福田栄香(地歌筝曲演奏家) ・【にっぽんの音】
案内役:能楽師狂言方 大藏基誠
1964年東京都出身 祖父は尺八名手荒木小童、祖母は地歌筝曲初代福田栄香 2009年に祖母の50回忌、父の7回忌が重なった時に、福田栄香の襲名公演を行いました。 琴や三味線は父親福田種彦より習いました。
三味線は16世紀のころ中国から沖縄入って来ました。 琵琶法師が三味線を教わる事になって、その後バチを使うようになって17世紀に入ったころに三味線が人々に伝わりだした頃に、純音楽として栄えた芸能と言われていて、純音楽はお芝居の伴奏ではなく純粋に聞くための音楽と言う事で、地歌とは人々が生活する中で心情、男女の情愛、土地の景色、季節、風習、名物、文学、能、歌舞伎とかいろんなものを題材にして弾き歌いで演奏する三味線の音楽です。 今でいうポップスみたいな感じです。
お琴は奈良時代に中国から入って来ました。 長く雅楽の楽器として使われてきて、平民には伝わる物ではなかった。 平家の滅亡と共にその逃亡者たちによって北九州にもたらされたと思われます。 17世紀になって八橋検校に渡って、八橋検校は音楽の専門家で三味線弾きでした。 手渡されたお琴を改良したり、作曲したり、創作したりして、本人は三味線も弾いてお琴も弾いていましたが、門下の人が一緒にして音楽性をもっと豊かにしようとしました。 お琴と三味線を前提にしていろいろ作曲されて行き一つのジャンルになってゆきます。
持ってきたこの三味線は三弦と呼んでいます。 竿の太さ、胴の大きさも違いがあり、細竿、中竿、太竿と分かれています。 細かい技巧の長唄は細竿、太い迫力のもの(義太夫、津軽三味線)は太竿、地歌は中竿を使います。 中竿は音程も中音域で艶のある響き、余韻の味わい、さわり(共鳴)があります。
地歌の特徴は一つ一つの音節が長く伸ばす特徴があります。 一音の母音にも細かく節がつけられています。 地歌の発祥が髪形なのでイントネーションは関西風です。
*「雪」 歌、三弦:福田栄香
雪のシーンでよく流される曲です。 しかし地歌では鐘の音なんです。
演奏と語りを融合させた歌語りという演奏会をやっています。
*「夕顔」(源氏物語をもとに)の歌語り 歌、語り、三弦:福田栄香
高校卒業後、ミュージカルに魅力を感じて身を入れたこともありますが、或る時父親の演奏で涙が止まらなくなってしまってとても感動したことがあって、戻ろうと思いました。
*「楓の花」 歌、琴(低音):福田栄香
日本の音とは、間の精神性と言うか美学と言うか、それが大きな要素になって成立しているもの、そこに日本の音、日本の音らしいものを感じます。 抽象的な表現ですが。