2018年10月15日月曜日

倉本昌弘(日本プロゴルフ協会会長)    ・【"2020"に託すもの】ゴルフの未来のために

倉本昌弘(日本プロゴルフ協会会長)・【"2020"に託すもの】ゴルフの未来のために
リオデジャネイロで120年ぶりに実施されたゴルフ競技、次の東京オリンピックでも実施されます。
しかし日本のゴルフは競技人口の減少という課題を今抱えています。
ゴルフ界のこれからについて、日本プロゴルフ協会会長、オリンピック対策本部強化委員長の倉本さんにお話を伺います。

会長になった当初は、クラブを握らない日が有ってペースがつかめなかったが、5年にもなるとやらなければやらないでいいかなと段々なってきています。
ヘッドスピードは3日やらないと落ちるが、又初めて3日目になると元のスピードが戻る。
日本プロゴルフ協会はゴルフの仕事に携わっている人間の集まり、と思ってもらえればいいと思います。
レッスンする人、物を売ったり、ゴルフ業界の中で開発に関わったりする人達等も含まれます。
現在5600人ぐらい会員がいます。
2015年には日本のこれからのゴルフ界をどうするかの提言をしました。
最盛期1400から1500万人と言われたゴルファーが、この前の白書では600万人と言われる。
ゴルフ産業は2兆円の産業から1兆円に半減している。

①ゴルファーの高齢化が間違いなく進んでいきます。
70歳以上の方が3~4割ぐらいだと思います。
団塊の方が75歳を越えるのが直ぐに来ます。
そうするとその方々がリタイアしてくる、若い方のゴルフ離れがあるので増えてはいかないと思います。
②日本の国民自体が減って行く。
そうするとゴルファーが減る。
2300位のゴルフ場が500万人の適正数は目に見えている。
③練習場も同じです、こちらの方が深刻だと思っています。
地域の土地持ちの方々がゴルフ練習場を開いているが、老朽化してそろそろ設備投資の時期にきている。
廃業しようかということになると練習場もなくなって行く。
AとBの練習場があり、Bが辞めてしまうと、Aにいくかというとそうではなく、辞めてしまうと言うことが多々ある。
これが最も怖いところです。
練習場はコミュニティーの場でもあるので。
若い人たちを増やすことをやっているが、ジュニアについては、親が車を持っていないとなかなか来られない。
地方に行くほど電車では行くところが無くなる。
親が車を持たない世代が増えてきている。
逆風の時代です。

子供達が2人がチームになって、交互に一つのボールを打って対戦相手と戦って行く、ということをアメリカが2011年に始めましたが、当初16チーム170人で始めましたが、現在45000人位の13歳以下の子供達が始めています。
エリートジュニア競技会は日本にはいっぱいあるが、ゴルフを遊びとした競技は日本にはありません、そういったイベントを増やそうと思っています。
情操教育にはゴルフは非常にいいと思っています。
ルールをしっかり覚えてミスをした時に正直に言う。
ゴルフにとっては忖度(他人の気持をおしはかること。)は絶対あるべきだと思っています。
相手がどういうふうに考えているか、自分が相手にどういうふうに接してあげれば、相手は気持ち良く楽しくプレーできるか、それを思って自分が行動する、そうするとみんなが楽しく時間を共有することができる。

ゴルフはお金がかかるが最盛期の1/3位になってきている。
ゴルフの良さは歩くことが成人病対策になったり認知機能の改善になったりすると見直されている。
1万円位で1日楽しんで且つ健康の効用を考えるならば、決して高くはないと思っています。
既婚者で子供を持ってる御主人が1万円の余暇に使うと言うことは、奥さんは反対ですが家族で5万円でレジャー施設などに行くことは、賛成をするという事が調査では出ています。
家族でゴルフ場に行って、ゴルフをやらない人にも楽しめるようなこともできるのではないかと今考えています。
ゴルフ界は遅れていると思っている。
家族観が変わっている中で、お客が来ないという状況にあり、それに合わせたことを考えたゴルフ場の運営をしていこうとしているところは生き抜いていくと思う。

提言書のいくつかはバブル期の考えですと言われた。
今の日本がスタンダードなのでそこを考えてやってくださいと言われました。
ティーチングプロも今までと違ったことが必要だと思います。
現在3000人がティーチングプロで、今までの形では集客がなかなかできないので、これだけの集客をするから使って下さい、というようなやり方を考える。
ゴルフが最も伸びていないのは難しすぎるということがあるけれども、短命なスポーツは早く上手くなるが、スポーツ寿命が長いスポーツはなかなかうまくならないと思っています。
ゴルフは生涯できるスポーツだと思います。

広島出身、高校時代には全日本ジュニアのチャンピオンになり、大学時代には日本学生4連覇、日本アマチュアで3勝、アマチュア時代にプロのトーナメントで優勝する。
プロになって直ぐに優勝、4戦3勝。
日本ツアーでは通産30勝、永久シード選手。
ゴルフを始めたのは10歳で、父がやっていたので一緒に練習場に連れて行ってもらいました。
柔道、剣道、バレーなどもやりましたが、ゴルフが残りました。
中学3年で地元のクラブのクラブチャンピオンになりました。
球は飛ばなかったら面白くないと思っていました、とにかく振れと言われました。
プロになる気はなかった、アメリカに留学したが、父が倒れて家業を継ぐことになりました。
店をやりながら練習していた時代が一番充実していたと思います。
プロになったのは25歳でした。
中部銀次郎さん日本アマチュア6回優勝、彼を尊敬しています。

プロゴルファーは生活があるので、やりたいことができない。
例えばOBでもいいからドライバーで打とうと言うことはしない。
賞金に跳ね返るので、趣味と仕事の違いです。
ゴルフはレベルは違っても一緒に楽しめる、こういうスポーツは他に無いと思います。
身長163cmと小さかったので、ボディービルのトレーニングでやってはいけないことやってもいい事を教わってトレーニングをして、距離も伸びました。
デビュー後にマスコミに「ポパイ」というあだ名がつきましたが、それは嫌いでした。
アメリカでは「MASSY」がいいと、スペルを考えてくれました。
選手の環境改善ということで選手会の会長になり、それが現在の日本ゴルフツアー機構になったわけです。
2020に向けて、追い風に出来なかったら日本のゴルフは大変だと実感しています。
ゴルフは団体戦にすべき、18ホールは長すぎるので短くすべきだと提案したが駄目でした。
松山君はメダル候補であることは間違いないが、東京オリンピックを足がかりにしないと日本のゴルフ界は大変だろうなと思っていて、期待と同時に切羽詰まっているものがあります。