吉俣良(作曲家・編曲家・音楽プロデューサー)・“有言実行”こそが、わが原動力
大河ドラマの音楽を担当するということはどんなことなのか、自分が目標とすることを周りの大きな声でいうことによってこれまでの人生を切り開いてきたという吉俣さんに伺います。
1959年鹿児島市生まれ、来年還暦です。
サウンドトラックは20年やっているので100を越えている、曲は1500を越えていると思います。
NHKの大河ドラマ「篤姫」の時には1000曲いっていました。(10年前)
ドラマに音楽が重なることによって切なさ、悲しさ、嬉しさなどがちょっと前に出て来るように見えたら、音楽がひと押しになったと私は感じます。
篤姫の時には48曲を渡しましたが、自分の中でこの曲とこの曲はこういうところでかけてほしいと思っていたところに見事にそこにかかっていたので、よくぞこの曲をかけてくれたと思いました。
若いころにドキュメンタリーに2分半位の音楽を作ったことが有り、映像に音楽を当てるのはいいなあと思って作ってみたいと思いました。
モリコーネの音楽でジーンときて涙がこぼれてきたことが有り、感動しました。
5つのテーマ ドラマでは①温かい音楽、②切ない音楽、③嬉しい音楽、④サスペンス、⑤何気ない音楽と云う柱で作っています。
内容によって自分なりに考えます。
自分で思ってたりするのと違うシーンで使われたりする時もありますが、こういう使われ方もあるのかと思い新鮮に感じます。
2分45秒 音楽しか乗っていないのは大河ドラマしかないです、それだけ気合が入るし、緊張もします。
「篤姫」の話が来た時には思わずガッツポーズが出ました。
ニューヨークに行こうと思ったときにパスポートが切れているのが前日に判り、全部キャンセルして鹿児島に帰ろうとしたときに、NHKから話がしたいと連絡が有りました。
もし、ニューヨークに行っていたら、その話は無かったと思います。
最初テーマ曲を作りますが、1曲きまるまで1カ月かかりました。
どうしようかと思って、3週間鹿児島の空気を吸い、食事、仲間と毎晩呑んでたりしました。
帰ってきたら1週間でテーマ曲を含み7曲できました。
ホテルのベランダから桜島を観ていたら、桜島からなんか風が吹いたような気がしました。
苦しかったけれどいい経験になりました。
瞬発力はありますが、「努力と忍耐」は僕は苦手です。
15秒から20秒間考えて浮かばなかったら一旦止めます。
朝ドラは来ないだろうなと思っていたが、やりたいなといっていたら、2003年に朝ドラが来て、大河ドラマも可能性がゼロではないと思っていたが、大河ドラマをやりたいと言っていたら5年後に大河ドラマが来ました。
10年の間に言っていることが叶ったようになりました。
2003年にNHK連続テレビ小説『こころ』で初めてNHK朝ドラの音楽を担当、その時から言っていました。
自分が何かしたいことがあったら、他の人に絶対言った方がいいと思います。
黙っていると何も起こらない。
色んな人に言って協力を仰ぐ。
言葉は魂となって、自分に還って来ると言うことはあるんだなあと思います。
アニメのほうをやりたいと思って言っていたら今年叶いました。
「有言実行」は叶わなかったときに恥ずかしくないのか、と言われたことはあるがいうのはタダだからと思っています。
周りからは努力っぽく思われるかも
しれないが、自分では楽しみながらやっているので、努力している感覚はないです。
自分の中に切羽詰まったものが無いので、やってこれたのかもしれない。
ピアノは8年間習ったが、音大にいっていないし、譜面も独学なので、流石に大河ドラマの時は先生に見せました。
ピアノは大嫌いでした、遊びたい時期だったので。(小学生時代)
高校時代は吹奏学部で2年生で部長をやっていました。
3年の時には自分が部長のようにふるまって、必死でやっていて、鹿児島では優勝しました。
九州大会の時には参加賞でした。
受験勉強をしなくてはいけなかったが、音楽浸けでした。
音大は考えてはいなかった。
大学では音楽サークルに入って、アルバイトで バンド演奏をしている時にプロのミュージシャンと知り合い、、美空ひばりのバックバンドのオーディションに合格したことを契機に、大学在学中より本格的にプロとして音楽活動を開始する。
1000万円を稼ぐプロになりたいと言っていたら、叶うことができた。
演歌系、アイドル系などなんでもやっていたら、ロックの仲間から何のため音楽をやっているんだ、かっこ悪くないかと言われて全部辞めてしまいました。
そうしたらロックの仕事が来ました。
「サウンドトラック」をやりたい、「朝ドラ」、「大河ドラマ」をやりたいと言ってきて、叶ってきました。
本当に自分がやりたいことを皆に言っていると何人目かには、誰か目標にしてる事をかなうような近道の人がぱっと出てきたりする。
10年言っていますが、ヨーロッパ、アメリカの映画をやってみたい。