髙田明(大手通販会社 創業者) ・"伝える力"で地方から情報発信
高田さんは長年会社の社長であると同時に、通販番組の司会者として伝える事の意味を追求してきました。 どうすれば商品の魅力を正確に伝えることができるのか、そこにはわかりやすく物の本質を伝える為の極意があります。 また地方からの情報発信にこだわり、プロサッカーチームの運営など、地域が活気付くためには何が必要なのかを追求してきました。 地方の小さなカメラ店から始め、日本を代表する通販会社に成長するまでの道のりや、伝える為に必要なことを高田さんに伺いました。
長崎県平戸市出身、1948年生まれの74歳、大阪経済大学経済学部卒業後、機械メーカーを経て1974年に実家が経営するカメラ店に入社、その後独立して「株式会社たかた」を立ち上げ、1990年からラジオショッピング、その4年後にはテレビショッピングに参入しました。 2015年に社長を退任し、その翌年にはショッピング番組の司会者を卒業、2017年にはサッカーのV・ファーレン長崎の経営再建を引き受け、社長就任1年目でJ1昇格を果たしました。 2020年にV・ファーレン長崎を離れ現在は株式会社A and Liveの社長を務めています。
長崎を発信地として世の中のためになんかやりたいという思いですから、やはりこだわります。 長崎の「イカ」がおいしいのでこれも一つのキーワードです。 長崎を何とかしなければいかんと言う事がふつふつと沸き起こって来ました。 歴史を紐解くと凄いところなんです。 知っていただくという事をしなければいけない。 まず自分の故郷を知っていただいて、全国に発信していきたい。 何か変化が起きないのに、伝えたと言う事が多いと思う。 伝えたという時には、伝わったかという、伝わったという事で初めて、伝えることが広がってゆくという事です。 政治の世界、ビジネスの世界、すべての業界で大事にしなければいけない、伝える世界だと思います。
25歳の時に実家のカメラ店で働き始める。 大学卒業後海外ドイツとか共産圏で働きました。 25歳で辞めて故郷に帰ろうと思いました。 平戸大橋が出来るという事で年間180万人の方が押し寄せました。 ホテルも建って、写真を撮る手伝いを始めました。 1週間で楽しくて仕事にはまりました。 5年間やって佐世保に移って、11年間、合わせて16年間カメラ店の手伝いをしました。 写真を買ってもらわなければいけない、それを40歳までやっていました。 買ってもらうためには最高の笑顔と、最高と思える表情の写真を撮ってあげられるかという事です。 支払ってもらった価値を返す、こういうことを学んだことが通販の世界に入って行きましたが、常にお客様のために喜んでいただくために、ビジネスはやって行かなくてはいけない、という事を学びました。
マーケティングに関して地域性が凄くありました。 戦友会などは自分が写っていなくても買ってもらえました。 平戸以外に店を構えようとなり、佐世保にいくことになりました。 店を知っていただくために、ラジオでコマーシャルソングを作り流しました。 そこでしゃべってみないかと言われて始めました。 20,30分で50台が売れてしまいました。 全国展開をしようと思って、まず九州、四国、そして中国、近畿と広げて行って4年間で全国ネットワークが出来てしまいました。 売り上げも40億円になっていました。
1994年からテレビショッピングに入って行きました。 ネットワークを広げて行って、いつの間にやら売り上げも300,500,700億円となって行きました。 見える見えないではなくて、伝え手の思いとか、そういったものが人の心に響くし、何の為にこの商品を伝えているんだろうという根本的なところを、聞いている人、見ている人に伝えられるかどうかという事が一番大事なんではないかと考えています。
世阿弥が言っている言葉のなかで、「我見と離見」という言葉がありこれは大事だなあと思いました。 一方的に自分の言い分を言うのではなくて、相手がどう思っているのか、相手の状況などを考えながら伝えてゆく気持ちが重要だと思います。 皆さんに寄り添う気持ちは政治の世界、そのほかの世界でも皆同じだと思います。 伝えたいという気持ちがあると声が高くなります。 一方的にしゃべらないためには「間」があります。 しゃべった後の「間」があります。 「間」の時間の間に視聴者は商品のことを考えます。 専門用語を使っては伝わらない、判り易く伝えるという事です。 難しいことを易しく伝える、易しいことを深く伝える。 非言語の力、これは表情、身体の動きなどです。 言葉の3倍あると言われます。 計算してやるのではなくて、私は100回やったら、100回違います。
伝えたと思っていることが結構多い。 伝えた「つもり」の世界だと思います。 人生はボトルネックを探す、良い事でも何故いいことが起こったのかの原因、悪いことが続く時には、そこには必ず悪い原因、解決しなければいけない原因(ボトルネック)がある。家庭の問題、仕事の問題でもボトルネックを解決したらまた新しいボトルネックが出てくる。 だから人生は苦しいのではなくて、人生は楽しいと思うんです。 講演で「失敗は一回もないです。」と言います。 シーンとなります。 「失敗というのは、一生懸命にやらなかったことが失敗であって、上手くいかなかったこともいっぱいありましたが、それは失敗という言葉にはしません、それは自分への試練です。 試練を積み重ねることによって成長してゆくんじゃないかと思います。」と言っています。
一番大事なのは、今、今を一生懸命やることによって、今日よりも明日、変化した自分がいる。 自分の力で変えられるものに集中する。 シンプルでくよくよしないタイプで、余り物事を引きずらないです。 変化を作りだしてゆく。 人間は何のために生きているのか、人は人のために生きてこそ人である。 一番の喜びは一回の人生の中で、どれだけ周りの人を幸せにして人生を共に過ごしたかという、ことだと思います。 今を一生懸命生きるという事にプラスして、情熱を加えて欲しいです。 最後は行動です。 ポジティブに物事を考えてゆく気持ちの持ち方は大事だと思います。