2022年10月8日土曜日

大釜正希(性の多様性への理解と 支援を広める活動)・【人ありて、街は生き】 LGBTQ 大人に知ってほしいことがある

大釜正希(教育現場で性の多様性への理解と支援を広める活動をしている)・【人ありて、街は生き】 LGBTQ 大人に知ってほしいことがある 

大阪市は2017年LGBTQなど性的マイノリティーを対象とした大阪市パートナーシップ宣誓証明制度を始めました。   初日に証明書の交付を受けた3組の中に大釜正希さんがいました。  大釜さんは大阪府内の団体職員ですが、本来の仕事とは別に学校や地域の会合に出向いて LGBTQ への理解を深める活動をしています。  原点は自身のこれまでの体験にあったと言います。   教育現場でしかも小学校などでの早い段階での啓発が大切だという大釜さんに伺った2019年のインタビューを聞きいただきます。

宣誓書はA4サイズの紙です。 「私たち宍戸洋平と大釜正希は大阪市パートナーシップ宣誓の証明に関する要綱に規定するパートナーシップ関係にあり、互いを人生のパートナーとすることを宣誓します。」2018年7月9日  となっています。  裏面には市が認めた内容が書かれている。  行政が認めたことになります。  10月に祝福と誓いの式も友達を招いて教会で行いました。   

祖父の代までは静岡で曹洞宗のお寺でした。  3歳の時に幼稚園の先生から女の子とばかり遊んでいないでもっと男の子と遊びなさいと言われ、ちょっと気付きました。   幼稚園の頃の体験は色々インパクトがあり、男の子の小便のトイレに行くのが厭で個室を使っていたら、先生に個室のトイレに入っていたら閉じ込められたりしました。   親からは特に男の子らしくするようにとかは言われていませんでした。   小学校では先生からオカマっぽくするんじゃないと言われました。   そうすると子供たちが真似をしていう様になりそれが厭でした。   思春期になると恋愛感情が出てきて、相手が女性の場合もあれば男性の場合もありました。  自分はいったい何者なんだろうと揺れ動いていました。 大学になるとゲイとかレズビアン、トランスジェンダーとして生きている人とかいろんな人と出会って行きましたが、なんかしっくりしませんでした。    或る男性と付き合っていて、家に来る機会があり、親は友人だと思っていたんだと思いますが、私が体調を崩して熱を出してしまって、看病しながら一緒に寝てしまったのを親に見られてしまいました。  付き合っているという事を親に話をしました。  父親は理解してくれましたが、母親は友達としてしか受け入れられないような反応でした。   二人でパートナーシップの式に臨み、両親も参加してくれました。  母親は絶対しゃべらないと言っていましたが、一番しゃべっていました。

大阪高槻市の小学校の教室、教員を対象にしたLGBTの研修会に大釜さんは講師として招かれていました。  子供たちのどんなサインを見落としてはいけないのか、丁寧に解説していきます。

性的指向と性自認いついて、性自認は自分のことをどんな性別なのか認識しているか、自覚しているかを表す言葉です。   性的指向は同性を好きになるという人もいます、男性、女性ともに好きになるというのもあります。  全性愛という、男性女性のくくりを越えたものもあります。   これだけではなくいろいろあります。  LGBTの子供の7割は暴力やいじめにあっているというデータがあります。(2013年の調査)    いじめは身体的なもの、叩かれたり蹴られたりという事があります。   言葉による暴力、仲間外れ、無視というようなこともあります。   31~41%の子供が自殺を考えたという2013年の調査結果があります。   自分の性に違和感を感じる子供たちの6割は誰かに打ち開ける経験があるという数字も出ています。   打ち開ける相手は同級生が6~7割、親とか教師へは1割程度と言われています。    メディアとか私たちが日ごろからどういったメッセージを子供に伝えているか、どんなかかわりをしているかが大事で、子供への影響があります。  LGBTの子供がいるという事を前提に考えていかないといけないと思います。   

学校ではトイレのことは大きいですね。  作文だと男なら僕、女なら私という風に書かなければいけない指定があると作文が書けない子がいる。  第二次性徴期、喉仏、髭などに対応する。  下を向いて話したり、髭を抜いてしまったりすることがある。  胸のふくらみが目立たないように猫背に成ったりする子もいます。  制服の問題もあるが、選択できるようにとか、ちょっとずつ変わって来てはいます。   話を聞いてくれる、LGBTを笑いの対象にしない、多様性を理解する先生だったら相談しやすいと思います。    

打ち明ける側としては、その前も後もただそのまま変わらないでいてもらえるのが一番良いなあと思います。   対等に話を聞くという事は大事だと思います。  打ち明けられた先生が一人で抱えるのではなく、先生も周りの機関などともかかわりを持って繋がっていくという事も大事にしてほしいと思います。   

LGBTの当事者であると言いう事が判って、親が受け入れてくれなかったら、その日から生活の場所を失うかもしれないので、親の理解はとても大事だと思います。   ありのままに生きてゆくのか、今までの社会の固定観念を押し付けて生きてゆくのがいいのか、どっちが幸せなのかというのを考えてもらったら、答えは出るのではないかなあと思います。 

自分自身がまず自分の中で自分のことをちゃんと受け止めてあげる事、自分を救えるのは自分でしかいないので、まず自分が受け止めることが大事だと思ています。   当事者は悪いわけでもなんでもないので、もっと自信をもって勇気を持ったり出来る人は、そうして言ってもいいのかなあと思います。  

2019年の電通の調べによるとLGBTの比率は8.9%、2016年LGBT総合研究所の調べでは8%、2019年の大阪市の調べで3%、調査によってばらつきがあります。   いじめに合うピークは小学校5年生から中学校2年生にあるというデータもあります。  追い詰められて自殺を考えたことがある子が4割近くに達するというデータは心にとめておきたいと思います。