椎名保友(NPO法人スタッフ) ・障害者の災害避難を支える
椎名さんは障害者の日常生活を支援する傍ら、有志が仲間を集めて災害時に障害者が避難しやすい環境を整えるための活動を行っています。
椎名さんが中心となって立ち上げた活動の一つが、仕事や観光など外出先で被災したことを想定した避難訓練、「街中被災シュミレーション」です。
2011年にはじまって8年目を迎えたこの活動、そして椎名さんが活動に打ち込むようになったきっかけについて伺いました。
街中をアロファを着て歩いているときに「街中被災シュミレーション」のスタッフですよと、判るように着ています。
8名のメンバーでやっていて、5人が障害のあるメンバーです。
申し込んでいる人が30名います。
10名づつに分かれて、スタッフが2名つきます。
電動車椅子の人、視覚、聴覚に障害がある人達がスタッフとして付きます。
8年間で23か所やってきました。
梅田の地下街でやったときには、地上に逃げるためにエレベーターが止まっていて、電動車椅子の人が困ると思ったんですが、実際にはパニック障害がある方が人混みでは怖いと思ったりとか、盲導犬ユーザーの方が方向が取れないから動けないという事を聞いた時に、情報を得ることの困難とか判断の困難とかが都心部ではあるのかなと感じました。
地上に上がったときに多くの人がいる中で、自分たちはちゃんと非難ができるのだろうか、そういう不安も感じました。
直近は大阪の難波で行いました。
30名の方と一緒にぶらぶら歩いて、途中で災害が起きたという事で障害の方と一緒に逃げていただくという事をやりました。
東日本大震災があったときに、障害のある人は地震があったときに生きずらさがでてきて、避難した後、病気などいろんな問題が出てくるので、テーマを障害に絞った避難訓練は作れないのかなと思いました。
阪神淡路大震災の時に被災した障害のメンバーもいて、いろいろ経験したことを話してもらって大きなヒントになりました。
2011年の11月に大阪の扇町で第一回は行いました。
障害者の人と一緒に歩いてみようという事になりました。
50人集まってみんなで歩きました。
想定した問題点などを話しながら歩きました。
その後発表しあってもらいました。
子どもたちは人混みが圧迫感があるとか、障害のある人と街を一緒に歩いたことはないという様なことを言っていました。
23回続いてきたのはその都度新しい発見があるのでメンバーに飽きが来ないし、新たに発見したいという事で続いてきています。
車椅子の人が困るのだけではなくていろんな人がいろんな局面で困るんだなということが判りました。
お互いに補えるという事も気づきました。
芸術大学を卒業後劇団に就職して、残業もなくて土日も暇で、アルバイトをしようと思ったら障害者の生活支援というものがあり応募したのがきっかけです。
最初に指定された障害のある方のところに行ったら、うちのアルバイト先の代表の家でした。
昔のヒ素ミルク事件で手足にマヒが出ている人で歩行が困難な人した。
食事を温めてとか、野菜炒めを作ってほしいといわれて対応しました。
食べ終わったらお風呂に入るので対応してほしいといわれて、言われるままに洗いました。
マニュアルがなくて本人に聞きながらやってというのが衝撃でした。
聞く、聴く、訊く、3つがあるが、いかに気付くか、相手に確認するかが重要です。
来年2月に外国人、子ども、障害者に対してどんな避難訓練ができるのかを行う予定です。
避難所での訓練も想定しています。
障害のある方が避難所での生きずらさを周りの人にも知っていただきたいと思っています。
周りの方の目くばせ、気くばせが大事だと思います。
障害がある方、困っている方などの「される経験」を日ごろから積んでほしいと思います。
障害がある方、困っている方などの事を「知ってほしい」という思いがあります。
「街中被災シュミレーション」をインターネットで検索してもらって、観てもらえたら嬉しいです。