2018年12月2日日曜日

日髙のり子(声優)            ・【時代を創った声】

日髙のり子(声優)            ・【時代を創った声】
アニメ「タッチ」でのヒロイン、浅倉南役で知られている日高さんですが、小学生のころから児童劇団で活動を続け、高校生の頃からアイドル歌手としてデビューしました。
どうしても演技はしたいという思いから、声優の道に進まれた日高さんに伺いました。

『タッチ』(浅倉南役)、『となりのトトロ』(草壁サツキ役)、『らんま1/2』(天道あかね役)などを担当。
舞台ラジオでも活躍。
アニメ「タッチ」は1985年から放送された作品で、高校野球を通しての青春漫画がアニメ化されたもの。
その前の作品に参加していてアフレコの帰りに、声を掛けられて「今度タッチという作品のオーディションを受けてもらうから」とういう話があり、それがきっかけでオーディションを受けました。
『タッチ』に関しては超日常なので会話が普通なので、自分の中学時代のころを思い出して、ナチュラルにやりたいという事と、もっと明るくという事でやっているうちに オーディションが終わってしまいました。
自分としてはもやもや感がある中で終わってしまって、合格できる自信は無かったが受かる事が出来ました。
『タッチ』では声優として1年経たないうちでした。(22歳の時)

『タッチ』はセリフが極端に少なくて難しかった。
例えば切なさとか色んな思いを含まれていての「たっちゃん」と名前をいう一言なので、難しい部分がありました。
間が長いと緊張してしまったり難しかったです。
周り中先輩だらけで、足をひっぱっていることを自分自身理解していました。
考えさせられる部分が多かったので、考える癖が付いてその後の作品はやりやすかったです。
声を出す時に、話し相手との距離感を出すのが難しかった。
『タッチ』をやっていて周りから笑われて、そのうちそれに慣れてしまって、失敗が怖くなくなったのが少し良かったです。
後になって見てみると、変なところが沢山あって、まだ私自身が気が付いていないところも沢山あると思います。
失敗と思ったけれど、いいんじゃないのと監督さんから言われたものなどもあります。
のびのびと演技をさせてもらえて、後々の仕事にプラスになった部分があります。

高校生の時に、ドラマに出演して、私が選ばれて主題歌を歌ったことがあり、「そのうちアイドルとしてデビューしようね」とよく言われていました。
しかし女優になりたいという思いがあったので、ピンとこなかったが、「歌で全国の人に名前と顔を覚えてもらうのもいいのではないか」と言われて、その方に気持ちが傾いて行きました。
歌はそんなに得意ではなかったが、「レッツゴーヤング」は男子5名女子5名のグループで、歌い踊ることが楽しかったです。
その後ラジオ番組、バラエティー番組のレギュラーが決まったりして来ました。
歌手活動が大きくなりました。
タレント活動としてのレギュラーが増えて行きました。
ラジオを聞いている方から、声に特徴があるので声優に向いているのではないかとの便りを頂いて、そこから声優の仕事をやってみたいと思いました。
自分の人生で出会った人の数が多いほど、自分の中の引き出しに、色んなパターンの人達のタイプ、人生がインプットするところがあり、それが演技の中で生かされることが多いのではないかと思います。
1984年に声優デビューして「超時空騎団サザンクロス」「よろしくメカドック」「タッチ」とたて続けに来ました。

『となりのトトロ』(草壁サツキ役)、『らんま1/2』(天道あかね役)に繋がって行きました。
『となりのトトロ』では小学生を演じることになり、声を高めに、声が元気よくという様に言われました。
ナチュラルにというところを凄く意識してやりました。
サツキ役は自分の幼少時代と重なる部分があると思います。
声優の仕事が好きになって、できるだけ長く続けたいと思った時に、ヒロインが多かったので、大きなイメージチェンジが必要ではないかと思って、男の子の役をやりたいと思いました。
声という可能性にチャレンジし始めた時期でした。
張り切り過ぎて声がガラガラになり、男の子役への道は厳しいというところもありましたが、やっているうちに翌年にはNHKの「ふしぎの海のナディア」でも肩の力を抜いて男の子役をこなす事が出来ました。
作品をやりながら育ててもらったという思いが強くありました。
結婚、出産して「ワンピース」という作品ではベルメールというお母さん役をやりました。
いままで無かった母性みたいなものが楽に出せるようになったと思いました。
声優の仕事も声に特徴があって出た瞬間から良い役を貰えたりする人と、なかなかもらえない人がいると思うが、辛いこととか苦しいこととか、自分の未来に不安を感じたりすることは絶対に起こりうると思うが、そういう気持ちに負けないで、本当にやりたいのであれば諦めないことだと思います。
厭なことから逃げないで、それを乗り越える強さを持って声優としての学ぶべきもの、メンタルの部分、双方を頑張って続けていたら、いつか実を結ぶのではないかと思います。