小宮康正(江戸小紋染色家・人間国宝) ・今も輝く江戸小紋を
昭和31年東京葛飾区生れ、62歳。
中学校を卒業した後父親のもとで修行し、伝統的な江戸小紋の染色技術を身につけました。
江戸小紋は遠目は一色の無地に見えますけれども、近づくと非常に細かな柄が見せる粋な着物です。
祖父も父親も江戸小紋の人間国宝で、同じ分野の3代連続認定は初めてです。
江戸時代の技術を受け継いで、着る人が輝くような江戸小紋を作りたいと、取り組む小宮さんに伺いました。
遠目は一色の無地に見えますけれども、近づくと非常に細かな柄が見せる粋な着物で、日本人ならではの感覚かもしれません。
紫色の反物は半円形に粒粒が描かれ連続している、鮫小紋という柄ですが、鮫肌から来たと言われています。
緑のものは縦に一杯模様が入っていて、両子持ち縦枠という柄ですが、縦枠という柄はお湯が沸くとか揺らぎというところから来ていると言われます。
非常に着やすい縞の柄になります。
絹の美しさで、ライトが当たるとキラッと輝くような美しさになります。
如何に絹の素材を生かすかと考えて、染めないとこういった輝きは出ません。
触ると滑らかで身にまといやすいのではないかと思います。
今年9月に江戸小紋の製作に精通しているという事で人間国宝になりました。
祖父も父親も江戸小紋の人間国宝で、同じ分野の3代連続認定は初めてです。
次の世代にどうやって続けて行くか重圧もあります。
無形というのは技術を次の時代に受け継いでいってもらうことで、初めて無形の精神が受け継ぐので、今の時代を生きないと次の世代に受け継いでいかない。
祖父が人間国宝に認定された時に「江戸小紋」というふうに名付けられました。
昭和25年に文化財保護法が出来て認定制度が始まり、昭和30年に他の小紋と区別するために「江戸小紋」と云う名称になりました。
江戸時代に武士の裃に使われていた。
小紋はいつの時代からあるのか定かでないが徐々に細かくなってきた。
華美にならないようにという事で一色になったと思われる。
柄は武家文化で発達したものと、町民遊びの文化から発達したものとがあります。
型紙は200以上の細かな柄があります。
80柄が常時動いていると認識しています。
伊勢で型屋さんがいて彫っています。
型紙一枚に一カ月かかります。
私は武家文化のきちんと並んだものの柄が好きです、難しさもあり奥が深いです。
絹は透明性の繊維なので、その繊維に色を入れてあげることによって、海の青とか空の青などを表現したいと思っています。
江戸小紋、幅広く色んな形で使う事が出来ます。
紋を付けて帯で調整すると結婚式でも耐えられると思います。
着やすいものを作らないと着物も出番が少なくなると思います。
昭和31年東京葛飾区生れ、姉がいて末っ子でした。
小さいころから仕事場に出入りしていました。
中学卒業後この道に入りました。
家で仕事をやるもんだというふうに育てられたので、自然と仕事に入って行きました。
型付けは80~100ぐらいあります。
難しさは一型目を置いて、一型目の粒が12m同じに置くというのが、難しいです。
それは誰がやっても不可能で、地直しという作業をして修正して初めて綺麗な江戸小紋が出来てゆきます。
教わることはそんなにある訳ではなくて、自分でやるしかない、見てやるしかない。
ヘラの持ち方は3日で決まると言われているが、後は自分でやるしかないです。
父からは40迄に色んなことをやり終わるように言われました。
自分のなかで許してしまう事が起こる。
息子たちに教えるにも体力がいる。
新しい小紋の柄も考えています。
ものに対して取り組む姿勢をきちんと伝えることによって、伝統は繋がるような気がします。
大根、おろしがねの柄があるが、かぶもあってもいいと思ってかぶのデザインを作って型屋さんに彫ってもらって作っています。
周りの力を借りていいものは出来て行くわけです。(道具、材料など)
型紙を彫る技術を残して初めて伝統というのが繋がるわけです。
型紙があって初めて小紋が残る訳です。
日常で着物を着ている人は多くはないのが現状で、江戸小紋は世界にまれにみる優れたものなので、足元をきちんと固めないと世界に発信する事は出来ないので、よりいいものを作って世の中に出してゆく事によって、日本に根づかしていかないといけないと思うので、世界には出て行けないと思います。
人形に着せる着物、なかなか難しい。
人形は動かないので、光が当たる率が高くて色あせるのが恐ろしかったので、人形には着せたくない部分があったが、やって見ないかと言われて一部やってます。
好評のようです、人形は世界を渡り歩く事は出来る。
かいこが紡ぎ出す糸によって着物ができる、着物は究極のエコ、仕立てれば親から子、孫へとずーっと長く着られる。
しっかりとした技術を入れることによって、人が使った時になんかいいよねと言うものになる。
プラスチックと漆塗りでは、見た目は同じでも全く違う、着物でも何か違うよねというものをつくれば愛していただけると思う。