鳴沢真也(天文学者・理学博士) ・地球外知的生命を探す
鳴沢さんは兵庫県立大学西はりま天文台の天文科学専門員として1995年から28年間天体観測を行い、今春からは兵庫県立大学の専任講師を務めています。 特にSETI(地球外知的生命体探査)の研究分野の第一人者、宇宙人に一番近い日本人の異名を持っています。 世界の著名な研究者と連携して、広大な宇宙の中から地球のような環境があり、知的生命の存在の可能性のある星を捜すとともに、彼らが電波やレーザー光線を出していると想定してそれをキャッチしようという研究です。 鳴沢さんは国内最初の研究を行こない全国同時観測、更には世界合同観測のリーダーも務めました。 どのようにして知的生命を捜しているのか、そこにはどんな意味があるのか、天文学者で理学博士の鳴沢さんに伺いました。
一言で言えば地球外知的生命体はいます。 人類が見る範囲は決まっていますが、観測可能な範囲だけで、1の後に0が23個付く数があります。 世界中の海岸の砂粒よりも多いんです。 そうなればどこかにいるという事は当然だと思います。 太陽系で考えると私たち地球人だけです。 天の川銀河に星が1の後に0が11個付く(1000億個)あります。 そのうちの1つが太陽です。 それに惑星が回っています。 大事なものは水です。 液体の水がないと生命は考えにくい。 太陽からちょうど良い距離がたまたま地球でした。 火星も実は 昔は暖かくて海もありました。 下等なバクテリアみたいなものは誕生していたかもしれない。 痕跡をNASAが見つけようとしています。
SETI(地球外知的生命体探査)は知的生命体を捜そうとしています。 向こうも電波などを出しているかもしれないのでキャッチしようとしています。 ラジオなどは電離層があって反射してしまって駄目ですが、FMラジオは突き抜けていきます。 テレビの電波も突き抜けます。 この研究は1960年からアメリカで本格的に始まりました。 レーザー光線をキャッチしましょうというやり方もあります。 レーザー光線の方が10万倍ぐらいの情報量を詰め込むことができます。 レーザー光線を望遠鏡でキャッチしましょうという事を私はやっていました。 西はりま天文台の鏡の大きさは直径が2mあります。
2005年より日本で初めてのOSETI(光学的地球外知的生命体探査)を行う。 レーザーは一色しか出せない。 天然の星はどの色も放出します。 そこにレーザーが含まれていたら、例えば緑がその分多く輝く。 人為的に出しているのではないかと判断します。 2009年には全国同時SETIキャンペーン観測「さざんか計画」のプロジェクトリーダーを務めました。 検証するためには自分だけの発見だけではなくて、よその天文台でも間違いなくレーザーが来たことを検証しなければいけない。 その予行演習をしようという事でした。 2010年にはオズマ計画50周年記念「ドロシー計画」のプロジェクト・マネージャーとして、世界15カ国、18施設の研究機関による共同SETI観測を実現した。 世界での予行演習をしようという事でした。 最初のSETIが始まってからちょうど50周年でもありました。 発見はなかったがネットワークの構築は出来ました。
まずは恒星からの適当な距離の惑星の発見から始まります。 現在確実なものはないですが、解明されていないが非常に怪しい電波はあります。 1977年アメリカのオハイオ大学でキャッチした不思議な電波がありました。 いまだに正体不明です。 W0W!シグナルと呼ばれています。
シグナルを見つけた場合には4大原則があります。 ①徹底検証 ②検証中は公表の禁止 ③判ったら隠ぺいの禁止 ④勝手な返信の禁止(国際的な合意を経てからどうするか決める) 1960年代旧ソ連が近世に向けて電波を送りました。 1970年代になってアメリカ人が太陽系以外のところに電波を送っています。
4歳の時にアポロ11号が月に着陸してその影響です。 実際に星を見始めたのは小学校高学年ぐらいからです。 ウエスト彗星が来まして、浅間山の天空のところを通過しました。 それが凄く印象的でした。 中学の時に「コスモス」という本を読んで、将来は天文学者になろうと思いました。 中学で不登校も経験して、その後望遠鏡があるという記事を読んで福島大学に行きました。 いい先生に出会う事が出来ました。 2年程度高校の先生を経て西はりま天文台へ行きました。
宇宙を1/1000億にした時に、この大阪のスタジオに太陽があったとすると、一番近い恒星は東京のスタジオあたりになります。 4光年の距離になります。 地球外知的生命を探すということは人類がやるテーマだと思っています。 私たち地球を、人類を見つめ直すきっかけになると思います。