2018年2月10日土曜日

清田悠代(NPO法人 しぶたね 理事長)   ・病気のこどものきょうだいたちをサポートしたい

清田悠代(NPO法人 しぶたね 理事長)・病気のこどものきょうだいたちをサポートしたい
家族に慢性疾患や難病の子供がいたり障害のある子がいたりすると親たちは、入院に付き添ったり生活に追われたりします。
するとそうした子供の兄弟姉妹たちは自分の思いを抑えて我慢することが増えると言います。
そうした兄弟児たちを支援しようと云う取り組みを始めたのが大阪のNPO法人しぶたねです。
兄弟児の居場所作りを支援したり、兄弟児のサポーターを要請したりする取り組みを今全国に広げています。
しぶたね、ちょっと変わった名前、この活動を始めたのは自身の悲しい体験がもとになったと云うNPO法人理事長清田さん41歳です。

「しぶ」は英語のシブリング(sibling)からきていて、兄弟たちが安心していられる場所、安心して自分の気持ちを話せる人を増やすために種を増やして行きたいと思って「 しぶたね」というネーミングにしました。
普段は大阪医療センターで活動しています。
廊下で待っている兄弟をスカウトして一緒に遊ぶことをやっています。
病院に来ても兄弟が病室のエリアに入れないので。
声を掛けてボランティアで来ていることを話して、遊びに誘います。
2003年11月から3人でスタートしました。
大学の先輩が保育士の資格を持っているので先輩を誘って、心理学を学んだ大学生と3人で始めました。
アメリカでシブショップが有って、それを日本で最初に開きたいと思いました。
病院と4年交渉して2006年から始まりました。
当時前例が無かったので事故が有った時に対応しきれないと云うことで慎重になっていました。
2016年に法人化されました。
サポートする人を増やしたいと研修を始めることにして、それに合わせて法人化しました。

2年間で200人のサポーターがいて看護師、病院の保育士、特別支援学校の先生とかが参加しています。
声をかけるだけで安心して、声を掛けてもらった嬉しさがずーっとそのあとも続いていくと云う例もあり、その事を話すと納得して声を掛けていいんだと参加して下さいます。
4つ下の弟が心臓病で病院に行く事が有って、その時の経験が芯になっているのかなあと思います。
父は中学校の国語の先生で熱血漢の先生でした。
弟のじゅんとは喧嘩などしていましたが、正義感の強い子でした。
私が中学1年の時に弟の病気が判りました。
最初症状の原因が判らなかったが、国立循環器病院に行って調べてようやく肥大型心筋症(心臓の壁が厚くなってしまう病気)ということが判りました。
運動していて突然死するとか、寝ている時でも死んでしまうことがあると言われました。
母は弟が学校に行くのにも付き添ったり、色々フォローに負荷がかかりました。
高校入試の2日前に弟が通学途中で倒れてしまって、母を呼びに行ったがパニックになってしまって、入院準備を私がして、弟は命を取り留めて高校入試は普通に行きました。

ICUの前で、入試の事弟のことなどで頭が混乱して泣くしか無かったが、知らない人が温かいお茶をもってきていろいろ話をしてくれて、安心するようにしてくれました。
その経験から本で調べて病院のソーシャルワーカーになりたいと思って、社会福祉学部を希望しました。
社会事業大学が東京にあり、読んだ本の著者もその大学の先生でしたので、この大学を受けました。
補欠合格でしたが、いざとなると母からどうしても行くのと言われて、私がいなくなった後の母の負荷の事を考えると、地元の大阪の大学へ行くとしか言えなかった。
1年浪人して大阪府立大学社会福祉学部に合格しました。
大学3年の時にまた弟が倒れたことを知らされました。
母と弟が病院に行く途中の駅で倒れてしまいました。
弟とは玄関でたわいない会話をして、それが最後の言葉になってしまいました。
弟は最寄りの病院に運ばれていました。
ICUに弟がいて心肺蘇生をしていて、待合室で待たされました。
弟はそこで亡くなってしまいました。(1998年6月20日)

大学に行く意味が無くなってしまって、家で母と過ごしていました。
先生から手紙が来て、先生も母親を若くして亡くしてしまって、悲しい気持ちは何十年たっても消えることはなくて、悲しいのはそのままでいいんだと云うような内容の手紙をいただきました。
中途半端な気持でも歩きだしていいんだなと感じて大学にもいけるようになりました。
パソコンを通してインタネットで自分と同じような境遇の人とつながれるのではないかと思ったが、なかなか日本では見つからなかったが、たまたまアメリカで兄弟支援をやっているかたが開いてるメーリングリストに繋がるんです。
そこに投稿すると、アメリカだけではなくほか国からも返事が来て、色々なことを心配してくれました。
同じ立場の人が一杯いることに気付きました。

カウンセリング、ソーシャルワーカーが相談に乗っていることなどが判り、そういったことが日本にはないんだということも気付きました。
東京でそのメーリングリストにも入っていて、日本でもそういった連絡出来ると云うことを知って、日本でトレーニングをしようとしている段階なので、その講演会に出ると良いということも知らせてもらいました。
日本にワークショップを導入しようと思っていたちょうどそのタイミングで、その方と出会うことが出来たのが幸運でした。
2日間の講習を受けましたが、アメリカのドナルド・マイヤーさんがワークショップを作って兄弟支援を作った方で、トレーニングについて指導してくださいました。
マイヤーさんから「君たちは一人じゃないんだよ」と言われて、涙が止まらなくなり、日本の同じ様な境遇の人に「君たちは一人じゃないんだよ」と伝えたいと思うようになりました。

或る時「しぶたね」では楽しそうにクリスマスのリース作りをしていました。
兄弟、親御さんだけでしんどさを抱えるのではなくて、社会のいろんな人が関わっていけるんだと云うことを兄弟達が教えてくれているので、世の中に支えてくれる人が一杯いてくれたらいいなあと思っています。
研修を全国に広げていって年間100人ぐらいずつシブリンブサポーターが増えていけたらなあと思います。
アメリカでは兄弟の為のワークショップは政府、州、病院などが主導して当たり前のこととして兄弟支援が行われている。
イギリスでも子供のホスピスにはその兄弟の為のソーシャルワーカーがいることが当たり前になっている。
日本ではまだ不安定な活動で支えられている。
職業として成り立つようにしていきたい、そのためにまず研修を広げています。