2022年5月22日日曜日

村野あずさ(管理栄養士)        ・【美味しい仕事人】 メダルを支えた勝負食

 村野あずさ(管理栄養士)        ・【美味しい仕事人】 メダルを支えた勝負食

今年の北京冬季オリンピックではスピードスケートの高木美帆選手が大活躍しました。   5種目に出場して金、銀メダル合わせて4つのメダルを獲得しました。  その高木選手を食事の面からサポートしたのが管理栄養士の 村野あずささん(49歳)です。  村野さんは総合食品メーカーで仕事をしながら様々な分野のアスリートに栄養指導をしています。  選手がどういう身体を作りたいか、どんな課題を克服したいかを聞くことからサポートがはじまるといいます。  

どちらかと言うと栄養サポートで、選手が自分の目的や課題に対して必要な栄養が、その時々に応じて考えて取れるような、選手の自発的な行動を促せるようなサポートを心がけています。  選手は自分の身体を自分で管理してゆくことを基本的な考えとして持っているので、それをよりよい形にサポートできるようにアドバイスをしたり、課題、目的に応じた適切なアドバイスを選手と一緒に考えながら作ってゆくというサポートです。 

高木美帆選手からは最初は献立を作ってほしいという要望がありました。  一方的なやり方ではなくて一緒に必要なことに対して考えて、実践するのは選手と言うようなやり方じゃないと、選手が行動を身に付けて行かないと、結局はサポートになならないので、時間をかけて毎日付き合ってゆくという事をやりました。   2017年5月ごろから始まりました。まず面談して、課題、どんなことを目指して、どんなふうに身体を作ってゆきたいのかなど課題の洗い出しをしました。  その中で一緒に対策を考えてゆきましょうということにしました。   栄養バランスの食事の提案させてもらいながら、スピード、パワーだけでなく持久力、スタミナをもっとつけてゆくという課題があるので、どういう栄養の強化が必要なのかとか、一つ一つ詰めていきました。  3食と練習前後の間食の写真が全部私のところに送られてきました。  確認をしてアドバイスをしたりしました。  練習の内容、強度、そのスケジュール、時間なども確認しました。  そういったなかでコミュニケーションを取りました。   合宿、海外遠征でも、どこにいても判る状況を作りました。  

ピョンチャンオリンピックでは1500m銀、1000m銅、チームパシュートが金という成績につながりました。  北京にむけた課題は、事前に確認するということと、現地に行って実際の食事の写真とかを選手の方から情報をもらいながら、リアルアイムで食事のスケジュールも考えるという事も対応させてもらいました。  基本的なことは心配していませんでしたが、後半になって来ると疲労がたまってくることがあるので、状況を確認しながら見合った食事のスケジュールのアドバイスを求めてきたので、一緒に考えながらやり取りしました。  

北京オリンピックでは1000m金、500m、1500m、団体追い抜き 銀と言う素晴らしい成績につながりました。   高木選手は自分自身が考えて実践しようと思うがどう思いますかとか、自分の中でいったん整理して、それで助言を求めてくるので、あのような結果につながってゆくんだと思います。   

現在ボクサーの井上尚弥さんのサポートもしています。   2014年から7年間サポートしています。  試合で事前の体重チェックがありますから、コンディションを維持しながら、効率よく減量して行く方法をサポートしています。   且つてラグビーのワールドカップで日本チームが史上初のベスト8入りをした日本代表の栄養管理もしました。  2年半ほど行いました。  合宿ですと50人ぐらいはいますが、細かなサポートが必要です。   衝撃、怪我に強い身体を作ってゆくことは大前提ですね。   ポジションによっても求められる要素が変わって来るので、それぞれ課題が違ってくるので、確認しながら関わらせてもらっています。  

福島千里さんとか陸上競技のサポートもしてきました。  福島さんとは12年間関わりました。   食が細かったので工夫をしながらやってきました。  練習を積み重ねて行ける身体になって行く、その感覚が選手は栄養面の変化につながっていきやすいみたいで、ちゃんと食べると練習がこなせる、と言う感覚につながってゆくと思います。  

私自身が学生時代から競技をしていて、食が細くて怪我も多かったです。  栄養を考えないと練習が続けられないという様な体験はして来ました。  シニアにかかわらず子供のころから栄養のバランスを考えて日常の生活をしてゆくことは、共通の考えとして大事かなあと思います。   どうしても齢を取ると筋肉が少なくなって、食事量も減って行って、悪循環に陥ってしまうので、タンパク質の摂取の量は意識してゆくといいと思います。    現在の量からプラス10gぐらいのたんぱく質を摂取してゆくといいと思います。  バランスよい食事がいいと思います。  炭水化物、タンパク質、野菜や海藻類、果物、乳製品をバランスよく食べるのがいいと思います。