2022年5月29日日曜日

春風亭小朝(落語家)          ・横丁の若様と呼ばれて 前編

 春風亭小朝(落語家)          ・横丁の若様と呼ばれて 前編

今年67歳、入門から52年の小朝さんは、今年2月長年にわたり日本の文化芸能の保存向上に寄与した人に贈られる松尾芸能賞優秀賞を受賞しました。  小朝さんは一家そろっての落語ファン、幼少のころから落語に親しんでいました。  中学卒業後1970年に春風亭柳朝師匠に入門、「横町の若様」のキャッチフレーズで人気になって、26歳の時に36人抜きで真打に昇進しました。   落語の世界に入門してから52年になる春風亭小朝さんに伺いました。

CD、DVDとかありますが、無断でユーチューブにアップされて本当に困りまして、それを聞かれるのはどうなんだろうと思いまして、違法のアップロードは辞めて欲しいと思います。 第43回の松尾芸能賞受賞。  歌舞伎俳優、能狂言、舞踊とかの人が取る賞だと思っていしています。  「笑うセールスマン」の実写版で伊東さんがやった時に、ある会のゲストで登場してあるサラリーマンがどんどん不良になって行く設定で、いっそのこと髪の毛を変えちゃいますかと言うような話になって、髪の毛を金髪に染めました、それがきっかけなのでそのドラマは私に大変大きな影響を与えました。  染めた時にロック三味線を始めたのでいいタイミングだったと思います。   2015年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞、2020年、春の叙勲で紫綬褒章受章。  賞は周りの方のものだと思っています。 ひいきにしている方、支えてくれる方、がとっても喜んでくれます。  紫綬褒章の時には師匠の顔がパッと浮かびました。  授賞式の時にはコロナでやらなかったのでショックでした。  

落語の世界も頭ごなしに怒鳴るという事は段々なくなってきて、言い方がソフトになってきました。   最近は褒めるようになりました。   弟子にしてくださいと来るので最初の3年間は師匠のこと、周りの弟子たちのことを知る時期で、コミュニケーションが取れるようになって初めて自分のことを判ってもらうという事なんですが、20年ぐらい前からまず自分のことを判ってもらおうとするんです。   大事に育てられているんで怒られるとか貶される事に慣れていないんです。    そうするとこっちも変わらざるを得ないですね。  現在弟子は6人います。   入門したいと30人以上来ていまいたが、最初にお断りしたり、途中で辞めてもらったりしています。   入る時に必ずいうのは、「これからゆっくりあなたのことを見せてもらうから、将来的なことなど考えて僕の中で駄目だと思ったら辞めてもらう事になるけどいいね」、と言って、「辞めてほかの一門に行くのも構わないから」と言って、そういう約束で弟子を取ります。  

ぴっかり☆」がここで真打になり蝶花楼桃花」に改名しました。  蝶花楼は先代の師匠がつけていた名前です。  桃花という文字はかなり考えました。   けなげに一生懸命やっている姿が好きで、桃花は普段から一生懸命にやっていて、小柄な子で初日なのでちっちゃくなってかしこまっている姿を見たら、もう駄目でした。(涙を流してしまった。 新聞などにも掲載される)  それを見て桃花が号泣してしました。   いま落語協会理事をやっている三遊亭歌る多さんが入ったころは何度彼女の泣いてるところを見たか判らないぐらいでした。  落語はもとより余芸も身に付けて、女性だという事で馬鹿にされないように頑張ったんです。  初めて女性の理事になったんです。 そのおかげでまた新しい理事が出て来ました。  歌る多さんらの先輩が道を作ってくれたおかげで桃花もかなり自由に出来る様になりました。   歌る多さんのころにはまだ偏見がありましたね。

「菊池寛が落語になる日」刊行。   菊池寛さんの命日と私の誕生日が同じで、縁を感じてしまって、短編集を読んだら面白くてこれは落語になるのではないかと思って、菊池寛全集を集めて読んだら面白い。   落語にしようと思って独演会で5年ぐらい続きました。読みやすいものを選んで本に載せました。  9作入っています。   

武道館で落語をやりましたが、どうして武道館でと言われますが、漠然と思っていました。 だから違和感はなかったです。 (1997年)  まだ内容は言えませんが、今年の暮れに落語史上初のことをやる予定です。   昔は谷崎潤一郎さんが大好きでした、なんでこんな文章が書けるのかと思いました。   最近は健康、脳、心理学とかと言った本が多くなりました。   クラシック音楽が好きで聞いていますが、ピアニスト、ヴァイオリニストなどの偉大な方たちが残した言葉などは凄く参考になります、全く共通しますから。  ホロヴィッツと言うピアニストの言葉に「今の若手のピアニストに駄目な理由と言うのがある。禍 10回練習をして11回目の練習を本番でやるから駄目なんだ。」と言うのがありますが、その通りで、本番はどんなに一生懸命やってもリハーサルとは違うものがないといけない。

コロナ禍で大きな公演をやる時にはひと月前から体温を測ります。  正月の浅草演芸場は立見席を入れると、入れ替えがあって一日3000人と言うような時もありますが、今回は一桁というような感じで、遠くでマスクしていて笑いもなく寂しい感じでした。  コロナが起こった年は150本の仕事がなくなりました。   最近は普通になってきましたが。