、身近に感じていました。   障害者の方、農家の方にも正直に本音で言ってもらう事が大事です。   それが『有言実行』になるわけです。  今年から新たに水耕栽培をはじめました。  ベビーリーフという植物です。   

喜ばれる仕事を継続していきたいですね。  農業と福祉の連携については全国にこうしたシステムが浸透すれば、地域の活性化になるし、高齢化でも農業も続けられるので、障害者、農家の方が元気になれば地域も元気になると思います。  天候、農家さんからの依頼内容などいろいろあるので細かいスケジュール、対応が必要です。