一龍齋貞友(講談師) ・【にっぽんの音】
進行役:能楽師狂言方 大藏基誠
声優として忍たま乱太郎の福富しんべヱなどをやっています。 アニメなどでいろいろ活躍しています。 クレヨンしんちゃんではマサオくん、ちびまる子ちゃんのお母さんなどなど。 講談は若い人も増えてきました。 入門する人も増えてきました。 講談の内容としては、軍記もの、侍をピンポイントで扱うもの、人情もの、白波もの(泥棒)、侠客もの、大名のお家騒動、怪談話、などがあります。 師匠は一龍齋貞水です。(人間国宝) 師匠は怪談話が多いです。
声優が先で講談師がその後になりました。 講談はあまり面白くないものと思っていましたが、師匠の高座を聞いて、前席はお家騒動の話で何言っているのか全然わかりませんでした。 後席が泥棒の話でした。 情景が目に浮かぶ、凄いと思って、涙が出てきてしまいました。 悪人と言われた人にも親の思いがあるだろうし、人間全部が全部悪ではない、そういった心の機微というものを描いているのが講談の良さなんじゃないかと思います。 講談は起承転結がないといけないんですね。 ストーリー展開が大事です。
講談に対して失礼かなと思って、声優は辞めようと思いましたが、師匠が人より時間がかかっても続けて行けばいいじゃないかと言われました。 師匠の身の回りのことを20年ぐらいはやっていました。 弟子はやるものと思っていましたが、今の方ではどうでしょうか。
大藏:稽古以外のところでいろいろ話を聞くと、それが積み重なってスピリットが出来てくるとか、そういったことはあると思います。 稽古以外の時間を師匠といるという事は大事ですね。
この演目のポイントはどこ、みたいな話を双方が話をするのが好きで、私は人の話を聞くのが好きだったので、内容の分析みたいなことを師匠と話をしているのが凄く楽しかったです。(2年前に旅立たれてしまいましたが。)
大藏:狂言では台本に書いてあるのがすべてで、アドリブは一切ないし、感情もある程度決めつけられている部分があって、今の世のなかこれで通じるだろうという事でやる事はないですが、講談ではどうでしょうか。
それは凄く緩いと思います。 本当は30分、40分の話も20分でやってねと言われた時に、どこをカットするかが、本人の考え方でその場でカットする事になります。 現代風な言い回しもその人の感性だと思います。 基本の筋は変えずに中身の持ってゆき方は本人の感覚という風に師匠もおっしゃっていました。
扇子と張扇、張扇は紙は西の内(茨城県常陸大宮市の旧・山方町域で生産される和紙)という紙でくるみます。 中身は舞扇を半分に割ってくるんだりします。 くるみ方もいろいろあります。 話が旨い人はこの張扇の作り方もうまいですね。 本来は弟子が作るものですが、師匠が作るのが上手いので、材料を持って行って作ってもらいます。
大藏:僕らも張扇を使いますが、革で出来ています。
和紙を使っていて、早く壊れますが。 12月28日に張扇供養といって、薬研堀不動院で行います。 軍記ものが張扇を一番使います。 強弱もあります。 流派によって叩くところも違います。
講談をするうえで大事にしていることは、一番大切なのはどうこの話を捉えて、お客様にちゃんとお伝え出来るかなという事を考える事と、それぞれの人物がどれだけ生き生きとちゃんと立体的に演じられるかなという事だと思います。 師匠は人物の人間性を表すのがお上手でした。 表現力と前は思っていましたが、一番大切なのは今は読解力だと思っています。 内容をどれだけちゃんと深く掘り下げられるか、というのが勝負だなと思います。 お客案が映像として思い浮かぶようにお話しできるかどうか、という事がポイントじゃないかと思います。
日本の音とは、梵鐘、お寺の鐘の音ですかね。 怪談ものもやって行きたいし、話もどんどん増やしていきたいと思っています。