内倉真裕美(ガーデンライフ・アドバイザー)・〔心に花を咲かせて〕 注目の花の街は主婦の夢から始まった
北海道恵庭市恵み野地区は花の町として全国的に知られているところです。 とても小さな町でありながら去年はその恵み野地区を中心に全国都市緑化フェア―が開催され、多くの市民ボランティアが参加しました。 その花いっぱいな町はよくある新興住宅地だったところに移り住んだ一人の主婦の夢から始まったと言う事です。 ゼロからスタートしたという花いっぱいの町づくり、どうやって実現したんでしょうか。 畑がないと困るからとお嬢さんに言われて、今はガーデンライフ・アドバイザーを名乗っている内倉真裕美さんに伺いました。
恵庭市恵み野地区は元々は畑だったところです。 新興住宅街が出来上がって、1988年に移り住みました。(35年前) 2歳、2年生、4年生の3人の子供がいました。 学校に行くとここは何にもないところだというんです。 子供が誇れるような街を作りたいと思いました。 恵庭市は「恵まれた庭」と書き、札幌の大通り花壇に植えている花の約70%は日本産の花だと言われています。 ここは花の生産者も多かった。 恵み野はガーデンシティーじゃないかと、街つくりをするなら花だと言ってくれたそうです。 市制施行40周年を記念するイベントを考えたそうですが、花と暮らしたいという事が開催されたようです。 ガーデンシティーと呼ばれる花の町のクライストチャーチに行こうという話が持ち上がり、市の職員らを含めて13人が行きました。(私は入っていません) スライド写真を見せてもらって、恵み野を花の町にしたいと思いました。
クライストチャーチではガーデンコンテストを60年続けてやっているとのことでした。 それでは続ければできると思いました。 20,30年やったらで来るのではないかと思いました。 ガーデンコンテストを開催するにあたって、クライストチャーチに行った人たちに審査員になってほしい事とスポンサーになってほしいことを頼みました。 費用は5,6万円ぐらいかなあと言いました。 審査員が2万円ずつ出し合ってくれて、新聞、チラシ、広報に載せて募集をして、10数軒が応募してくれました。 2回目もあまり変わらず、審査方法等やり方を変えることにしました。 自分の足で見てきて、写真を撮って、勝手に審査して、勝手に当選しましたという、そういうやり方に変えました。 審査員を一緒に連れて行って庭の外から審査することにしました。 段々花で飾りつけをする家が増えてゆきました。
全国花の街作りコンクールがあるから応募しませんかという話が持ち上がりました。 30人ぐらいに人たちの会員になってもらって応募しました。(スタートして4,5年後) 「花作り愛好会」という組織を作って応募しましたら、その年に建設大臣賞を頂きました。 受賞した事によって取材とかいろいろ入って来ました。 全国紙の女性誌ですが、16ページの特集を組んでくれました。 旅行会社が恵み野を入れたいという話が持ち上がります。 市に相談にいったが、市では対応してくれませんでした。 「花作り愛好会」のなかで話あったら、庭を作っている人たちが総抜けしてしまいました。
すそ野を広げるために、翌年から図書館でガーデニング講座を月2回開催しました。 毎回人がたくさん集まりました。 新しく会員になって、花の街作りにも参加してくれるようになりました。 造園家、花苗を作っている人、研究所の方などの専門家に講師になっていただきました。(無料) 花の街づくりが前進していきました。 商店街のガーデンコンテストも行いました。 商店街の草だらけの花壇も恥ずかしいという事で花を植えたり、協力依頼をしました。 70%以上が賛成してくれました。 反対したところも自分で植えたりしてくれて大成功でした。 北海道ではテレビ、新聞などで紹介されるようになりました。 恵み野に学べという事で視察も多くなりました。商店街がきれいになったのは7年後のことでした。
恵み野には4つの町内会があり、商店会、学校、花の会とかの団体で組織を作って、恵庭市に要望書を提出して、花の部署を作ってほしいとお願いしました。 建設部のなかに花と緑の課という課を作って、プランを推進してゆく部署が出来上がりました。 助成金、1/2助成を受けられるようになりました。 旅行会社が主催して多くの人が来るようになって、庭に入ってくるというトラブルも出てくるようになりました。 北海道全域のオープンガーデンの組織を作る事にしました。 北海道全域に分散するような形になりました。(10年後) オープンガーデンが軌道に乗ったころに、北海道を庭園の島にしようという動きが出てきました。 「ガーデンアイランド北海道2008」という2008年を目標にして2004年からみんなで手作りでやって行こうという事で、動きだしました。
「ガーデンアイランド北海道2008」(GIH)では個人の庭のほかに、公共の庭、公園も含んで、大きな施設のガーデンもいくつかできてきて、紹介する冊子も作っています。 旅行会社も花をめぐるツアーも企画してくれるようになりました。
色々な団体、組織とかの肩書が24ありますが、大まかには10ぐらいです。 専業主婦なので空きの時間負荷をかけることはできます。 ブレインとか様々にいます。 うまくいくコツは、夢を語る、こんな街になったらいいよね、と話すことですかね。 若い人たちも戻ってきて、商店街も若返って月に一度ぐらいはイベントを開いています。