斉藤隆(元メジャーリーガー) ・【インタビュー明日へのことば】
仙台市出身 、野球の名門東北高校に入学、甲子園に出場、東北福祉大学を卒業後、プロ野球横浜大洋ホエールズに入団、その後、アメリカメジャーリーグでドジャースを始め、5つの球団でマウンドにたちました。
東日本大震災をきっかけに、故郷の球団 楽天イーグルスに入団、チーム初の日本一に貢献、その後選手を卒業します。今は野球解説やアメリカを行き来しながら、メジャーリーグの球団でのアドバイザー業務に当たっています。
少年時代について、人生の節目節目でどのように向き合ってきたのか伺います。
仙台市若林区出身、東日本大震災で若林区は津波で大きな被害をうける。
アメリカのTVで若林区の津波の様子を見ました。
実家は幸いに大丈夫でした。
ひどかったのは父親の実家で、建物が根こそぎ無くなりました。
東京、大阪から特待生を取っていた学校だったが、我々の年は東北地区の人しか特待生を取っていなくて東北高校にしては珍しく地元の力で甲子園に行ったと言われていました。
高校時代はただただ8割がた野球の生活でした。
授業中は寝ていることもありました。
母からは2つ弁当を作ってもらっていました。
母は70代後半です。
母:心の優しい子でした。
毎日手でユニフォームを手洗いしてから洗濯機に入れました。
ご飯は1升5合釜で炊きました。(男3人兄弟 末っ子)
会社の方が家に来てリビングは職人さんの酒盛りの場でした。
2階は野球部の部室みたいでした。(兄弟が野球をやっていたので)
野球以外の選択肢が無かったような雰囲気でした。
父が少年野球の監督をしていて見て覚えた感じです。
甲子園には兄が行っていました。
東北福祉大学に進むが、ピッチャーに転向する。(監督の勧め)
やって見て駄目だったら辞めようと思いました。
想像の付かない展開がありました。
大学には佐々木のほか、上岡、矢野、金本、浜名、大塚などがいた。
後には監督になるような人もいて、凄い環境で野球をやらせてもらっていたと後で思いました。
卒業後プロ野球選手として大洋ホエールズに入団、先発投手として1998年の日本一に大きく貢献する。
36歳で大きな決断をする、アメリカのメジャーリーグに挑戦、ドジャースと契約してマイナーリーグからの出発だった。
その後5つ球団でマウンドに立つ。
メジャーリーグに飛び込んだ経験が今に大きな影響を与えた。
野球をやることに対する喜び、感謝が若いころ思っていたころとは違う感じがして、自分に残された時間がそんなに長くないと気付いて、メジャーリーグを目指して行こうと思いました。
スポーツカーに乗ったり家も建てたり夢が現実になるが、その恰好に対して全然活躍で来ていないギャップに埋まらなくなってくる。
虚しいと言うか、違うなあと自問自答が始まりました。(33,4歳のころ)
しかし、不安は感じませんでした。
日本でプレーしている時は相手は5チームでバッターのデータは全部揃っていて、やるべきことは決まっていました。
アメリカに行ったら僕のことを全然知らなくて、ぎりぎりボトムの所で楽しんでいました。
野球の楽しさを教わったのは、子供の頃とメジャー以外の中間は無かったような気がします。
出来ないことを楽しめるか、どうかだと思います。
メジャーに行くと出来ない事、人に対する尊敬の念とかも教わりますし、出来ないことがあって、よし次頑張ろうというシンプルで、そんな戦いなんです。
そういった事を知れて良かったと思います。
緊張する嬉しさがあり楽しかったです。
欠点、自分の苦手な部分と向き合う時間がもてない時は、本当に自分のいいところを理解出来ていないのと良く似ている話で、良いところだけで表面的に頑張ろうとすると、アスリートにとって一流にはりきれないところだと思います。
「楽しめ」とバッティングコーチ(メジャーで有名な選手だった人)に言われました。
アメリカと日本のスポーツの根底の概念が違うと凄く感じました。
引退して3年目ですが、色々見えてきてはいます。
「何故」を紐解いて行くと、判ったこともあるが、野球を支えてくれた方がたをこれからどうリスペクトしながら、新しいいいものといままで続いてきたいいものを、どんな形で継続して行くか、理想的な野球界になるのだろうが一番なんですが。
ゲームで13兆円が動き、MLB(Major League Baseball)が1兆円で、日本の野球は半分以下なので、どうしようかと思った時に、それは感動だと思います。
今後日本の野球界はどう進んでいくのか、どうなったとしても必要だと言われる人間になるために一生懸命スキルアップしています。
選手の年金が無いので選手の保証を上げたいと思いますが、僕の力ではどうしようもないので、頑張ろうと思いますが大変なところがあります。
ほんのちょっとでもいいから野球界の力になりたいと言う思いがあります。