秋田道夫(プロダクトデザイナー) ・機嫌のデザイン
秋田さんは1953年生まれ(70歳)。 現役のプロダクトデザイナーです。 大手メーカーで製品デザインを担当したのち、フリーランスに転身、代表作にLED式薄型信号機、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズのセキュリティーゲート、交通系ICカードのチャージ機などがあります。 2020年には現在世界一受賞が難しいと言われる国際的なGerman Design AwardのGold(最優秀賞)を獲得するなど、受賞多数。 最近はSNSでの情報発信や本の出版など活躍の場を広げています。
この土鍋は陶器でもなく磁器でもない、その間ぐらいの材質で薄くて6mmで出来ています。 直径24cmぐらい、蓋のついた鍋です。 取っ手がなくて、鍋の一部を内部に弧を描く様に持つところが2か所ついている。 いかに使う人がスムースに使えるかと言う事を考えています。 交通系ICカードのチャージ機も斜めになっています。 平らだと上に何か乗せて忘れたりするので、上には乗せられないように斜めにしました。 アイディアは自分の失敗体験から来ます。 観察はデザインに勝ると言っています。 使い勝手のいいものが自分の仕事だとすると、よく観察されたものを作るものが使い勝手がいい。
中学生の時にバインダーを買って、駄目になってしまってこういう方法にすればいいのではないかと思って、絵を描いて送ったんです。 それが工業デザイナーのスタートかなと思います。 色々なものを知るという好奇心がないと衰退してゆく。 何故機嫌が悪いのかという事も面白かったりして、それを解決すれが多くの人が機嫌が良くなるのではないかと思っています。 「機嫌のデザイン」、曇りの日が一番おおくて、晴れたり雨になったりして、感情が上がったり下がったりするよりも、曇りでいいと思うなら機嫌がいい、と言っています。 期待をし過ぎるなとも言っています。
客観性があってそれが今でも続いていますね。 47,8歳のころには自分で売り込みに行った時代もありました。 具体的な仕事もなくて実力の発揮のしようがなくて、そこで思ったのが、月になぞらえて、月は球体で同じ面を見せていて陽も当たらない。 信号機、セキュリティーゲートもあまり気にはしない。 それとは逆に土鍋などは注目を浴びる。 一番注目を浴びたのは一本用ワインセラーです。 月の裏側の仕事も大事だと思って、信号機などもやっています。 両方やってみようと言うつもりでやっています。
使っている人が「これっていいだろう。」と言うようなものを作りたい。 言い過ぎない、言い足りないぐらいがちょうどいい。 「それ風」と「それ」とは違うと思う。 「匙を投げない」、細かいところに機微がある。 機微を感じるというのがこれからのデザインなのかなあと言う気がします。 ATMも会社によって手順が違ったりする。 手順、所作も大切なデザインだと思います。 一つの手順を減らすだけで、利用者が1000万人だったら1000万手順が減らせるわけです。 力の原動力は好奇心、観られてる意識です。