2018年3月8日木曜日

根本修二(福島県南相馬市 園芸会社社長) ・大震災を乗り越え、シクラメンで日本一!

根本修二(福島県南相馬市 園芸会社社長)・大震災を乗り越え、シクラメンで日本一!
大震災から今年でまる7年になります。
この地震で様々な産業が壊滅的な被害を受けましたが、根本さんの経営する根本園芸もハウスが倒壊し、そのうえ福島原発の影響もあって花を栽培することが不可能になりました。
その後こつこつと再建を進め、一昨年から自前のハウスを作って優良品種のシクラメンを育てて来ました。
そして去年、平成29年度花き品評会、シクラメンの部で第一位の農林水産大臣賞だけでなく2,3位にあたる賞も受賞して、1位から3位までを独占すると云う、初の快挙を成し遂げました。

縦横40m☓20mのハウスが6棟あります。
今はシクラメンは終わって春の花、母の日に向けて仕上げの段階に成っています。
ラナンキュラス、ペラルゴニウム、クレマチスなど母の日まで色んな花が続きます。
今年は寒くて、若干春めいてきたところです。
花は順調に進んできています。
東日本大震災で、原発事故もあり、避難生活ということで、花を作るのが難しい部分もありましたが、まわりからの支援もありようやく今回賞を貰ったと云うことは嬉しく思っています。
息子夫婦とやっています。
まさか1位から3位までを取れるとは思っていませんでした。
小高区という原発から12kmの所にありました。
震災前は今より若干多い面積でパートさんも結構多くいましたし、生産量も今の倍ぐらい生産していました。
夏は海からの風があり涼しく、冬は温暖ないいところで花栽培には適していました。

高校卒業後、埼玉県に研修に行き、それからスタートしました。
45年前の花作りの技術は試行錯誤でシクラメンから始めたが、上手くいかず一時止めました。
息子が高校卒後、後を継ぐと云うことで改めてシクラメンをすることになり、息子が栃木県に1年間研修に行って又始めました。
7年前に東日本大震災が有りましたが、当日は準備の為にパートさんは休んでもらっていました。
息子とハウスで仕事をしていました。
突然とんでもない揺れが起きて、ハウスはさほど被害はなかったが、重油タンクが倒れて油が流れ出していました。
大津波警報が有ったが、ここは津波が来ないだろうと思っていました。(海まで2km)
松林のむこうに真っ茶色な水煙が見えてとりあえず高い所に逃げました。
海辺の家屋が流されてきましたが、ハウスまでは直接には来なかったです。(川の堤防で止まる)
原発被害で避難したため水門が閉ったままだったので、その後川の水位が上がって、その後1か月間湖の状態に成っていました。

津波の翌日にラジオを聞いていたら10kmの避難指示が出て、12kmのところだったので避難した方がいいと思って飯館村に行きました。
飯館からも非難することになり翌々日山形の米沢の方に3週間避難しました。
茨木の古河に同業の友人がいて、来ないかと言うことで、母親(92歳)も連れてお世話になることになりました。
息子達は栃木でお世話に成った所で面倒を見てもらうようにお願いして、2か所にわかれて生活しました。
古河の鈴木さん宅には3か月お世話になり、息子たちは12月一杯までお世話になりました。
南相馬の状況も色々判ってきて、仮設住宅も建ってきて、避難生活をしているのが辛くて、地元で仕事をしてみたいと思っていたところ、仕事も出来るようになりました。
知り合いが花を作っていたが、数年前から辞めていて、ハウスが空いていたので話をしてここでやろうかなと思いました。

帰って来て原町(原発から20kmの所)で心配ないところだったので、借りてハウスの準備などを始めました
花作りそのものが体に染みついているので、他は考えられなかった。
シクラメンは11月が種蒔きなので、その準備とそのほかに1月に出荷できるものの体制を作りました。
息子が12月いっぱいで辞めて1月から宮城県の名取に息子の嫁さんとその子供はアパートを借りて暮らして、息子は原町の仮設を借りて生活しました。
息子も雇われの身だと仕事に対する意欲、気持ちが違うので、自分で経営をという思いがありました。
規模が小さく家族だけでやれたので、細かいところまで目が届くし、初心にかえって丹念に出来る。
シクラメン作りに専念できました。
納得の行くシクラメンを作れることができて来ました。
ピンチがチャンスと思い 市、県、国からの補助金を利用して鹿島区に土地を購入して、今までの反省点を考慮してハウスなどを造りました。

現在7棟目も予定しています。
震災後初めて品評会に出しました。
そうしたら1位~3位までを独占することになり吃驚しました。
最後に1鉢1鉢、葉と花をそろえる作業が大変ですが息子が丁寧にやりました。
1位はヨハンシュトラウスという品種です。(赤い色)
2、3位はシューベルトと云う品種です。(ピンク)
今までの努力が認めてもらったなあと大変喜んでいます。
周りのいろんな人たちから支援をいただきました。
花に関しては風評被害が少なかったので、再開したらすぐ声を掛けてくれと言うような話が有りました。
出荷先は8割は関東地区ですが、通販になると全国に行っています。
世代が変わると好みも違ってくるし、品質をよくして行くのがベストだと思っています。
マンションなど部屋がしっかりしてきて暖かくなってきているので、暖かいと長持ちをしないので、窓際の部屋の涼しい所に置いてもらうと長持ちをします。