2022年6月17日金曜日

奈良橋陽子(キャスティングディレクター・作詞家)・日本とハリウッドの架け橋

 奈良橋陽子(キャスティングディレクター・作詞家)・日本とハリウッドの架け橋

1947年千葉県出身。  1987年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「太陽の帝国」に奈良橋さんは通訳として参加します。   そしてハリウッド映画の世界に入りました。   その後トム・クルーズの主演映画「ラストサムライ」に渡辺謙さんを起用するなど、多くの日本人俳優をハリウッド映画にキャスティングしてきました。   朝の連続テレビ小説カムカムエヴリバディ』で森山良子さんが演じたキャスティングディレクター安子・ローズウッドは奈良橋さんのご活躍からヒントを得たキャラクターだそうです。    日本とハリウッドを結んできた奈良橋さんに、パイオニアとしての苦労や、文化風習の違いによっておこる摩擦、それでも続けるキャスティングディレクターとしての仕事の醍醐味、今後の夢などを伺います。

75歳になりました。   2003年のクルーズの主演映画「ラストサムライ」に渡辺謙さんはじめ多くの日本人をキャスティングしました。   アメリカではキャスティングディレクターとしての職業があります。    日本ではアメリカほど俳優さんがいないので、キャスティングディレクターがいないと駄目と言う程ではない。    アメリカで日本人の俳優が必要な時に誰に聞けばいいのかわからない。   私は俳優が見つからないということはまずないですね。   この方は絶対出演していただきたいという事もあり、その時にはあきらめずに必死になってやります。   

文化風習の違い、演技自体の違いなどもあり、それを全部お互いの側に情報を与えて、よりスムーズにより融合していいものを作れるように、プラスアルファが大きいんです。   この時間が半分ぐらいかかるんじゃないですかね。    アメリカでは専用のプログラムがあってオンラインで呼びかけられます。   興味があったらオーディションを受けに来て、オンラインで全部見れるんです。  アメリカには何ページもの契約書があるんです。 役者組合があり老後の時にも全部面倒見たりとか、有ります。   日本はマネージャーがサインをするが、アメリカでは俳優がサインをします。   アメリカでは俳優が主体になりますが、日本では俳優は事務所に所属して、事務所が主体になります。  

「ラストサムライ」の時には俳優さんの宿泊先探しなどもしました。   あれから日本とやる映画が増えました。    べースは文化と文化の仕事なので、違いなどをアメリカ側に言うわけです。   最近は日本語でもいいという事がありチャンスは広がりました。 やっと字幕が認められてきました。    渡辺謙さんの素晴らしいところは明るくて、素晴らしい性格です、国際的に通用します。   普通キャスティングが終わればそこで仕事はおしまいですが、毎日現場ついて行って一緒でした。(アシスタントでいました)   私も演出を勉強したくて彼の傍にずーっといました。   

父が外交官だったので5歳でカナダに行きました。   父の影響が大きかったです。  16歳になった時カナダ人にもなれるがどうするかと父が聞いてきましたが、自分の意志を持てるようにという事があったと思います。 これは凄く大事だと思いました。   父は映画が好きでした。  日本に戻って国際基督教大学言語学専攻卒業しました。   その後海外の演劇学校に行きました。   演技から人間の生きることを学ぶんですね。  社会に大変なメッセージを上げているんですね。  ジョニー野村さんと知り合い、結婚しました。  日本に帰ってきて26歳ぐらいから本格的に演出をし始めました。   30代で俳優養成所を立ち上げました。    いい映画を作りたかったので、そのためにはいい俳優がいないといけないので、俳優養成所を作りました。   

ハリウッド映画に関わり始めたのが、1987年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「太陽の帝国」です。(40歳ぐらいの時)   たくさんのお金が絡んでいる世界なので、悪い人も沢山います。  だから心から作っていきたいという人、信頼出来る人を捜してゆくんです。   誰もやってないことをするのはハラハラドキドキで楽しいんです。 一生懸命やれば失敗しても悔いは無いです。   映画、ドラマをインターネットで楽しめるサービスが出てきて、そちらが主流になってきました。(ストリーミング) 大手の動画配信サービスからオファーがありキャスティングしました。   映画館も少なくなってきて大きく変わりますね。    今後、このやり方が続くと思います。  機械やITの発達とともに皆さんの観る集中力が短くなって行くと思います。  パッパッと変わらないとついてこない、なのでストリーミングがそれをしょっていっていると思います。  

演技の素晴らしさは、生きるという瞬間を作ってゆくんですね。  生きることのすばらしさを味わっていただきたい。   絶対良いことがあると思う、それを信じるんです。  信じる力が呼び起こすんです。  自分が書いたもので映画をやりたいが、それの最中でチャレンジしたいです。