2018年11月14日水曜日

臼井健二(ゲストハウス主人)       ・自然と心地よく暮らす

臼井健二(ゲストハウス主人)       ・自然と心地よく暮らす
長野県生まれ、69歳、30歳で自然農法で取れるお米、野菜、山で取れる山菜やキノコなどを提供するゲストハウスを3年がかりで手作りで建てました。
臼井さんのガーデンは草生栽培と言って草や虫を敵としない、無肥料、無農薬、たがやさないという農業です。
40年前オーストラリアからもたらされた、持続可能な農的生活と同じ農法ですが、これは日本の里山生活がモデルになっていると臼井さんは言います。
臼井さんは自然とどのように暮らしているのか、うかがいました。

安曇野の保育園児と一緒に種をまき、田植えをして稲刈りおだがけとなりました。
7月はほとんど雨が降らなくて、その後台風が3つきましたが、その後は天気に恵まれて野菜もよく育っています。
ゲストハウスは40年近くなります。
自然農園的なものを提供しながら農法も教えながら営んでいます。
毎年通っている方もいます。
一緒にてつだってもらって食事も一緒に作って、片ずけもして貰って、家族の中に入ってきてもらうような宿です。
持続可能で多様性に富んで調和している、そんな農業を形にしてみたいなあというのが僕の考えです。

大学卒業後商社に入ったが、生産という事が無かった。
種をまいて育って実を結ぶという、農的なそんな中に本来の人間の幸せがあるのではないかと思いました。
小さいころから農的な暮らしがあったような気がします。
1年半で会社を辞めて、山が好きだったので、穂高町でやっている山小屋にお世話になりました。
5年間アルプスで学びました。
写真に撮って年賀状を送っていたりしました。
そのうちに山が飽きてきて、それは生産することが無いからなのではないかと考えました。
これから宿をやるので協力してほしいということで、会員募集をしたら(今でいうクラウドファンディングみたいなもの)2500万円位集まりました。
自己資金と2500万円をベースにしながら考えたが、理想の世界の中では足りなかった。
毎日10人ぐらいは学生が手伝ってくれて、大工さんが刻んだら塗装をするとか、水道工事、電気工事などかなりの事を自分たちで手掛けました。
3年ぐらいかかりました。

当時ペンションブームで、紹介してもらって宿泊人数も増えて順当にやってこられました。
10年位して、地元の利用が無いので、レストランを併設しました。
自給自足的な生活をして行きました。
お客さん達には自分たちで作ったものを提供したり、知り合いから手に入れたりしました。
自然界をよく観察して自然界の良さをその宿の中に生かしたいというのが、自給自足的な暮らしの原点です。
オーストラリアからパーマカルチャーという言葉が入ってきています。
パーマカルチャーは恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことです。
1970年代にオーストラリアは大開発が進みました。
工場進出が起きて反対運動あったが、反対運動よりも心地よい暮らしを提言しようとして生まれたのが、パーマカルチャー的な考えです。
持続可能、多様性、調和、倫理的な事が加わって、自然への配慮、人へ配慮、余剰物の公平な分配などです。
私の実践とほとんど同じでした。

1900年代にアメリカでは大規模農業が盛んになり、化学肥料、農薬での農業で土砂流出などもあり農業が立ち行かなくなり、土壌学者のキングという人が持続可能な農業が無いかと世界を周り出会ったのがアジアの農業でした。
それを本に書いて、オーストラリアの人が見てもう少し判り易くしたのがパーマカルチャーなんです。
ルーツはアジアに有るんです、江戸時時代の文化であり里山の文化かもしれません。
資本主義は分断させ競争させ、マーケットを置くというそんな中に経済がなりたつわけですが、分断するより繋がりの中に生活があると、無駄がなくなる。
ここでは傾斜地に野菜などが植えられている。
草や虫も決して敵ではなく、草や虫を生かしてあげると、大地がより豊かにバランスが取れる訳です。
100点ではなくて60点を目指す、そうするとトータルで150点位になるわけです。
草がある事によって大地は豊かになる。

菌が根を分解して、微生物小動物が分解して腐食を作り、腐食はマイナスの電気を帯びて土の栄養素がくっついてあちこちに空気層がうまれて、それが自然界のたがやすということです。
土は柔らかく豊かになります。
本来バランスはとれているが、人間があれこれやってバランスが崩れる。
虫は急激に増えるということは無くて、いろんな種類が集まって全体的にバランスはとれている。
キャベツでは青虫は外から3~4枚食べるが、青虫がいると夜盗虫は卵を産まない。
たがやさなくて自然界は調和する方向に向かうし、草や虫も敵ではないという方向に行く。
草を刈って、土を出して草の種の表面をどかして野菜の種をまくと草は生えない。
刈った草は横にどての様に置いてやると芽が出ても草は育たない。
もみ殻を燃料として使えば暖房、給湯にも使えるが、原始的なので故障も良くします。
釜戸が登り窯の様になっていて、多様なシステムキッチンになっています。
循環型の暮らしを自分で作って行くという事が大事なことだと思います。

年間3~4回講座を続けていると仲間になり、声をかけると集まってくれるようになります。
壁を取ってしまうと人間関係はとてもいいです。
その中に一番喜びがあると思います。
「種の銀行」 今の種の90%はF1で外国製で、日本では10%です、日本に種が入ってこられないと日本の農業は成り立たなくなります。
在来種、固定種の種を保存してみんなで分かち合いたいというのが「種の銀行」の考え方です。
今は200種類位で種の瓶は500位あります。
お米の種は1粒が3000倍になります、借りた種は倍にして返します、無料でこのシステムは成り立っています。
自然界は素晴らしい教えを一杯与えてくれています。