ロバート ・キャンベル(日本文学者) ・【人権インタビューシリーズ】『ここにいるよ』と言える社会に ~ゲイ公表の先に~
今年 8月に御自身がゲイであることを公共の場で明らかのしました。
何故今声を上げたのか、そこには日本社会全体へのメッセージが込められていました。
きっかけは政治家が事実とは全く異なることを沢山書いた寄稿文が発表されて、その寄稿文の中ではゲイ、レスビアンは生産性が無いから社会的な支援を必要としない、社会的な制度をその人たちが生きやすいように改善、改正する必要が無いのではないのかとか、そういう人たちが増えることによって社会に不幸が増えて行く、幸福が社会の中から減って行くというようなことが書いてあって、反駁するような気持が強くあって、一番言いたいことを自分の経験を乗せて運んでいかないと、伝わらないのではないかなあと思って、文章の途中で僕はゲイであるという事を公表しました。
ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーといわれる人々はそれぞれ違う個性を持っていて、社会の一員としてこと成る力を持っている中で、同じ様な土俵に立って始めて人間としてのポテンシャルが発揮できるものだと思うが、現状の中ではポテンシャルを自由に発揮できる社会になっていないと言う事を感じました。
排除はされないが、言えば見えないところで信頼とかが奪われてしま可能性がある。
見えない駆け引きの中に性的マイノリティーが実際に生きている。
ナベブタのようなものを取ってしまった方がいいことだと思うし、日本社会全体にとってプラスになる、豊かな社会に繋がることだと思いました。
『ここにいるよ』はLGBTだけでは無くて障害を持ち人だとか、主張できないでいる。
(LGBT(エル・ジー・ビィー・ティー)とは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。)
『ここにいるよ』という事を言わないと自分の居場所が定まらない。
「日本では秘すれば花」という言葉が有るが、見て見ないふりという方向に働く。
みんなで認め合って社会として家族として、それが働くように思考を変えて認め合って行こうという方向に世界が動いている。
私は正面から書いた訳ですが、その先の所、自然に納得できるようにと言葉を選んで書きました。
あえて言う場面が今まであまりなかったかもしれない。
半年近くが経過してみんな温かいです、色メガネで見られていない。
やってみることによって多くの人達に小さな力を、いい意味での圧をかけるという事が出来るのかなあと思います。
公表することによって不利益は以外にないですね。
均等に世の中に宣言するという事をしてみると、自覚していなかったが幕があったのかもしれない。
心が開きやすくなったと思います。
結婚についてもパートナーは日本人ですが、昨年アメリカで結婚しました。
LGBTの関係は日本の社会の中で輪郭が無い、フレームが無い、権利も義務もない他人同士です。
昨年10月に数十人集まってもらって、みんなに披露しました。
無心に喜んでくれて祝福してくれて、言葉にできないぐらい幸福感というか、この人達と付き合ってきて良かったと思いました。
男性同士、女性同士が結婚するとどうなるの、結婚そのものがぐらつくのではないのか、少子化に拍車がかかるのではないのかとか、そう思う人も実際にいるんですが、決してそんなことはないと思います。
結婚の平等は選択支を与えることによって、全体の社会の足腰を少しだけ強くして行くという事なんですね、それを皆さんに納得してもらえるかという事が大きな課題だと思います。
LGBTの理解が普及して行って、こういう人達が私達の社会にいるんだという事を理解している人たちがたくさんいますが、つぎにはその人達を日常に織り込んでゆくことが次のステップだと思います。
究極的にはその人が幸せなことが訪れた時に、手放しで祝福することができる事、悲しい事が起きた時に一緒に悲しむ事それができるかできないか、とっても大事な事だと思います。
LGBT、人権に関して、日本の社会がスピーディーにより安定して幸せに暮らせるような方向に向かおうとしているのではないかと思います。
オリンピックを迎えるにあたって、その半年前から各国の報道陣が入ってきて、日本の隅々までがどうなっているのか、世界中に可視化されると思う。
千載一遇のきっかけだと思うので楽しみにしています。
10位の自治体がパートナーシップ条例をつくっていて、様々な社会福祉、市民生活の中で平坦になると思います。
少しずつ広がって転がり始めて行っていると思います。
『ここにいるよ』と言わなくても、自然に時間空間の中で知れ渡っていって、なんてことないとなれば一番いいですね。
日本という国は地元から民間から色んなことが議論され、行政、政治家にその声が届いて条例制度が変わったりする。
点々となっていたものが、段々網の目のようになって細かくなって行って制度が変わって行く。
納得してもらうのが大事ですね、そのためには二つあると思います。
自分と違いを持つ人を受け止めて中に入れて自分のエネルギーの一つにしたり距離を置いたりするかして、どう理解を深めるか。
社会の制度をみんなが合意をして、作り変えるという事も重要です。
手術を受ける時の同意書、遺産相続、遺族年金、税金等も大きな段差があります。
生きやすいように均等に広がっていくようになって、初めて混ぜ混ぜ状態ということになると思います。
これまでやってきたことを積み上げて、これからやることは全うしてゆくことだと思います。
そうすることによってLGBTの人々の空気を混ぜ混ぜにすること、喚起して行く事、自由にして行くことが自分ができる事、それに繋がるんだと思っています。