小林栄美香(NPO法人 笑みだち会代表) ・"ふつう"になりたい~顔に苦しむ口唇口蓋裂の女性の叫び~
大阪府在住、28歳。 口唇口蓋裂という病気をご存じでしょうか。 大阪大学名誉教授の古郷幹彦さんによりますと、口唇口蓋裂:母親の胎内で上唇、歯茎、上顎の左右がくっつかずに左右に裂けた状態で生まれることで、食べる、飲む、話すと言った口腔の機能が失われる原因不明の病気です、という事です。 日本国内では生まれた赤ちゃんのおよそ1/600人とされていますが、形成手術、あるいはリハビリを繰り返して治療することが出来ます。 ただ長年治療や言語訓練を受けても発声や発音が明瞭にならない場合があるなど、患者さんたちは日常で様々な苦労を抱えています。 小林栄美香さん自身口唇口蓋裂の患者さんのひとりです。 なかなか自分の顔が好きになれず周囲の言動に傷付きながらも28年間口唇口蓋裂と向き合い、現在は患者の会を立ち上げて口唇口蓋裂を知って貰おうと取り組んでいます。
生まれた時に鼻と唇がかけた状態で生まれました。 開き具合がかなり大きくて手術をするにもかなり時間がかかる状況だったと親、先生に伺っています。 3か月で手術をしました。生まれた時の写真を見た時にはショックでした。(思春期) 母は歯科衛生士だったので知識があったので、治る病気であると楽観的に受け入れていました。 父親は吃驚して帰りの車で泣きじゃくっていたそうです。 母親もこれから何が起こるかわからないと言われた時には失神しそうになりそこからが親の戦いが始まったというように言っていました。 小学校では鼻がぺっちゃんこだとか、何言っているのかわからないとか、いろいろ言われました。 円形脱毛症になってしまいました。 中学時代は2年間学校に行けませんでした。 自分自身でも壁を作ってしまったし、会話の中に入れませんでした。 指をさされたりして対人恐怖症になってしまいました。
行きたい高校を調べて行かせてもらって、自分自身も変えたいという意欲が出て来ました。 親友と一緒にメイクをして楽しみました。 恋愛もしたしそういった話も輪の中に入ってできました。 高校でも手術をしましたが、親友が励ましてくれました。 楽しい高校生活を送れましたが、反面悔しいこともありました。 4回手術をしましたが、8時間を超える手術もありました。 手術のストレスからパニック障害も発症してしまい苦しかったです。
2015年からブログ、「私重度の口唇口蓋裂です」を立ち上げました。 2014年には口唇口蓋裂の治療は峠を越えたと自分自身思って、何か発信していきたいと思っていて、私のブログを見て励みになってくれれば嬉しと思いました。 色々と励みになったとか、救われましたという反応をいただきました。 発信してよかったと改めて思いました。 交流会をという要望があり、交流会を立ち上げました。 「笑みだち会」という名前です。 私の名前「栄美香」に友達をかけて、笑顔溢れる友達のような関係性を作れる患者会にしたいと思って「笑みだち会」にしました。 親御さんのものと当事者と二つありそれぞれ20名程度で15回ぐらい開催していました。(現在はコロナ禍でオンラインで行っている。) 2時間ほど行っていて、全国から参加していて、アメリカ、ヨーロッパなどから参加していただいたりしています。 自分の気持ちを判ってもらえる安心感から話してもらえて、共有、共感して励まし合ったりしています。 もっと口唇口蓋裂のことを知って貰いたいと思って行動しています。 コロナでマスクをすることでこんなに視線を浴びないものだという事を知りました。
小林さんの主治医を20年間してきた大阪大学名誉教授の古郷幹彦さんは、「口唇口蓋裂の治療の終わりは本人の笑顔の顔写真を撮って、本人が心から笑えている写真が撮れたらゴールとしている。 小林さんの場合は写真を撮っていないけれども今年3月で終わる予定だ。」と話しています。