2022年9月22日木曜日

うつみ宮土理(タレント)        ・【わたし終いの極意】 「自分が楽しい」と思えることを

 うつみ宮土理(タレント)   ・【わたし終いの極意】  「自分が楽しい」と思えることを

1942年東京生まれ、24歳の時に民放の子供向けの先生役でタレントデビュー、ケロンパの愛称で親しまれバラエティーやドラマなどで幅広く活躍しています。  又公式動画サイトでの情報発信も始め若い世代からも注目を集めています。  一方私生活では2015年に最愛の夫で俳優の愛川欽也さんを亡くし、そこから1,2年はほとんど記憶にないほどの喪失感に襲われたと言います。  

公式動画サイトが始まったのが今から1年半前です。   身近な話題をと言われてやったら楽しいです。  感覚的に新しものとか面白そうなものって、やった方がいいなって匂って来るんです。  60歳ごろに韓国に語学留学しましたが、当時「冬のソナタ」でヨンジュンさんが出てくるとオーラがあってこんな男の人がいるのかと思って、会いたいと思っていたら、3か月間のソウルにあるキョンヒ大学に留学しませんかというチラシを見ました。  レギュラー番組を持っていましたが、考えて、ときめいた方にいくことで大学に行くことに決めました。    ヨンジュンさんにはロケで一瞬見る事が出来ました。   

夫からは「偉いねえ。 歳とってからも勉強するなんて。」といわれて賛成してもらいました。  キンケロ・シアター(夫婦で作った中目黒にある劇場)でしょっちゅうコンサートをやっているんですが、新しい歌などに挑戦すると、「偉いねえ。 うちでまたそうやって練習をしてるの」と言って、「偉いねえ」と言ってくれる言葉が有難かったです。

韓国語のしゃべりは早く覚えるんですが、本当に辛かったのは宿題で、質問の意味が判らず、おばさんが集まる場所とか喫茶店に行って聞きました。  あれだけ勉強したのは脳の活性化によかったと思います。   帰ってきて韓国語のドラマを観るようになったら韓国語が良く判るようになったと思いました。   夫は「おかえりなさい かみさん やったねえ」という垂れ幕を玄関のところに設置して、花吹雪を撒いて拍手してくれました。  「偉かったねえ 偉かったねえ」と喜んでくれました。  

亡くなったのが2015年で7年前です。  家で看病していましたが、入院させるということは思いつかなかったです。  逝っちゃうという思いはなく治ると思っていました。   死んでしまったら何にも判らなくなって、私の目の前に黒いシャッターが下りたんです。  絶望という言葉で表せない、私も終わっちゃったと思いました。(4月15日)  あの頃目黒川の桜が咲いていましたが、そこを歩いていてやせこけた私が桜を見ていたらしい姿を見て本当に気の毒だったと言います。  私は桜を見ていたことは覚えていませんでした。 お葬式をしたのは覚えていますが、どういう風に通って火葬場にいったのか、何を食べたのかなど覚えていません。   お骨を取ってくれた人が「喉仏がこんなに綺麗に残っている人はいません。 本当に自分より他人のことを大事にする素晴らしい人でしたね。」と言ってくれた言葉が有難かったです。  今は45kgぐらいですが、あの頃は30kg台で食欲がなくて忘れているんです。  心配したマネージャーさんが来て食べ物を作ってくれて、筑前煮を食べておいしいと思いました。  それから食べることに興味を持ち始めて元気になって行きました。  元の私に戻るのに2年ぐらいはかかったと思います。  

朝、空を見てたりすると朝焼けとか太陽が昇ってゆくピンク色とか自然の美しさがしみじみ判るようになって来ました。  自然って癒してくれますね。  あと食べ物、友達の笑顔。

キンキンがやっていた最後の番組の最終回をどんなに苦しかったと思うんですが、それをやって打ち上げパーティーがあったんです。   パーティーには出られないから代わりに出て行って、と言われて私が出ました。  家に帰ったた寝ていました。 それでスーッとです。  最後まで仕事を全うして逝ったから悔いは無かったと思います。   私が亡くなったら「頑張ったね、かみさん」と言われるような毎日を過ごそうと思っています。   両親にも「よくやったよ」と言われるように、私の兄弟、その子供、孫に時々好きな肉を送っています。

私の実家には「天網恢恢疎にして漏らさず」という垂れ幕があります。  簡単に言うと「天はお見通し」。  又「声は顔」って書いてありました。  声を大きくするように言われました。    お礼は3回言いなさいと言われました。  中学から大学まで一緒だった友達がいますが、彼女にも感謝しています。  今私が幸せなのは、母、キンキン、友達、マネージャー、スタッフなどから背中を押してくれたからだと思います。      ラジオ体操は毎日やっています。 近所の公園に100人ぐらい集まって、(女性の方が多くて)その後コーヒーをに見ながら話に花を咲かせています。   

もう80歳を迎えます。  どんどん楽しいことをやって行きたいと思います。   「豆子セブンティーン」というコメディーの舞台が11月からあり稽古が始まっています。  80歳で17歳の役をやります。  背筋を伸ばして大股で歩くように意識しています。  腰痛で大変です。  主役でセリフがいっぱいあり歌も5曲ぐらい歌いますので大変です。

終活は考えたことはないです。   最後の瞬間まで与えられた仕事、やる事をやって行けばいいんじゃないかと思います。