2012年5月1日火曜日

上遠恵子(エッセーイスト)       ・レーチェル・カーソンに学ぶ

上遠恵子(エッセーイスト)  レーチェル・カーソンに学ぶ   
レイチェル・カーソン日本協会理事長。
農薬による環境汚染を警告した「沈黙の春」の著者 レーチェル・カーソンの研究をライフワークにしている 
1929年東京生まれ 自然と共生する姿勢に共鳴 1988年 レーチェル・カーソン協会を立ち上げ
環境教育 セミナー自然観察等の活動を行っている
春がきても鳥の声が聞こえない  農薬による影響  警告の書   放射能の事も書いてある   50年前に書いた書(1962年)
父親が昆虫学者 で初版本の原書を読んで私にも読むように勧められた    
父の遺品でも有り宝物です
共感してライフワークになる

アメリカの海洋生物学者で作家 1907年に生まれ、ペンシルバニア大学に学び 作家志望だった
ジョンズポプキンス大学の修士課程で遺伝学を学ぶ  大学院でも男子学生の中に
紅一点という状況であった
博士課程を望んだのですが 父が亡くなり、諦めてアメリカ連邦漁業局の公務員として働き
海洋生物に係わって海に関する本を3冊を書きあげる
「我らをめぐる海」(戦後)大ベストセラーになる  「潮風の下で」が再版されてベストセラーになる
「沈黙の春」で大きな反響がある 環境汚染等の影の部分がある中で、科学技術万能の時代に
其れに対して批判することは凄く勇気のいる事だった
自分がこれを書かなければいけないと思い書いた  
当時のケネディー大統領が注目をして諮問委員会に調査依頼した 
カーソンの言っていることは正しかった

1971年に環境庁ができる 翌年に日本でも環境庁ができた   2年後56歳で生涯を閉じる
命がどんなに掛け替えのないものであるかと言う信念がある 
其れがあったから「沈黙の春」を書いたのだと思う 「センス オブ ワンダー」が車の両輪のようなもの
命の輝き、大切さ 命の言葉で書かれているから今でも読まれていると思う  
最初に「沈黙の春」を読んだ時にはちょっと違った見方をしていた 
戦後DDTが害虫駆除に物凄い力を発揮して米の生産量が増える事になった(食糧不足の時代)
その時にこんなことをいうのは贅沢ではないかと思った(アメリカは食糧難とかはないし)
日本はとにかく米を獲らなければ食糧をまかなえないと餓えてしまうと思ったがしかし数年すると
私の考え方が如何に近視眼的かが判った

朝日新聞の女性記者の松井やよりさんが亡くなったが 彼女が厚生省の記者をしている時に 
人間の母乳の中にDDT、とかBHCが出ていることがあると
其れが赤ちゃんに影響があるとスクープして其れを見た時にこれは大変だと 如何に近視眼的で
あり「沈黙の春」を理解していなかったのかを判った
それから一生懸命に勉強した 考え方を変えた
朝永先生も同じようなことを言われている  「不思議だなと思う事が科学の目です  
よく観察して確かめ そして考える事  これが科学の茎です
そうして最後に謎がとけるのが科学の花です」・・・センス オブ ワンダーと同じことを言っていると吃驚した  
不思議さを考える  感性ですよね
「子供達の世界はいつも新鮮で美しく 驚きと感激に充ち溢れています・・・・・私は子供にとっても 
どのように教育してゆくかを悩む大人にとっても
知ることは感じる事の半分も重要ではない と堅く信じています  

子供達が出会う事実の一つ一つがやがては知識や知恵を生み出す種だとしたら
様々な情緒や豊かな感受性はこの種を育む肥沃な土です 幼い子供時代はこの土を耕す時です 
美しいものを美しいと感じる感覚 新しいものや未知なものに
触れた時の感激 想いやり憐れみ 愛情などの様様な感情がひとたび呼び覚まされると 
次はその対象となるものについても、もっとよく知りたいと思うようになります
その様にして見出した知識はしっかりと身に付きます」  この文章に本当に共感しました  
之が朝永先生のいう「不思議だなと思う」に通じるものだと思います
えてして知識だけを先に植え付けてしまって感じる事が後になってしまっていると言う風潮が
無きにしも非ず  
ただ名前を知っているよりは今何故ここに、この鳥はいるんだろうと考える事の方が大切です 
と書いてある

森の中のふかふかした落ち葉の感触とか 森をわたる風の音とか 森の臭いとかを子供達に
知らせたいなあと思いますね
 「センス オブ ワンダー」の理想を求めていろいろ活動している  
観察するとか、森の自然体験とか  森の幼稚園運動とか 森に行って森を体験する  
全国大会などが有る
TVや本でなんかで教え込むんじゃなくて体験させる事がどんなに大切か 
子供達が生き生きしている  
人間には二足歩行をするようになる森、緑に対する長い歴史がDNAがあるんじゃないんですかね
子供達にはかつての森に住んでいた頃の先祖の血が蘇ってくるんじゃないんですかね

教えなくても一緒に楽しむ 花の名前をしらなくてもいい  話題を共有するだけでいい  
自然が仲立ちをするのが一番いい 
定期的に観察会(年に4回) 自然の中に浸っている    読書会をやっている  
鈴木善次先生 中島隆子さんらがトークに参加してくれる 小西隆 子供と森で遊ぶトーク 5/26に実施する
「地球の美しさについて深く思いを巡らせる人は命の終わる瞬間まで 生き生きとした精神力を
保ち続けることができるでしょう 
潮の満干 鳥の渡り 春を待つ堅いつぼみの中にはそれ自体の美しさと同時に象徴的な美と
神秘が隠されています 自然が繰り返すリフレイン 夜の次には朝が来て
冬が過ぎれば春になると言う確かさ その中には私達を限りなく癒してくれる何かがあるのです」 
好奇心を燃やし続けていると言う事をカーソンから教えてもらった
「今我々人間は分かれ道に立たされているんですよ」(沈黙の春)
   
皆さん考えて下さいよと最後に書かれている
「私達は今分かれ道に居る どちらを選ぶか今更迷うまでも無い 
長い間旅してきた道は素晴らしい高速道路で凄いスピードに酔うこともできるが
私達は騙されているのだ 行きつく先は禍であり 破滅だ  もう一つの道はあまり人も行かないがこの分かれ道を行く時こそ私達のすんでいるこの地球の安全を守れる最後の唯一のチャンスがあると言えよう
兎に角どちらの道を選ぶか決めなくてはならないのは私たちなのだ」・・・・・50年前に書かれている
のには吃驚

「長い間我慢した揚げ句 兎に角私達に知る権利があることを認めさせ、人類が意味のない
恐るべき危険に乗り出していることが判ったからには一刻もぐずぐずすべきではない
毒のある化学薬品をいたるところに蒔かなくてはいけないと言う人達に耳を貸してはいけない
眼を見開きどういう別の道があるかを探さなければならない  
 化学薬品を放射能に置き換えれば全く今日の状況にぴったりだと思う
別の道を歩くと言う勇気を本当に持たなくてはならないし これを歩みださなければいけないと
思っている 次の世代への責任