外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授 ) ・100歳人生はこう歩く
愛知県出身、95歳になりました。
東京文理科大学(現筑波大学)文学部英文学科卒業後、英語雑誌の編集に携わり、その後大学で教鞭をとりました、。
お茶の水女子大学在職中には、お茶の水女子大学附属幼稚園の園長を5年間務めるなど、専門の英文学にとどまらず教育論など広範な分野を研究、幼児や子供に対する言葉による情操教育の重要性を提唱して来ました。
1983年に発表された「思考の生理学」は、自ら考え行動することの大切さを解き、大学生や社会人1年生の必携の書として現在まで
累計220万部を越えるベストセラーです。
最近では高校野球の根尾内野手の愛読書として再び注目が集まっています。
外山さんは毎日2時間かけて、新聞を丹念に読み、月に2回自らが主宰する仲間との集まりに出かけ執筆活動を続けています。
あまり歳の事を考えない、後ろ向きのことは考えない、自分のことは自分でするという事を心がけていて特別なことはしていません。
睡眠は長く取るようにしていますが、歳をとると夜中などには目が覚めたりするので、昼寝を取ります。
又午前中ほんの30分寝ると元気が出ます。
眠らなくても横になるだけで睡眠と同じ効果があります。
夜9時半から10時には寝て朝は6時半位には目が覚めます。
食事をして散歩してその後寝ることもあるが横たわったりします。
昼に食事をして昼寝か、横たわります。
睡眠の質も大事です。
レム睡眠は非常に大事で、起きた時に頭がすっきりしている人はレム睡眠がしっかりしている。
前日の情報のゴミ出しがレム睡眠です。
運動していると忘れるので、レム睡眠の不足している人は運動をすればいい。
運動した後気分がスーッとするのは、頭の中の掃除が済んでいる。
うまく忘れるということは、頭の衛生上に非常にいい事だということは確かなことです。
食事はなるべく量を少なくするという事をやっています、少なめの方がいい。
食べすぎは悪い、ひもじいに近い状態、これが健康的です。
食事を作って美味かったと言われることが良い、喜んでくれる人がいる事が大事です。
人間は動くところは全部動かすことが大事で、これが健康の元です。
頭も口も目も耳、手とか足を動かす、一番大事なのはうまれつきのもの例えば血液の循環、呼吸とかは非常に大事です。
編み物は非常に合理的です。
耳を使うことは日本人はあまりしてこなかったが、耳を大事にするということは頭の働きに対して大事です。
日本人は目で読んで考える、文字になっているのは過去なんです。
目で考えると、知っていることを真似したくなる、自分の考えが出にくくなる。
日本人が独創性に乏しいのは、こういったことからくると思われる。
耳は大事で耳とおなじぐらい大事なのが口なんです。
言葉を使うから口を動かすと運動になるし、声を出すと健康に非常にいい。
お経をあげるということは運動をしている。
目と耳と口をうまく使えば頭も良くなってくる。
「3人依れば文殊の知恵」、2人は駄目、3人依ると話が回転して新しいものが生まれて来る。(3~5,6人程度がいい)
集合体思考をすると偶然の交流があり、非常に大きなものが生まれて来る。
それをセレンディピティ( serendipity)と言います。
若い頃お互いに悩んでいた分野の違う3人が、月に1回悩みを話す勉強会をして、それは実に良かったです。
70歳位になって、又7つ位を作りましたが、今2つ残っています。
旧制高等学校の寮でみんなで話し合ったりしたのは素晴らしいことでした。
英語を選択したが、戦争が始まってどうしたものかと思いました。
40歳位になって英語からすこし離れた方がいいと思いました。
管理職で一番やりたがらないのは何かと学長に相談したら、幼稚園の園長ということでそれをやることにしました。
人間は小さい時の方が能力があると思いました。
人間の能力は生まれた時から30ケ月位が最高の能力を持っているのではないかと考えます。
教育で一番大事なのは幼児教育だと思います。
保育所と幼稚園が一緒になった様なところで、言葉、音楽、絵画、味覚などのいい刺激などを与える。
子守唄のような音楽でいい音感教育を3歳ぐらいまでに終わらせてしまう。
3~5,6歳で理想的な幼稚園を作れば、今天才と言われる人は100万人に1人とか言われているが、おそらく50~100人に1人位天才的な人が出てくる可能性はあると思う。
物事をうまくやるには、相当な努力が必要だが、成功した人はあまり努力をしない。
失敗すると、自信、力を失うが、反発して挽回しようとする。
失敗後の力は元の力よりも上を行くので、これを利用すると失敗するたびに伸びて行きます。
失敗は大事です、失敗が薬になります。
マイナスの条件があって、それを乗り越える力が人間には誰にもあります。
実験的生き方、色んな事をやって見て失敗するが、くじけないで乗り越えることを考えておこなう。
お年寄りが元気で歳をとると言うことはどうすればいいか、みんなで考えて行きたいと思います。