2024年3月4日月曜日

穂村弘(歌人)             ・ほむほむのふむふむ

 穂村弘(歌人)             ・ほむほむのふむふむ

ゲスト:笹公人さん

「終楽章」と言う最新歌集の内容についてと、「新短歌入門」と言う入門書について。

1975年東京都生まれ、17歳のころ寺山修二の短歌を詠んだことがきっかけで、短歌を始める。 1999年未来短歌会に入会。 岡井隆さんに師事。 2003年第一歌集『念力家族』刊行。 後にNHKでドラマ化されました。 その後『念力図鑑』、『念力ろまん』などを発表、最近の歌集は父親の介護を詠んだ『終楽章』です。 去年出版された『新短歌入門』はNHK短歌のテキストの人気連載『念力短歌入門』を書籍化したものです。 現在は「未来」選者、俵万智さんとアイドル歌会の選者も務めています。 大正大学客員准教授でもありミュージシャンであり、作詞家でもあり幅ひろく活躍しています。

『終楽章』は2年前の夏に出ました。 
*「パトカーに乗せられ帰宅した父はあっけらかんと巻き寿司を食う」     笹公人   そのころ自分が20歳代に戻っていたようで、僕のことを兄貴と言うんです。   当時慶応大学のワグネルと言うオーケストラのコンサートマスターのヴァイオリンをやっていて、ヴァイオリンの稽古に行くと言って、夜中に出ようとするんです。  見張っていてもどこかで脱走してパトカーに乗せられて、何もなかったかのように巻き寿司を食べていました。
父は80の後半です。

*「幾たびも死ねと念じたことがある父のひげ剃るシェーバーの唸り」     笹公人   右半身が動けなくなり、僕が髭を剃ってあげる。  父とは趣味が合わないというか、厳しかったですね。 伊藤一彦?先生の歌を或る時に読んで
*「ベッドの父のむつきをかおるを喜びと死たる二月今ははかなし」? むつきはおむつですね。 お父さんのおむつを替えることを喜びとしてと書いてあって、衝撃を受けました。  

最後の親孝行と思えば気持ちが切り替わって、短歌で気持ちが変わることがあるんだと思いました。  

*「ゴム手袋を二重にはめて香たいて気合いで父のおむつ替える」       笹公人   リアルですね。   

アイドルと笹プロデューサーが短歌をQ&Aをやって行きました。 

サキサキセロリ噛みいてあどけなき汝(なれ)を愛する理由はいらず」 佐々木信綱   穂村:サキサキはセロリを食べている音だが「オノマトぺ」(擬声語)についての質問に対して具体例を示している。 サキサキとシャキシャキでは短歌にした時、何倍も違う。

平安時代の中期に藤公任が上の句で風景を表現して、下の句で自分の心の面が歌の基本の形であると、説いていることを知って、それを僕は知ることでスランプを脱出することが出来ました。 伝統と現代文化とつながる部分を意識して書いています。

穂村:僕は入門書を読むという発想ななかったですね。 入門書は書いたことがなかったです。 口語、文語についても文例を上げて受ける雰囲気の違いを説明しています。

「終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて」     穂村弘                語順によってもその場の雰囲気が違ってくる。

結社離れが心配です。 毎月締め切りがあるので、締め切りがないと何とかそれまでに作って、ああ短歌って面白いみたいなことはあると思います。 自分とは違う世代と交流が出来、勉強ができる。 結社に入りやすい環境を整えることも必要かと思います。