山﨑浩子(日本体操協会新体操 前・強化本部長) ・新体操にささげた日々とこれから
1960年鹿児島県出身、高校入学と同時に新体操をはじめ、進学を機に上京、全日本選手権5連覇、1984年ロサンゼルスオリンピック個人総合8位入賞、など輝かしい成績を残してその年に引退、スポーツライター、タレントとして活動を始めました。 2004年アテネオリンピック出場を逃した団体総合の再建を託され日本体操協会の強化本部長に就任、2021年の12月末まで17年の長きに渡って新体操日本代表フェアリージャパンを率いて2019年の選手権では金メダルを獲得するなど世界に戦えるレベルにまでチームを導きました。
合宿生活をしていても終わると一人の部屋なので、一人でいる時間も多く取ってあったので、辞めた後も違和感はないです。 色鉛筆画を以前テレビ番組で出て、17時間かけて描いて結構褒められました。 2004年に強化本部長になった時に、短期強化になっていると思って、中長期強化をしないといけないと思ったのと、練習の絶対数が足りないと思いました。 合宿生活が必要ではないかと思いました。 天井が14,5mある体育館もなかなかないし、年間を通して使いたいし、何か月間か探して歩き周りました。 やっと見つけて2005年から練習を開始して、2008年から東京に施設が整って、北京オリンピックの少し前でした。豊富な練習量と豊富な休養時間が取れるので、コンディションつくりも着手できました。
ユースチャンピオンシップと言う高校生を主体とした大会がありますが、上位選手で関東近辺の人を集めて世界選手権に臨むという方法を取りました。(2005年) 或る程度の結果が得られたのであなたの望むとおりにやっていいよという事で、2006年からオーディションで選ばれた人たちを使って世界選手権に行ける事になりました。 技術は未熟でもプロポーション、柔軟性など潜在能力を重視して選びました。 選手自身が主体性を持ってやるという事は最初から植え付けていきました。 門限だけは決めて寝る時間、起きる時間など生活は全て自分たちで決めるという風にさせました。 年に4回ぐらいは言い聞かせることはしました。(マナー、人としてどうなのかというようなこと) 自分たちでやれているという自信は付いていきました。
2009年に三重県で世界選手権がありました。 種目別で日本がとってもいい演技をしましたが、メダルは取れなくて、何が足りないのだろうと思って、日本に居ては判らないと思ってトップのロシアに行って学びたいと思いました。 ロシアに行って信頼関係を作るのにはちょっと時間がかかりました。(お金の問題とか) まずは成功体験をさせるために例えばボールキャッチするのにも、両手キャッチ(点数は低くなるが)させるように指導していました。 イレギュラーなことに対する訓練もよくさせていました。
2019年世界選手権で40年振りに団体総合で銀メダルを獲得、ボールでは金メダルを獲得しましたが、今考えるとちょっと出来過ぎてしまって、流れを壊してしまったのかなあと思っています。 ロシアも脅威を感じてコロナ禍もあり、ロシアに行くとかコーチを呼ぶことが難しくなった。 必勝パターンが崩されてしまったと思います。 練習するほど疲弊感が増していって、肉体も精神も疲労しているのにもっと頑張らなければいけない、と言うような状況になってしまいました。 オリンピックの後2か月後に世界選手権があり、反省もありまた、メダルを取る事が出来ました。 その間は練習量も抑えたし、気持ちも余裕が持てるように持っていきました。 東京オリンピックと違って、世界選手権はみんなが笑って終えたので、凄く嬉しかったです。
小さい時から試合を経験することによって、試合勘を養えることはできるが、勝ちにこだわり過ぎて成長を阻害するような練習量だったり、怪我だらけだったりすると、そこからの伸びは少ないと思います。 どこで花を開かせたいのかという事はコーチによく言っています。
新体操を始めたのは高校1年生の時でした。 踊ることは好きなので新体操は合うかもしれないと思いました。 全国1位のチームだったのですごく大変でした。 怖い先生でしたが、先生のためにも頑張りたいと思えるような温かい奥の深い先生でした。 私自身が結構不器用でどうやったらそれが出来るか、考えて時間をかけて習得するタイプなので、選手が出来なくても観察する眼は持っていると思います。 4つのタイプがありその人に合った言葉を投げかけるようにしました。 トップに立つ人は俯瞰して見て、足りないものを持ってくるとか、という眼が大事だと思います。
「人生の1割は自分で作り、9割はどう捉えるかだ。」と言う言葉がありますが、思い通りに行かないことはたくさんあり、9割はうまくいかないと思ったら、むしゃくしゃすることもないし、落ち込むことも少ない。 失敗したとしても、その失敗を生かしていけば、それはすでに失敗ではない。 いろんなことを活かしながらポジティブに生きて行きたいです。 小さなことに感謝しながら生きて行ければと思っています。 4スタンス理論を今も勉強していて、本を執筆していて、いろいろ悩んでいる方にも読んでいただけたらと思います。