イトウマサトシ(編集者) ・〔心に花を咲かせて〕 日本庭園の素晴らしさを発信
イトウさんは「おにわさん」という日本庭園の情報を発信しているサイト、ホームページなどを個人で作って、庭園の魅力や情報を発信している方です。 IT関係の仕事をされているそうですが、日本庭園をめぐるのは大好きだったと言う事です。 「おにわさん」というサイトを2016年から始めました。 まだ10年経ちませんが、現在までに2000庭園を訪ねてその情報を載せているという事です。 日本庭園のどこに惹かれて何を発信したいと思っているのでしょうか。 沢山の庭を見続けていてどんなことを感じているんでしょうか。
趣味で日本庭園を巡っていましたが、日本庭園の情報が載っているウエブサイト、ホームページがあまり存在していませんでした。 そこでホームページを作りました。 交通情報などを含めて作りました。 写真と行き方を紹介出来ればいいと思っていました。 親しみを込めて「お庭さん」という名前にしました。
日本庭園の魅力としては歴史、デザイン性と言ったものが好きでした。 植物、生き物、建築物とかいろいろ幅広く楽しむ事が日本庭園の魅力だなあと今は感じています。 最初は歴史的なものでしたが鳥とか花とか、毎回景色と自分が見るものが変って行っています。 どんな人が庭に手を入れてどんなところを見せたいのかと言うような事に、思いを巡らします。
東京都では旧浜離宮恩賜庭園、東京にこんなに開放的な広い空間があるのかと感動しました。 江戸時代初期に作られた日本庭園で、将軍徳川家の別荘だった庭園です。 背景には高いビルが立ち並んでいて、東京ならではの懐の深さを感じます。
新潟県の柏崎市にある貞観園という庭園が私は好きです。 国指定の文化財は200~300か所ありますがそのうちの一つで、柏崎市の山間部にある庭園です。 吃驚するぐらいの苔一面の庭園が広がっています。 元庄屋さんだった家のところです。 6月から11月ぐらいまで公開されています。 ぼーっとするには最適な場所だと思います。
島根県の旧豪農屋敷に大きな枯山水庭園があります。 一面に白い砂を敷き詰めてその中に石を置いて歩ける庭園がいくつか残っています。 歩けるという事がとても面白いと思いました。 回遊式枯山水庭園です。
日本全国には独特のデザイン性があるものがあります。 青森県独自の庭園のデザインの流派があります。 必ずその庭園に津軽富士岩木山をかたどった石を置き、それを拝むための礼拝石(平べったい大きな石)をビューポイントに置くという一貫したデザインがあります。
京都で修業した方が各地散らばって行って、学んだことに地域の独自性を組み合わせていろんな庭園を造って行った。 どこに行きたいという場所が先にあって、どういうお寺が残っているとか、文化施設があるのか調べて行って、それを巡ると言う形です。 見つけた時の楽しみが大きいです。 島根県は面白い場所だと思っています。 松江市にはお茶の文化が強く残っています。 庭園文化が松江には残っています。 松平不昧(ふまい)公(7代・松平治郷は特に有名な藩主)は趣味であった茶道に傾倒して不昧流を創設。 お茶室が必要になるとお庭が必要、お菓子も必要となり、松江には和食の美味しい店が多いです。 歩ける枯山水庭園は冬は雪が降るので、飛び石は高くなっている。
「おにわさん」には外国からのアクセスもあり、外国人が来るきっかけにもなっています。 6~7割は海外からのフォロワーさんになっています。 足立美術館を注目したのも海外の方です。 兼六園には年間300万人ぐらいの方が来ます。 有名ではない場所では年間1000~2000人程度になっています。 穴場が沢山あります。 個人的には海外の方から学ぶことは多いです。 海外の方には古民家の坪庭が物凄く人気があります。 私も坪庭にも興味を持つようになりました。 歴史のある坪庭を中心に紹介しています。 2016年から2000か所ぐらいになりました。
少子高齢化が庭園に影響している点がいくつかあります。 所有者の高齢化、相続の問題で庭がつぶされてしまう。 庭師の高齢化などで管理が行き届かなくなる。 SNSをやっていると、海外の有名なロックミュージシャンの方が来日公演して、盆栽、日本庭園が好きで「おにわさん」をフォローして下さったり、映画監督、プロサッカー選手、建築家、美術家、アーティスト等がフォローしてくださっています。 若い方も見て下さっています。知られないまま時間がずっと過ぎてしまってゆくことが一番残念なことだと思うので、興味を持ってもらえることで、何か次につながって行くと思います。
庭園の或る所(ビューポイント)で立ち止まってゆっくり回ると言う事をお勧めしたいです。 我々が思っている以上に、海外の方は日本庭園が凄いと思っています。